ブロニー・ジェームズの本当の評価はどうなのか?
ドラフトが近づくにつれ、メディアでブロニー・ジェームズが取り上げられる事が多くなりました。良くても2巡目指名だと言われていた選手にしてはものすごい露出量です。さすがはレブロンの息子ですね。
これほどメディアに取り上げられると、ブロニーは実は凄い逸材なんじゃないかと思い始めてしまいますが、本当に指名されるような実力を持っているのでしょうか?
今回はそんなブロニー・ジェームズの評価をまとめてみました。なるべく客観的な判断をするために大手メディア所属の著名ドラフト専門家や識者たち(ESPN/ドラフト・エクスプレスのジョナサン・ギヴォニー、The Ringerのドラフト担当もしているケヴィン・オコナー、Yahoo Sportsのクリステン・ピーク、The Athleticのジョン・ホリンジャー等)の評価分析を紹介します。また、ブロニーの指名をとりまく情報をまとめたので参考にしていただければ幸いです。
その前にまずはブロニーのコンバイン情報からです。
コンバインでのブロニー・ジェームズ
年齢:19.7歳(現在)
身長:6’1.5” (USCは6'4"と登録)
体重:210
ウィングスパン:6’7.3”
レーンアジリティー:10秒96(73人中21位タイ)
シャッフルラン:3.02(41位タイ)
3/4ラン:3.09(18位タイ)
垂直跳び(助走なし):32.0インチ(11位タイ)
垂直跳び:40.5インチ(6位タイ)
オフドリブル/カレッジブレーク左サイド:50%(61位タイ)
オンザムーブ/カレッジ:76.0%(2位)
カレッジコーナー左:64.0%(26位タイ)
そして、大学での25試合の成績(1試合平均)です。
プレー時間:19.4分
得点:4.8点
TS%:47.2%
3P%:26.7%(2.4 3PA)
リバウンド:2.8(9.4リバウンド%)
アシスト:2.1
ターンオーバー:1.1
ブロニーの評価はどうなのか?
(*すべて5/24日時点)
ESPNのドラフト・エキスプレス
・2024年ドラフトクラス総合順位77位(コンバイン直後は54位)
まずはスカウト業界第一人者のギヴォニーのコンバイン後のブロニー評です。
ギヴォニー:「これはブロニー・ジェームズにとってポジティブな週になった。彼は私たちの最新予想で2巡目後半にあがった。私たちは次の更新で彼を54位にする。トップ100の最後の方からかなりあがった。ここでNBAの人たちと話すと、彼らは彼(ブロニー)は彼自身を本当のNBAプロスペクトとして確立したと感じている」
「ドリルでのボールの撃ち方、アスレチックテスト、5-on-5の初日はとても悪かったと思ったが、昨日はチームの勝利でとても良いディフェンスをして、ショットを決め、ゲームのフィールとヴァーサタリティーを見せて、素晴らしい役割をプレーした。みんなは彼の姿勢、熱意、彼が自分をどのようなタイプの選手なのかを理解している事を気に入っている。これはブロニー・ジェームズにとって、とても良いシカゴでの週になった」
「ブロニーはレーダーに映るに値する良い仕事をした。彼は5-on-5をプレーした他の多くの選手と同じくらいよかった。彼はショットを決める事ができ、自分のポジションを守れて、エナジーでプレーする3&DガードとしてNBAレベルで本当の役割を得られる選手だ。私は彼をゲイブ・ヴィンセントやゲーリー・ハリス的な選手と比べる」
「ブロニー・ジェームズはムーブメント・シューティングドリルでたくさんのショットを決めた。NBAドラフト・コンバインの初日で健闘した」
「ブロニー・ジェームズはたった今NBAドラフト・コンバインでの3ポイントのスター・シューティングドリルで圧倒した。19/25。2位には十分だ」
また、ギヴァニーはブロニーが大学には戻らずにドラフトに残ると発表した後は次のようにレポートしています。
Yahoo Sportsのピークのブロニー評
続いてはYahooのドラフト担当であるクリステン・ピークのブロニーについての記事を紹介します。
The Ringerのオコナーのブロニー評
・2024年ドラフトクラス総合順位69位。
ケヴィン・オコナーはThe Ringerのビッグボードでブロニーを次のように評しています。
プラス:
強い体格と長さがある良いアスリートで、レブロン・ジェームズの遺伝子を共有する人としては驚く事ではない。
IQが高い判断力があり、両利きの選手。彼はリードガードではないが、チームメイトを良くするためのパスのフィールには確かなものがある。
