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ジャ・モラント:ワシントンポスト紙の取材と2回目の銃問題について

再びグリズリーズのオールスターのジャ・モラントが銃を持った映像がSNSで広まりました。2ヶ月で2回目!それを見たNBAコミッショナーのアダム・シルヴァーも「ショックを受けた」と言っていました。おそらく前回の件で反省していると思って彼のこれからの更生を応援していたのでしょう。

ESPNのブライアン・ウィンドーストは、前回のストリップクラブでの銃の件でモラントにNBAの調査が入るのはペイサーズの件に次いで2回目なので「ツーアウト」だと言っていましたが、今回の件でNBAの調査は3回目になり「スリーアウト」になります。

スリーアウトになったモラントにNBAがどのような処置を下すのか気になるところですが、その前にモラントの少年暴行疑惑や店員脅迫疑惑などの問題行動に関してのより詳しい続報が出てきましたので、紹介します。

今回はワシントン・ポスト紙の取材に、被害者が実名と顔写真つきで声をあげていているため、事件の信憑性がより増しているものと思われます。また、地元のスターのモラントへの調査をいい加減にした警察の対応も問題になっているようです。ちょっとモラント問題はお腹いっぱい感がありますが、これまで追っかけて来ているので、せっかくなので今回も取り上げてみようと思います。

まずその前に、モラントがこの1年で起こした問題に何があったのか軽く振り返ってみましょう。

  1. 警備員脅迫容疑:モールの警備員を脅迫した容疑→店員脅迫容疑も追加。

  2. 少年暴行容疑:ピックアップ中に少年を殴る。現在裁判中。

  3. 高校生脅迫容疑:妹の通っている高校生に家族と仲間で詰め寄り、仲間が高校生を脅迫。

  4. ペイサーズに向けて銃のレーザーを照射した容疑:SNSでウソだと主張。NBA調査入る。

  5. インスタライブでストリップクラブで酔いながら銃見せびらかした容疑:NBA調査入る。

  6. 8試合の出場停止処分

  7. 友人のパックのインスタライブで銃を持って歌っていた疑い←NEW!

他にも仲間が銃を振り回したり、SNSのリプで弾丸がどう感じるか知るのは自由だ的な事を発言したり細かい事はあるようですが、ここではワシントン・ポスト紙の記事を上記1、3、2の順でまとめていきます。

店員脅迫疑惑

モラントは、ESPNとのインタビューで最近の事件のほとんどは、自分の家族を守るためだった話していて、この店員脅迫疑惑も家族を守るために様子を見に行っただけ的なニュアンスでした。

モラント:「電話があって、母が無事か確認しに行った。それは私のライフラインだからだ。私を産んでくれた。私は彼女の安全を確認したかった。それがわかった後、私はその場を去った。それもまた真実を言える事が待ち切れない」

しかし、被害にあったギヴォン・バズビーの話は違います。

(ギヴォン・バズビー)

バスビーによると、彼がFinish Lineというシューズショップで忙しく働いていた時に、モラントの母が自分の前にバズビーが2人の白人女性についていた事に怒ったそうです。そしてバズビーがモラントの母に、彼女が欲しがっていたシューズ(オレンジとチーター柄のナイキ ヴェイパーマックス 2021)のサイズがないことを伝えた時、彼女は更にキレたそうです。彼女は息子に電話すると言っていたとの事です。バスビーは、モラントが約9人のグループと一緒に店にやって来るまで、その女性がモラントの母であるジェイミー・モラントであることを知らなかったそうです 。

店のマネージャーは、バズビーに安全のために店の奥に行くように指示したそうです。

そして店に取り巻きとやって来たモラントは、「ドレッドの背の低い男はどこだ?」と言ってバズビーを探したそうです。バスビーによると、モラントは店内で叫び続け、店内の関係者以外の立ち入り禁止されたストックルームまで入って行って、窓を覗き込んだりして彼を探したそうです。モラントは「お前の仕事が終わるまで待つつもりだ」とドア越し叫び、バズビーは、「彼は本当に私を捕まえようとしている」と思ったそうです。 その時バスビーは「彼は私を傷つけようとしている」と思い、その後1時間近くストックルームに隠れたそうです。その間、感情的に「震え」た事もあったとの事。

その後、バズビーはモラントが自分を待ち構えているのではないかと恐れながらモールから抜け出したそうです。バズビー:「何が起こるかわからなかったので、実際に外に出るのが怖かった。私は人生でそのような状況にあったことは一度もない」

