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ジャ・モラント騒動、これまでのまとめ。

NBAのインスタで史上最多の4200万ビューを記録したり、NBAのソーシャルメディアで生きるハイライトマシーンとして活躍しているジャ・モラントですが、この10ヶ月で3度の銃にまつわる疑惑と1度の脅迫疑惑が取りざたされました。2023年に入ってからNBAが銃疑惑でモラントを調査をするのはもう2回目になります。ナイキでZ世代初シグネチャーシューズ契約も持ち、チームのジャージー売上トップと将来リーグを背負って立つスーパースターのひとりとして見られているモラントですが、どうやら私生活で問題があるようです。

今回は、そのモラントの問題行動をひと通り振り返ってまとめていきます。

1:警備員脅迫容疑

去年の7月、モラントの母がメンフィスのモールにあるFinish Lineというシューズ店で従業員と口論になったそうです。モラントの母はその場で息子に電話。モラントは9人(もっと少ない可能性あり)の友人たちとやって来て、モールの警備責任者と駐車場で言い争いになったそうです。その警備員はモラントたちに駐車場から去るように要求しましたが、彼らは拒否。その時、モラントの友人のひとりが警備員の頭をこずき、それでまた口論が激しくなったそうです。

警察の記録には、モラントがモールから出て行く時に「彼が何時に仕事を終えるか調べてやる」と言ったと書かれています。おそらくモラントが意味していたのは、仕事を終えて出てきた警備員を襲う事だったと思われます。ワシントン・ポスト紙によると、その警備員が警察に届け出をしたのは、「ジャ・モラントの発言に脅迫を感じ、彼を押した人物から暴行を受けたため」だったそうです。逮捕の記録はありませんでした。

この件についてワシントン・ポスト紙が、グリズリーズ、NBA、モラントのエージェントに質問をしましたが、彼らからの返答はなし。警備員もコメントを拒否。

2:少年暴行容疑

その4日後の夕方、モラントはメンフィスの家で、バスケの才能がある地元の高校生を集めてピックアップ・バスケットボールをホストしました。その場にはモラントの両親や妹、友人たち、それに元NBA選手のマイク・ミラーもいたそうです。

TMZがモラントがそのピックアップゲーム中に17歳の少年に暴行した容疑があるとレポートしました。検察からは証拠不十分で起訴されませんでしたが、少年の母から訴えられているようです。この事件について、ワシントン・ポスト紙が新たに被害者やモラントの供述を含む警察書類を入手し、何が起きたのかより具体的に明らかになりました。

● 少年の供述から見た事件:(あくまで言い分)

その少年は以前にもそのようなピックアッPYゲームに招待されていて、警察にはモラントの事を「彼はアメイジングな事をしていた、私はオールスター相手にプレーしていたんだ」と言っていて、少年はモラントをメンターとして考えていたそうです。

その少年はそのゲーム中に世界で最も電撃的なスコアラーのひとりを守ることになりました。モラントがチェックインした時に、モラントは少年の胸に強くボールを投げました。すると、その少年はそれと同じくらい強くモラントにボールを投げ返したましたそうです。ところが、そのボールはモラントの手を滑りぬけて、モラントの顎に当たってしまいました。これが事件のきっかけです。

それからモラントは少年の肩に顎を乗せて、彼の友人たちに「彼をやっちゃう?」と聞いたそうです。友人たちは「やれ」と答えました。そしてモラントは少年のあごを殴り、モラントの友人のデボンテ・パックだと思われる人物が少年の顔の逆サイドを殴りました。パックは今後もモラントの騒動まわりに登場する「モラントの子供の頃からの友だち」です。

少年の警察への供述では「私は地面に倒れて、顔を守ろうとした。だから顔は殴られなかった。殴られはじめて、頭にパンチを受けた」とあります。少年によると、モラントは彼を12~13回くらい殴り、彼の友人は彼を4~5回殴ったそうです。警察が少年にどれくらい強く殴られたか聞いたら、少年はそれをMMA(総合格闘技)と比べたそうです。