絵に描いたように美しいジャンパーのシューティング・フォームは、彼がどうすれば良くなれるのかの希望を与える。
ハードに戦う破壊的なディフェンダーで、手をうまく使ってプレーする。チェイスダウン・ブロックと高いエフォートのハイライトでは運動能力を見る事ができる。次のレベルで成功する道はあきらかにディフェンスをマスターし続けることだ。
マイナス
USCでの46回のスリーのキャッチ&シュートではたった19.6%しか決められなかった下手なシューターだ。高校レベルでは、彼は139回のキャッチ&シュートをして、たった33.8%しか決めていない。
シューターとして良くなれるのか?その可能性もある。しかし、彼はそのタッチがあると証明していない:高校と大学を合わせて、シナジーのデータはフローターはたった28.1%で、プルアップ・ジャンパーは30.2%、ドリブルからのスリーは26.7%しか決めていない。どの数字もポジティブではない。
素晴らしいハンドルの欠如、自分のショットを定期的につくり出したり、ペイントに入り込む能力が限定的。ハーフコートでは、彼はダンク・アテンプトをひとつも記録しなかった。リムで自分でつくり出したショットは5アテンプトで、その内たった1本しか決めていない。
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また、4月はじめには「ブロニー・ジェームズの正直なスカウティング・レポート」でNBAフロントオフィス関係者からのブロニーについての評価を次のように紹介していました。
The Athleticのジョン・ホリンジャーのブロニー評
実際にドラフト・コンバインでブロニー・ジェームズを見たホリンジャーのブロニー評です。
いかがでしたでしょうか。だんだんとブロニーがどういった特徴がある選手なのか見えてきたと思います。
ブロニー本人はコンバンでモデルにする選手は誰か聞かれ、「デヴィオン・ミッチェル、ジュルー・ホリデー、デリック・ホワイトのような役割で秀で、良いお金を得て、それで良いプレー時間をもらえている。なぜなら彼らはその役割にロックインしてするべき事が何なのかわかっているからだ」と答えています。なかなか自分をよく客観的に分析理解できているのではないでしょうか。
ブロニーのエージェントのリッチ・ポール
ポールはブロニーを次のように評しています。エージェントなので悪い事は言うはずもないのですが、参考までに紹介します。
ポール:「ブロニーは(NBAに)入った時からディフェンス、正しい読み、とても良くシュートが出来、良い運動能力を発揮する。それに加え、彼のキャラクターはすべての条件を満たすので、それは実際に彼の才能を超える」
「彼は良いプロだ。なぜなら彼はとても才能がありスマートだからだ」
「ブロニーは実際に才能、基礎、ストラクチャーを持っていて、彼はNBAチームでグルーガイ(glue guy)になれる。もしかしたら、彼はいつかオールスターになれるかもしれない。私たちは2巡目で指名されたりドラフトされていない選手たちがオールスターになるのを見て来た。フレッド・ヴァンヴリートはドラフトされなかった。ナズ・リードもドラフトされなかった」
ブロニーのプラスポイント
プレーは父親譲りではないかもしれませんが、メディアでの対応はその片鱗を見せています。
さすがにレブロンの息子だけあり、インタビューでは他の選手よりも落ち着いて話していたと思います。
レブロンも息子のメディア攻勢をうまくさばいている息子を賞賛していました。
レブロン:「私は彼の年齢で過熱する報道に彼がやっているレベルで対処できなかっただろう。私が18歳で入った時にはソーシャル・メディアに対処する必要がなかった。私はたくさん注目を浴びた。私は両肩にたくさんのものがのしかかった。でも私の時には毎日ずっとやっているニュースもスポーツ番組も、毎日特定の人の事だけを話すものはなかった。今はオンラインやソーシャル・メディア、Xやインスタに行けば、みんなは言いたい事を毎日コメントできる。私はそれに対応する必要はなかった。彼があのような品格と自己認識でそれに対応し、平穏を保っているのを見るのはとてもすごい事だ。彼をスーパー誇りに思う」
やはり、子供の頃からメディアに出ている父を見たり、メディアに対応している父を見てきたからなのでしょうか。
19歳の髭も落ち着きを見せるのに一役買っていそうです。
ブロニーを巡る噂まとめ
コンバインやエージェンシーのワークアウトを終えて、ブロニー指名に興味を持つチームは出てきているのでしょうか?
