ライフプラン3.0
「人生100年時代」……
これはリンダ・グラットン教授が
著書『LIFESHIFT―100年時代の人生戦略』にて
提言した言葉です。
「寿命が(100歳前後まで)今後伸びていくにあたって、
国・組織・個人がライフコースの見直しを迫られている」という
メッセージは大きな反響を呼び、
ベストセラーになったことは記憶に新しいのではないでしょうか?
『LIFESHIFT―100年時代の人生戦略』
リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット:著/東洋経済新報社
https://amzn.to/2TGdTXe
本書に連動する形で、
千葉商科大学教授・日本FP協会専務理事である伊藤宏一氏は
『ライフプラン3.0』という概念を提唱しています。
ライフプラン1.0
団塊世代とそれ以前のライフプランです。
つまり、第二次世界大戦後に生まれ、
日本の高度経済成長期を生きてきた世代の生き方です。
人生は70~80年が標準で、
老後(60歳で定年退職)は10~20年程度となり、
退職金を1年あたり約10%ずつ取り崩せば、
年金もあるためなんとかやりくりできます。
男性は就職したら一つの会社にずっと勤め続け、
仕事に専念(終身雇用・年功序列制度)し、
女性は専業主婦として家事や育児に専念するという
「家庭内分業体制」を取ります。
ライフプラン2.0
バブル世代から団塊ジュニア世代が今現在、
そしてこれから歩むであろうライフプランです。
人生は80~90年が標準となり、
老後は15~20年程度を考える必要があり、
退職金は1年あたり約5%しか取り崩せません。
国の年金はじりじり下がり続け、
破綻はせずとも余裕がある金額をもらえることはないでしょう。
退職金の相場も景気が悪い時期の金額から回復していません。
そのため自助努力での老後資金の上積みが必須になります。
これは、昨年の「老後資金2,000万円問題」にもあらわれるなど、
まさに現在の高齢化社会に則した考え方です。
共働きも一般的になったものの、
子育てを機に退職するも保育園が見つからず復職できない、
復職できても旧来の家庭内分業モデルに引きずられ、
男女の家事・育児分担がうまくいかなくなったりなど
さまざまな問題が生じています。
また、多様なライフスタイル(おひとりさま・DINKS)も
認められるようになりましたが、
社会のセーフティーネットやマネープランが追い付いていません。
ライフプラン3.0
中心となるのは、これから社会人になる世代と、
すでに社会人となっている昭和後期~平成生まれの若い世代です。
人生は100年前後を想定する必要があり、
定年が65歳から変わらなかった場合、
25年~35年……つまり、人生の約3分の1が老後となります。
そうなると、退職金や年金だけでは老後資金は到底足りません。
世の中も下記のようにどんどん変わっていくでしょう。
◆70歳で定年退職など、働く期間が長期化し、
これまでと異なる能力やスキル、キャリア形成が必要となる。
◆40歳でも50歳でも転職は当たり前になる。
業種・業界の市場規模や携わっている業務の価値が下がった時は、
違う業種・職種に移ることもためらってはいけない。
◆結婚したら共働きをし、家事・育児を一緒にすることは当たり前。
失業リスクを考えると共働きはリスクヘッジになる。
◆消費・所有についての価値観が変動する。
車のような「モノ」の所有は縮小し始めており、
必要な時だけレンタルをするような
シェアリングエコノミーへのシフトが加速していく。
◆もっと自覚的に老後に備える。
公的年金と退職金は重要だが、それだけでは頼りにならない。
企業同様、個人においても過去の常識が通用しない時代が到来しています。
親や先輩といった年長者の経験・アドバイスは参考にならず、
各個人が人生・老後に対する強い自覚を持ち、
情報収集・資産形成といった準備をしなければなりません。