ワシントン・ポスト紙によると、「少年から友人たちが引き剥がされた後、モラントは家に入って行って、少年は帰るために立ち上がった。少年が車で去ろうとする時、モラントは家から銃をもって出てきた。銃はズボンに押し込まれ、モラントはそれを抜きはしなかったが、少年はモラントが手を銃にかけていたのを見た」そうです。

少年は警察に「彼の父は彼に”ノー、ノー、ノー。戻って来い、家に戻れ”と叫んでいた」と供述。

その後、刑事がモラントに調書を取りに行った時、刑事はモラントに家から銃を誇示して出て来た事が事実かどうか直接聞く事はなかったそうです。ワシントン・ポスト紙が、マイク・ミラー、モラントの父、そこにいた複数の人たちにコメントを求めましたが、反応がなかったとの事。

● モラントの供述から見た事件:

9月にその事件について警察がモラントに取り調べを始めました。警察の記録では、モラントの主張は、「彼の方から最初にふっかけた。なぜなら少年はモラントの頭にボールを投げて、それをモラントに当てようとした。それから少年はモラントに向かって一歩踏み出し、スボンを上げ直した。モラントはそれを少年が『ケンカしたがっているサイン』として受け取った」というものだったそうです。モラントは「私は自分を守らなければいけなかった」と主張。刑事がモラントに少年が彼を殴ったか聞いた時、モラントは「私が最初に殴った。最初に私にボールが投げられた」と供述したそうです。

モラントの弁護士は、目撃者から」「少年がモラントにボールをぶつかっても謝らまらず、ケンカする体制をとった」という宣誓供述書を得たそうですが、誰も銃については言及しませんでした。刑事が目撃者の取り調べをしようとしましたが、誰も取り調べに現れず、誰もそれに対応する時間がなかったので、取り調べはできなかったようです。

それから2週間近く経ち、モラントと彼の家族は警察に、少年がピックアップゲームから帰る時に「(ここに)戻ってきて、この家を花火のように燃やす」と言った内容の被害届出を出したそうです。警察の記録では、「モラントと何人かの家族は、その少年は戻ってきて彼らを銃撃すると信じていて、モラントと家族を怖がらせた」と供述したとの事です。

この辺りのモラントの行動は、裁判で不利にならないため弁護士が提案した事だと思われます。

9月に入り、その少年と少年の母は、モラントと彼の友人のデボンテ・パックを訴えました。訴訟は公から隠すためにすぐに見られないようになっていたそうですが、少年の母はモラントに$1M以上を要求したそうです。ちなみに、その母は訴訟沙汰を何度も起こしていて、子供たちがスクールバスでいじめられたとして消防署を訴えた事もあったそうです。モラントの弁護士は、そのピックアップゲームでの事件の後、少年の母は$20Mを要求したと主張。モラントの弁護士はワシントン・ポスト紙のコメント要求には返答しなかったそうです。

3:レーザー照射容疑

The Athleticのボブ・クラヴィッツとサム・エイミックが、1/29のペイサーズ対グリズリーズの試合後、アリーナの駐車場でペイサーズがモラントの乗るSUVから銃のレーザーのようなものを照射されたとレポートしました。そのためNBAは調査に動きます。その結果、NBAは「どのような人物も武器を使って他人を脅した証拠は見つけられなかった」と結論を出し、何も罰則はありませんでした。

この騒動のきっかけになったのはモラントと一緒に少年を殴っていたと言われているデボンテ・パックです。

試合中にペイサーズとグリズリーズのチームメンバーが言い合いになった時、モラントの父のティー・モラントとデボンテ・パックがペイサーズの選手たちに向かって直接言葉を投げたそうです。3Qにはパックが複数のペイサーズの選手たちを直接罵倒しにコートに入ったため、審判が間に割って入り、最終的にパックは警備員によって退場させられました。

それに憤慨したのか、パックは仲間達と駐車場で試合が終わって出てくるペイサーズを待っていました。The Athleticによると、「ペイサーズがバスに乗り込む時、30~40ヤード離れて駐車されていた2台の車からパックと仲間たちの5~6人が出てきて、ペイサーズの30フィートまで詰め寄って、ペイサーズに向けて叫びはじめた」そうです。