各メディアからの情報を紹介します。
ユタ・ジャズ
ピークスはジャズ32位指名権を持っているジャズがブロニー・ジェームズを個別ワークアウトに招待しようとしているため、ジャズがブロニーを狙うのではないかとのレポートしました。
しかし、ESPNのWojはレブロンはもうブロニーと一緒にプレーすることを最優先にしていないとレポートしていました。
Woj:「リッチ・ポールと話すと、一緒にプレーするという考えはもう優先事項ではないと感じる」
The Athleticのシャムズもレブロンは現時点ではブロニーを指名しても、息子と一緒にプレーするために移籍しないとレポートしていました。
どうやらレブロンがブロニーと一緒にプレーする姿を見るためには、レイカーズがブロニーを指名するしかなさそうです。
当の本人も父親とプレーすることに関しては、「私の夢はつねにNBAに入って自分の名前を自分でつくる事だ。それは全員の最終的な目標だ。私は父とプレーする事については考えた事がないが、もちろん彼は何回かそれについて話をした。でも、私はそれについてそれほど考えていない」と話していて、ブロニー的には父と一緒にプレーする事はあまり重要なことではなさそうです。
ロサンゼルス・レイカーズ
この夏にレブロンと再契約濃厚と言われているレイカーズはブロニーの事をどう考えているのでしょうか。
レイカーズはブロニーの55位での指名と育成に興味を持っているようです。シャムズによると、レイカーズはブロニーはチームにフィットすると考えていて、次のヘッドコーチの仕事は育成も重要なポイントになるとレポートしていました。また、レブロンはあと2年はプレーするつもりのようなので、レイカーズはその間、新ヘッドコーチのプログラムの元でブロニーの育成に力を入れる事もできます。
以前、The Athleticが「レイカーズはレブロンの夢である息子とのプレーを叶えるためにブロニーを指名するのにも前向きだ」とのレポートをしているので、レイカーズは本気でブロニー指名を考えているのかもしれません。
それともレイカーズはFAになれるレブロンに忖度をしているのでしょうか?エージェントのリッチ・ポールと何か裏で握っているのでしょうか?この夏はポールのクライアントのデジョンテ・マレーやダリアス・ガーランド、それにザック・ラヴィーンのトレードの噂が出てきています。レブロンの契約を最後の年をチーム・オプションにするなど契約をチーム・フレンドリーにする手もあります。フロントオフィスとエージェントの間の握りは珍しいことではないようなので、それがあったとしても驚きはありません。
フェニックス・サンズ
シャムズが22位の指名権を持っているサンズがブロニー・ジェームズのワークアウトを行うとレポートしました。
サンズは、ケヴィン・デュラント、ブラッドリー・ビール、デヴィン・ブッカーのまわりにポイント・オブ・アタック・ディフェンスができる選手を欲しがっているのかもしれません。
ただ、サンズは来年の1巡目指名権はネッツに行きますし、2026年の1巡目指名権もスワップです。貴重な1巡目指名権をブロニーに使ってしまっていいのかは疑問です。それともサンズはブロニー獲得のために2巡目のスワップをトレードするなどを検討しているのでしょうか?
