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ジミー・バトラーのウルブス時代のスクリメイジ

今年のプレーオフのファーストラウンドでNo.8シードのマイアミ・ヒートがジミー・バトラーの大活躍によってNo.1シードのミルウォーキー・バックスを破るジャイキリがありました。しかもジミーのマッチアップがディフェンスがリーグ1うまいとされている選手であるジュルー・ホリデーでしたが、ノー問題でした。ジミーはホリデーに「お前の頭の上から38点とった。お前を壊した」や「お前は勝てない」とかトラッシュトークをしていた程シリーズはノっていました。

足首捻挫のため、セカンドラウンドのニックス戦のゲーム2は欠場しましたが、ゲーム3から復帰し、ヒートがシリーズを3-2でリードする原動力にもなっています。

そのプレーをみた元マブスのアナリストのヴォルガリスはジミーの事を「アルファの中のアルファだ」と呼ぶ程、カリスマ性のあるプレーを見せています。

今回はジミーがなぜプレーオフのような大舞台の方が調子が出るのかよくわかるエピソードを紹介します。


ジミーは2018年にウルブスにトレード要求をしたと報道された後にはじめて参加したスクリメイジで、サードチームを率いてスターターを負かし、GMに向って「勝つにはオレが必要だ!オレなしでは勝てない!」と叫んでトレード報道に火をつけた事があります。そのスクリメイジの内容も破天荒でジミーらしいものでした。

  • サードチームと一緒にプレーしたスクリメイジでウルブスのスターターを破った。スターターは、ジェフ・ティーグ、アンドリュー・ウィギンス、タジ・ギブソン、KATがいたようです。

  • シュートは1本しか撃たなかった。

  • GMのスコット・レイデンに向って「勝つにはオレがFucking必要だ!オレなしでは勝てない!」と叫んだ

  • コーチのトム・ティボドーやチームメイトのKATやアンドリュー・ウィギンスにもトラッシュトーク。それにうんざりしたKATがスクリメイジ中にボールを蹴った。

  • ジミーはずっとロレックスをつけてプレーしていた。

  • その後すぐにESPNのインタビューを受けてトレード要求について語った。


その時スターターチームでプレーしていたジェフ・ティーグが自身のポッドキャストで、そのスクリメイジで何があったのか明かしていたので紹介します。

ティーグ:「時間が切れて彼ら(ジミーのチーム)が勝った。彼らは私たちを18-6くらいで破った。ジミーはクレイジーになっていた。『お前らみんなあのチームは私なしで勝てると思っているのか!私こそが最高だ!払え!払え!」

これはウルブスのGMへの発言だと思われます。ジミーがウルブスにトレード要求した理由のひとつに、サラリー交渉があると言われており、ジミーは「リナゴシエーション&エクステンション」で、そのシーズン$30M+次の再契約の$145Mを要求していたようです。しかし、ウルブスはその夏先にアンドリュー・ウィギンスとKATのふたりにマックス契約をコミットしていて、チームをプレーオフに導いたジミーにはマックス契約延長の4年約109.9億円のオファーに留めました。FAになれば4年$141Mの契約ができるジミーはそれを断っています。そのためジミーはここでGMにつっかかったのではないでしょうか。

ティーグは続けます。「彼はその時はまだジョーダンのワームアップをまだ脱いでいなかった。彼がそれを脱いだ時、彼はウルブスのTシャツを着ていたんだけど、彼は「Minnesota(ミネソタ)」の文字を切り取っていて、その穴から見えていたのは胸だった。彼はショーツのウルブルのロゴも切り取っていた。彼は真ん中に穴が空いているTシャツと足の真ん中に穴が空いているショーツを着ていたんだ。私は爆笑してしまった。私は『ブロ、お前はクレイジーだ』と言って笑っていた」

四角い穴が空いているTシャツを着ているジミーの姿を想像するとほんとに笑ってしまいます。いくらトレード要求したからと言っても、まだ所属しているチームのロゴを切り取ってしまうってどうかしてますよね(笑)。ベン・シモンズとはメンタルが大分違うのがわかります。

KATも最近このスクリメイジについてポール・ジョージのポッドキャストに出演して次のように話しています。KAT:「私たちは練習でゲームをした。それは4人のスターターとジミーと彼のマーケット大からの友人のオドムと他の3人だった。その中のひとりは実際に私たちのスターターになったと思う。私はバスケをして、ジミーはたくさんパスをしていた。彼はフリースローを1本得た。私たちが言い合ったのを覚えている。彼はシットを言っていて、私はシットを言い返した。私はそうするつもりはなかった。ティボドーがあの震えをやりだした。ティブスが震えているのを見て、私はティブスがハッピーになっていて、笑顔になっているのがわかった。彼はそのシットでちょっと笑顔になった。結局彼らが試合に勝った。私は彼らは最後のショットを決めたと思う。だから、それはちょっとした素早いスクリメイジだった。それはどうでもいいが、彼がみんなに叫んでる中で起きたのを覚えている」