パックたちが叫んでいたのは「かかってこいよ」とか「オレたちのやり方を知らないだろ」とか「オレが何ができるか見せてやるよ」の内容だったそうです。それに対し、ペイサーズの選手たちも叫び返しました。ペイサーズとNBAとアリーナの警備員が彼らの間に入って止めたそうです。

The Athleticによると、「言葉の言い合いは断続的におよそ15~20分続き、モラントがそこに現れるまで続いた。モラント、パック、他の人たちは2台の車に別れて乗り込んだ。モラント、パック、ほかのひとりがSUVに乗り込んだそうだ…そのSUVはペイサーズのバスに向かって行き、曲がり、スピードを落とし、その時、ペイサーズの人たちが、SUVから赤いレーザーが選手たち、コーチたち、他の人たちに向けて照射されたのに気づいた」そうです。まるでよく映画で見るドライブバイ・シューティングそのものです。

そのレーザーが銃についていたものだったかはさすがにペイサーズにはわからなかったそうですが、そこに立ち会ったペイサーズの警備員は「あれは100%銃だった」と話していました。ペイサーズの当事者は「私たちは重大な危機にさらされたと感じた」と言っていたそうです。また、パックたちからの報復を恐れて、警察に届出はしない事に決めたそうです。

これについてパックからのコメントは得られなかったとの事。

ペイサーズはこの事をNBAに警告し、NBAが調査に入りました。調査の結果を受けて、NBAのスポークスパーソンのマイク・バスは「インディアナ・ペイサーズから1/29の試合後の件に関して申し立てがあり、NBA警備とリーグの調査員は、多くの目撃者たちにインタビューをして、監視カメラを確認して調査をした。インタビューや集められた証拠から試合後に衝突した状況は立証されたが、どのような人物も武器で他人を脅した証拠は見つけられなかった」と証明したと話しています。

(当然ですよね、クルマの中でレーザーが銃につけられたものだったかどうかわかる術はありません。証拠が見つけられなかった=モラントたちが実際に銃を向けなかったという訳ではありません)

モラントはこの記事に対して、ツィッターで「調査で彼らが嘘をついていたのがわかった。それでもまだ記事を出して、私と私の家族にネガなイメージを植え付ける。私のブラザー(パックの事)を1年ホームゲームで出禁にした」と投稿。

モラントはレポーターたちに「それら全部はほとんど間違っている…正直気にしていない。私の人生のこの時点で、私はエネルギーを守る。私は誰にも反応しないし、誰も楽しませない。彼らにはイイネやクリックが必要なんだ」と言って、事件の詳細に触れる事はなかったそうです。おそらく、ただのレーザーで他人をからかっただけだけでも銃撃事件が大きな社会問題になっている中で大問題になりそうだったからだと思われます。

モラントのエージェントのジム・タナーは、前述した銃関連の容疑を認めず、「根拠のない噂とゴシップが、ジャを引き裂きさいて、彼らの金の目的のために彼の名声を汚そうとしている人たちによって捏造されている。武器にまつわるすべてのどのような容疑も、完全に調査され、証拠が見つかっていない。これは先月のNBA調査も含まれる。そこで彼らは証拠を見つけられなかった」と声明を出しています。

4:銃見せびらかし容疑

モラントが深夜に自分のインスタライブで「銃のようなもの」を持っているのを見せてしまいました。ESPNのラモナ・ジェルバーンによると、場所はデンバーのストリップクラブやショッピングセンターに囲まれたグレンデールと呼ばれる場所にある「Shotgun Willie's」というバーだったそうです(ストリップクラブだったという意見も多数あります)。

3/1にワシントン・ポスト紙が、モラントが少年を殴って家から銃を持ち出した記事が出てから1週間と経っていないタイミングです。

そのため、すでに世間のモラントに対する疑惑が温まっており、自分自身で更なる炎上を招いてしまう結果になってしまいました。メディアではレーザー照射や少年を殴った記事よりもだいぶ大きく扱われ、肝心のバスケットボールよりも大きな話題になってしまいました。