今後の見通し
現時点でブロニーは10以上のチームからワークアウトの招待を受けているそうですが、ワークアウトはサンズとレイカーズを含むたった数チームとしかやらない予定だそうです。
また、シャムズはブロニーはツーウェイ契約はしないともレポートしています。50位圏外の選手がそんなわがままな事を言っていてもいいのかなと思いますが、本当に2巡目で指名した後にNBAスタンダード契約をしてくれるチームとしかワークアウトをしない方針を立てているのだと思います。
この後、ブロニーのエージェントのリッチ・ポールがB/Rのクリス・ヘインズとのインタビューでブロニーはツーウェイ契約はしないと明言しました。
ポール:「チームはそれ(ブロニーはツーウェイ契約はしない事)をわかっている。私はそれはやらない」
特にチームは2巡目後半の選手とはツーウェイ契約をして様子を見るケースも多いので、リッチ・ポールはエージェントとしてブロニーにNBAスタンダード契約をしてくれるチームに行かせてあげたいのだと思います。
また、ポールはそのインタビューでブロニーの現実的なドラフト指名範囲を聞かれ、「ブロニーの範囲はバラバラだ。いくつかのチームは彼は20~40位に指名されると考えていて、いくつかのチームは30~50位だと言っていて、いくつかのチームは指名されないと思っている。たったひとつのチームがあればいいだけだ。これは私がドラプト期間中に毎年やっている事だ。これはブロニー中心ではない。彼は私たちのドラフトクラスの1部だ。私はすべての選手たちに正しい契約だけではなく、正しいフィトを探すのを助けようとしている」と答えています。
Wojによると、指名された後はGリーグでの育成の時間が多くなりそうとの事です。
Woj:「レイカーズのドラフトアセットを見れば17位はとても重要で大きなトレードに使えるかもしれない。もし17位指名権をブロニー・ジェームズに使わなければ、次は55位だ。彼はそれまでに指名されてしまうかもしれない。もしブロニー・ジェームズが球団に影響を与えるとすれば、それはバスケットボールだけではなくビジネスにも影響を与える可能性があるという事だ。彼はほとんど確実にGリーグでスタートする。彼はGリーグのアリーナを埋め、マーチャンダイズを売る。それが1巡目の終わりでの指名なのか、2巡目の指名なのかわからないが、それは彼を魅力的な選手にする。彼がNBAでプレーするチャンスは確かにある」
最初に紹介したギヴォニーもそうなんですが、ESPNのブロニー評はまるでロッタリー候補について話しているかのようで、ブロニーはそこらの2巡目後半とはまったく違う選手なんだという主張が激しく飛んできます。2巡目後半予想の選手の評価がこの調子だと、1位指名が予想されるアレックス・サーの評価はオールスター級のものになってしまいそうな勢いです。
このようにESPNのブロニー評には注意が必要です。彼らにはNBAドラフト放送を成功させるというアジェンダがあるためです。今年はただでさえ、スター・プロスペクト皆無で話題性が足りないドラフトクラスになっています。少しでも数字をあげるためにブロニーを利用して盛り上げようとしてもおかしくはありません。特に今年はドラフトを1巡目と2巡目を2日に分けての放送になります。ブロニーで2巡目を盛り上げたいのでしょう。現に、ドラフト・エキスプレスはコンバイン後にブロニーを54位にまであげましたが、翌週は77位までに落とすという不思議な順位付けをしています。コンバイン後の1週間でそこまで下がる評価はなんだったのかと思います。なので、ブロニーに関しては、ステークホールダーのESPN所属のニュースブレーカーやスカウトではなく、他のメディアやスカウトの評価を追う事をお勧めします。
では、もしブロニーがドラフトで指名されなかった時はどうするのでしょうか?
ポールは次のように話しています。
ポール:「私は彼が指名されない事はないと考えている。しかし、状況が訳がわからない事になってしまった時は、私たちはアンドラフトで前に進まなければならない。それは問題ない。私は誰が真剣(ブロニーに)かがわかるくらいの経験は積んできている」
すごい自信ですね。おそらくかなりの確率で指名されることを握っていると思います。
注目のドラフトは6/26(1巡目)と6/27(2巡目)に行われます。ブロニーはポールの見立て通り指名されるのでしょうか。それとも予想外の展開が待ち受けているのでしょうか。NBAの未来を担う若き才能たちの運命を興味深く見守りたいと思います。
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