ティーグの話に戻ります。

ティーグ:「でも私は彼がたった今Gリーグのチームで私たちに勝った事に気づかないでいた。彼は『私はGリーガーで彼らを負かした!これがお前のスターターか?!』と言っていた。まだ私は笑って泣いていた。でも私は『待て、彼は私のことを話している。私はスターターのひとりだ』と思って、私は怒った。私たちスターターはみんな『もう一回やるぞ!』となった。ジミーはロッカールームに駆けて行った。それも全速力でだ。だから私たちはセカンドユニットとプレーして、彼らを破った。私たちスターターはみんなロッカールームへ走って行って、『ジミー、お前のassをこっちに持ってこい。もう一回やるぞ!』と思っていた。ジミーはいなかった。ジミーは家にいた。私たちはプレーし続けて、もう1時間くら練習した。私たちみんなシャワーを浴びてロッカールームへ行ったらESPNがついた。レイチェル・ニコルスとジミー・バトラーがTVに出ていた。私たちは『what the fuck!』って感じだった。ジミーは『私は練習で彼らを負かした。私は彼らはみんな良い選手達だと思う…』と言っていた。私たちは『なんだって、ちょっと待て』って感じだった。ウソは言っていない。彼は(練習に)やって来て、私たちを負かして、それから家でインタビューを受けたんだ。それは私がバスケットボールに関わってきた中で最もアイコニックな瞬間のひとつだった」

ティーグが言っていたESPNのレイチェル・ニコルスとの独占インタビューはジミーサイドがトレード要求のPRのために仕込んだものです。

ジミーは、レイチェル・ニコルスとのインタビューで次のように語っています。「みんなが勝利を優先的に考えなければいけない。誰とは言わないが、正直に言おう。勝利をNo1の優先事項にしている選手とそうでない選手は衝突する… 『オレはチームのためにやっているが、お前は?』『う~ん(その選手が答えに悩むマネ)』…  その通りだ。それが分断だ… チームの中でKATがいちばん才能がある。神の恵みを受けているのは誰だ?ウィグス(ウィギンス)だ。ウィグスは腕がいちばん長く、手がいちばん大きく、誰よりも高くジャンプをし、誰よりも速く走る。でもいちばんハードにプレーしているのは誰だ?それは私だ。私はとてもハードにプレーする。どの練習でも試合でも身体をはっている。それが私の情熱だからだ。それが(私が)ゲームに与える事だ。それが(私が)チームメイト達に与える事だ」

このようにジミーはそのインタビューでトレードを要求した原因にはチームメイトにも理由がある事を示唆しています。

その後も、プレー時間の長さの不満を語ったり(約束では毎試合35分くらいだった。HCはトム・ティボドー)と、ジミーのニュースが尽きる事はありませんでした。そして11月11日、ウルブスはやっとトレードを要求していたジミーをシクサーズへトレードします。ウルブスは、ジミー・バトラー+サラリー・フィラーのジャスティン・パットンをシクサーズへ、シクサーズは、スターターのロバート・カヴィントン+ダリオ・サリッチ+ジェリッド・ベイラー+2020年の2ndラウンドピックをウルブスへトレードしました。シーズンはじまってすぐのタイミングのトレードはあまり見ないので、かなり印象的なトレードでした。

また、2年前のヒート対ウルブス戦で、ジミーから「ルーザー」とか「赤ちゃんのうんちのようにソフトだ」とかトラッシュトークされて、「レイチェルに電話しろ」と言い返したKATがジミーとの関係について、「私たちには違いがあったが、オールスターゲームで会って話した。私は彼の家族がどうか聞いて、彼は私の家族はどうか聞いた。私は私たちは今クールなところにいると思う」と話しています。ジミーはウルブス時代に「若い選手たち(特にKAT)の無関心な態度に苛立っていた」と言われていましたが、やはりウルブス時代にジミーとKATの間で何かがあったのは間違いがないようです。

このような逸話から、ジミーは「トキシック・チームメイト」や「コーチキラー」と呼ばれる事もあるようですが、元チームメイトのマーキーフ・モリスはそれを否定しています。

モリス:「誰かが彼は全てのコーチにとって良いとは限らない…コーチキラーだ…と言っていたのを聞いた事がある。彼はまったくそのような人ではない。彼は毎日練習に来て、トラブルを起こしたがっている訳ではない。ジミーはとてもアンセルフィッシュだ。彼は『スーパースター』というレッテルを貼られるのを嫌っている。なぜなら彼はすごくチームプレーヤーだからだ」

たしかにジミーは、バックスとのシリーズのゲーム4で56得点して「プレーオフ・ジミー」と言われた時に、「そんなようなものはない。私はただバスケをしているだけだ」と自分が特別であるような言われ方を否定しています。モリスによると、ジミーはスーパースターのように最後のショットを撃たなければならないというようなゲームはせずに、勝つためにプレーしているそうです。

こうして見て行くと、ジミーがプレーオフのような大舞台で活躍するのは、チームのために自分が得点をしなければいけないと認識しているからではないでしょうか。そのためレギュラーシーズンでは、常にパスを出したりと正しいプレーをしているジミーが、プレーオフでは多少セルフィッシュになっても点を取りにいくことでチームの勝利に貢献しています。そして、何事にも怯まないジミーの強いメンタルが「プレーオフ・ジミー」を覚醒させ、それがチームメイトたちにプラスに波及し、チーム全体の成功に繋がっているのだと思います。

ジミーはこのプレーオフでNo.8シードのヒートをどこまで引っ張っていけるのでしょうか。更なる「プレーオフ・ジミー」覚醒はあるのでしょうか。今後のプレーオフをおもしろくしてくれる事を期待しています。


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