過去2回の銃に関する事件では、証拠不十分でNBA的にも社会的にもあまり厳しい措置を取られる事はありませんでしたが、先週の銃騒動では自分で「銃のように見えるもの」をインスタライブで見せらかすという失態を犯して言い訳ができない状況になってしまいました。頭が良さそうなモラントの事です。自分の置かれている状況を客観的に判断できていない訳はありません。単純に気にしてなかったのでしょう。

グリズリーズはモラントを家に帰し、彼にまず2試合の出場停止処分を課しています。この出場停止処分はリアルな出場停止処分ではなく、まだサラリーも払われるまだ甘い処遇なようで、「チームから離れる」と言った方が正確かもしれないとの事。もしNBAが出場停止処分を与えれば、サラリーなしの出場停止処分になるのは間違いないでしょう。

コーチのタイラー・ジェンキンスはモラントの復帰については「完全なタイムテーブルはない。私たちはそれが少なくとも2試合だとは言っているが、試合ごとに様子を見て行く。今は癒しのプロセス中だ。だから彼の復帰のタイムテーブルがいつになるかわからない。これはタイムテーブル的状況ではない」と話していました。2試合の出場停止処分が終わった後、グリズリーズは少なくても後4試合は「チームから離れる」と発表しています。

NBAはこの件について調査を始めると発表。しかし、ESPNのブライアン・ウィンドーストはNBAはまだ調査をはじめていないとレポートしています(3/7時点)。ウィンドースト:「私はNBAがこの状況についてまだ調査をはじめていないのを知っている。なぜならジャの前の調査がまだ止められていないからだ。彼らは懸念していて、彼らは裏の情報とこの数週間でいつもよりも多くの情報を集めて、何があったか理解しようとしている」

NBAの調査では、その銃が本物か、誰の登録の銃か、それは機内に持ち込まれたか、ロッカールームに持ち込まれたかなどが調べられるようです。モラントがインスタライブで「銃のようなもの」を見せびらかしていた日は、グリズリーズがデンバーでのナゲッツ戦に負けた後で、その翌日にはクリッパーズ戦のためにロスへの移動があるタイミングで、銃が機内に持ち込みがあったかも大きな焦点になりそうです。

と言うのも、NBAは、CBAで選手たちがチームの施設や飛行機内に銃を持ち込む事を厳しく禁じているからです。

マーク・スタインによると、もしモラントが銃を機内に持ち込んでいた場合、50試合の出場停止処分が課されるかもしれないそうです。ただ、「この50試合」はコミッショナーの故デヴィット・スターンが銃をロッカールームに持ち込んだギルバート・アリーナスに対して残りシーズンの出場停止処分を課した際に、その残り試合数がたまたま50試合だっただけであって、本来は出場停止にするべき試合数の決まりはなく、コミッショナーが適切だと考える期間の処分になるようです。

また、NBAチームにはそういう問題を調べる「プロ」がいて、グリズリーズもそのような事件を調べて知っているはずだそうです。そのため、グリズリーズの持っている情報もNBAに共有されるものだと予想されます。

ESPNのSAS(スティーヴン・A・スミス)も、NBAは非番の警察官やFBIとも繋がっていて、NBAは何でも知っていると言っていました。これは後述するカーメロ・アンソニーの話から取ったと思われます。いずれにしても、NBAはかなりの情報収集能力がある事には間違いありません。

モラントの調査をはじめたのはNBAだけではありません。デンバーのグレンデール警察も調査をはじめたそうです。コロラド州は銃の携帯は合法ですが、アルコール影響下にある時の武器の所持は違法だそうです。もしこれで有罪になれば、懲役120日&/or最高$750の罰金になるそうです。NBAの罰金よりも少ないですね。

この警察の調査では、「銃による脅迫や脅しはなく、銃はみつけられなかった。誰かを犯罪で起訴する十分な証拠はなかった」と結論を出しています。今となってはモラントが酔っていた事は証明できないでしょう。

この件に対し、モラントは「昨夜の行動に全責任を負い、助けを得て、ストレスと対応するより良いメソッドと全体的なウェルビーイングになる事を学ぶため、しばらくの間チームから離れる。私の家族、チームメイトたち、コーチたち、ファンたち、メンフィスの街、そしてグリズリーズ球団全体に失望させた事を謝罪する」と声明を発表。

ここでのポイントはふたつあり、ひとつ目は銃は本物ではないと否定しなかった事です。もしオモチャやレプリカなら、その情報がすでに出てくるはずです。ふたつ目のポイントは、問題は銃ではなくメンタルだったというナレティブをつくって逃げ道を確保している点です。モラントの言っている事は本当かもしれないのですが、「警備員脅迫容疑」や「少年への暴力&銃での脅迫容疑」、それに「ペイサーズへの銃のレーザー照射容疑」が出ているので、完全に信用してもらう事はむずかしいのではないでしょうか。

ESPNのティム・マクマホンによると、モラントのライフスタイルが問題になっていたようですが、モラントは試合で結果を出しているので、グリズリーズはそれに対して何も言えないようでした。そのためマクマホンは、これはモラントにとっては振る舞いを変えるチャンスだと話しています。

SIのクリス・マニックスがメンフィスのソースから聞いたところでは、モラントはメンフィスで悪い影響を与えている取り巻きと一緒にいるようです。マニックスは、その取り巻きはモラントが選んでいるようなので、数々の問題の言い訳はできないとも話しています。問題は取り巻きの友人ではなく、それを選んでいるモラントにあるとも。

また、 ESPNのシェルバーンは、グリズリーズはこの銃問題の前に「次第に公になりつつあるいくつかの事件と彼の行動パターンを監視してわかった事を元にして、モラントと会話を持ったが、モラントに聞き入れてもらえなかったと聞いた。いずれこれがあなたと私たちにとってまずい問題になると言うメッセージも聞き入れてもらえなかった」とレポートしています。球団の中には、この件でやっとモラントから理解が得られるのではないかとの楽観的見方もあるようです。

また、これはモラントの将来的な稼ぎにも影響してきます。ナイキは新世代を代表するスター選手としてジャ・モラントを選び、Z世代選手初のシグネチャー・シューズを与えました。その「Ja 1」は4月にリリース予定になっています。タイミング的にもNBA調査が終わりそうもない中、ナイキも十分なプロモーションができなくなるのではないでしょうか。

また、ナイキは反ユダヤ主義発言で謝罪をしなかった事がきっかけで、カイリー・アーヴィンを切っていますが、モラントもこのような振る舞いが続けばナイキがどう出るかはわかりません。ぜひナイキからも裏でモラントにアプローチして、二度とこのような事がないように言ってもらえたらと思います。

ナイキの声明:「ジャの責任感と必要な助けを得る時間を取る事に感謝している。私たちは彼のウェルビーングを優先する事を指示する」

コカコーラのスポーツドリンクのPaweradeもモラントとの5年のエンドースメント契約3/1に発表したばかりです。Paweradeにとってモラントは、スポーツドリンク市場の60%以上を占めるペプシのGatoradeに挑戦する重要な選手です。PaweradeがNBA選手をブランドの全面に押し出すのは5年ぶりだそうです。

モラントは、他にもモノポリーで有名なおもちゃ会社のハスブロやアップルのBeatsなどとエンドースメント契約をしています。それぞれ企業イメージを大切にする会社だと思うので、大人になってクライアントを大事にして欲しいと思います。

今回の件はエンドースメントだけではなく、モラントのサラリーにも影響してきそうです。モラントはグリズリーズと5年$233Mのマックス・ルーキー契約延長にサインしていていますが、ローズルールの対象になるので、もし今シーズンオールNBAチームに入る事ができなければ5年$190Mの契約になってしまいます。これは$43Mの違いです。これで出場停止処分が長かったり、投票者の心象が悪くなれば、オールNBAには選ばれないでしょう。すでにガード枠は激戦で、オールNBAに入る6つの枠を巡って、ステフ・カリー、デミアン・リラード、ルカ、SGA、ディアーロン・フォックス、ドノヴァン・ミッチェル、ジェイレン・ブラウン、ジェームズ・ハーデン、ジェイレン・ブランソン、タイリース・ハリバートンらがひしめき合っています。

30歳までにビリオネラーになる目標を持っているモラントにとって、このような問題は障害になるだけです。銃やギャング的なサグ・ライフを前面に押し出してビリオネラーになるのはラッパーでも難しいのではないでしょうか。また、ビリオネラーになる前に、彼はリーグを背負って立たなくてはいけません。ファンをはじめ、同じビリオネラからリスペクトを得られなければ、その先にあるスリーコンマクラブへはあがれないと思います。

モラントへの制裁がどのようなものになるのかをより理解するために、過去のNBA選手の銃トラブルや出場停止処分の事例を見てみましょう。

● スティーヴン・ジャクソン

2006年にペイサーズに所属していたスティーヴン・ジャクソンが、インディアナのストリップクラブの前で殴られて車に轢かれたため、銃を中に向けて5発撃った。これでジャクソンは裁判で重罪判決を受けて、NBAから7試合の出場停止処分を受けた。

● カーメロ・アンソニー

2006年にナゲッツに所属していてコート外で問題を起こしていたカーメロ・アンソニーがニックスの選手たちと乱闘し、ニックスの選手を殴って15試合の出場停止処分を受けた。後にメロは、なぜ自分だけがそんなに長いのかスターンと話した時に、スターンから「ストリートにいたいのか、それともNBAにいたいのか?お前は今企業を相手にしている。それを受け入れろ。私はお前が誰といるのか知っている。お前がどこに住んでいるのか知っている。私は彼らがどこに住んでいるのか知っている。私はお前がいつ寝るのか知っているし、いつ起きるのかも知っている。私は彼らが何をしているのか知っている。お前は彼らに止めろと言うか、彼らを切るかのどちらかだ」と言われたと明かした。

最近メロはその件について「NBAがFBIと関係があると知ったのはその時だ」と話し、また「$100Mのサラリーを与えるなら、NBAはその選手の全てを知っていないといけないという事を理解した」的な事を話していました。

その後、メロは一緒に住んでいた問題のある友人を家から出したりして更生していったそうです。そのため&スコープのマーク・J・スピアーズは、メロがモラントのメンターになるべきだと提案しています。

当初はそんなヴィラン的な選手だったメロも今やFIBAワールドカップのアンバサダーに就任しています。モラントにも更生するチャンスはまだまだ残されています。

● ギルバート・アリーナス

2010年にギルバート・アリーナスがロッカールームに銃を持ち込み、裁判で銃の不法所持を認め、NBAから50試合の出場停止処分を受けた。アリーナスは裁判で罪を認めたため、アディダスからエンドースメント契約を破棄されている。出場停止処分を受けた時、彼がスターンに50試合の出場停止処分は受け入れられないと伝えただ、スターンから「もしお前が戦うなら、私は全力でお前のNBA契約を取り上げる」と言われていたと明かしている。

● レイモンド・フェルトン

2014年にレイモンド・フェルトンがニューヨークで登録されていない銃の不法所持の罪を認め、4試合の出場停止処分を受けた。

NBAは銃暴力にも声をあげていて、昨シーズンのNBAファイナルズでもユヴァルディの小学校銃撃事件を受けて、選手たちやコーチたちが「END GUN VIOLENCE」のTシャツを着ていました。

これらのモラントの行為はNBAの方針とは真逆にあります。今のコミッショナーのアダム・シルヴァーはスターンと比べてかなり選手よりでソフトな印象ですが、問題を起こし続けているモラントに対してはどのような処分や罰則を与えるのでしょうか。銃関連の過去事例を見ると、モラントの件に関しては有罪判決が出ている訳ではないので、それほどびっくりするような期間の出場停止処分にはならないと思います。もちろん、飛行機に銃を持ち込んだとか証明されなければの話ですが…

このモラントの一連の騒動をこうして振り返ると、公私ともに不祥事や問題をおこさずにリーグの顔であり続けているレブロンやステフ・カリーがいかに偉大な選手なのか実感します。モラントも早くヒール役のイメージを捨ててステフレベルまで格を上げないと、すでに王道感がハンパないウェンバンヤマに「未来のNBAを背負って立つ若い選手」の座を早々に奪われてしまうかもしれません。


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