モラントの取り巻きは下のYoutube感じで銃を見せびらかすのが好きな輩っぽいので、バズビーさんが怖がるのも理解できます。

バスビーは大学の次の学期のためにお金を貯めていて、店では時給は$9.25で働いていたそうです。彼はモラントの脅迫行為でその日の残りの時間の時給を失ったことが痛かったと言っています。

その4日後、バズミーはメンフィス警察署に行って何が起こったのかを報告したそうです。バズビーは警察に、店の防犯カメラで証拠映像を確認できると伝えていましたが、警察はモラントを追及しようとしませんでした。バズビーは「基本的に、警察は私が嘘をついていると思っていたように感じる」と話しています。

ワシントン・ポスト紙は、「報告書では、この潜在的な犯罪を『脅迫』として挙げている。モラントの母親の事は、Google検索で身元を特定できるにもかかわらず、『容疑者No.1不明』と記載されている。そして、バスビーは、脅迫したのはジャ・モラントだと主張したが、警官は報告書でモラントの事を容疑者として言及しなかったため、報告書が世間の目から隠蔽されてしまった。メンフィス警察はポストに対し、モラントを容疑者として挙げた報告はないと語った。」と書いています。

バズビーは学校のスケジュールが忙しいため、モラントに対して訴訟を起こす可能性は低いだろうと話しています。また、彼は有名人から金銭を得ようとするタイプの人間ではないと主張し、この件について話しをしたのは、単に自分の声を届けたいという思いからだったそうです。「有名だからといって、普通だと思っている人に何かをすることはできない。私たちは皆同じだ」

私には真偽はわかりませんが、あきらかにモラントとバズビーの話に乖離があります。お客さんが入れないところまで行って店員を探す行為は明らかに「私は彼女の安全を確認したかった」以上の攻撃的な行為です。バズビーさんがビビったのも無理はありません。

(ポスト紙が連絡を取ったところ、母のジェイミー・モラントはレポーターが自己紹介した後に電話を切りました)

高校生脅迫疑惑

モラントの妹が通う高校で行われていたバレーボールの試合中に、モラントの妹が別の生徒と口論になってモラントを学校に呼び出しました。高校にはモラント、母のジェイミー、父のティー、モラントの幼い娘、そしてモラントの取り巻きが体育館に現れたそうです。

(モラントが家族や仲間と一緒に乗り込んだ高校)

その時のジャーマンタウン警察の報告書によると、モラントの母はモラントの幼い娘を抱きながら、生徒や教頭に罵声を浴びせたそうです。警察官が現場で事態を収拾しようとしている中、モラント一家に同行していたモラント取り巻きのひとりが警察官を押しのけて2階に行って、その場面を撮影しようとしていた生徒たちの手からスマホを叩き落とし、「お前らをぶっ飛ばす」と脅迫したようです。

被害にあった学生の親のひとりは告訴を希望したようですが、グリズリーズのセキュリティ責任者であるケビン・ヘルムスが状況を収拾するために高校にやって来たそうです。警察はヘルムスに対して、関係者に不法侵入警告を出すよう依頼したとの事。
ヘルムスはシェルビー郡の元シェルビー警察の警部補で、モラントと親しく、モラントのはじめてのオールスター・ゲームに行くために一緒にプライベートジェットでクリーブランドまで付き添った人物です。ただの球団の警備員ではないのは、彼はその時にモラントの連れのデヴォンテ・パックが立ち上げたアパレルブランド「My Brothers No Others(略してMBNO)」の服を着ていた事からもわかります。

ヘルムスが関わったためかわかりませんが、このように警察はモラントの連れの身元を調べる努力はほとんどしませんでした。警察の報告書には、その脅迫男性は「赤い帽子、灰色のシャツ、ショートパンツを着用」とのみの記述されていたそうです。警察はヘルムスに誰がモラントと一緒にいたのかを特定するよう依頼したそうですが、「報告書の作成時点ではその情報を受け取っていない」と書かれています。

警察は更なる調査で防犯カメラの映像を入手し、9人の学生からの証言を得たそうですが、警察署はその事件についての調書をリリースする事はありませんでした。

少年暴行容疑

モラントからピックアップゲームで殴られた少年の名前はジョシュア・ホロウェイ。バージニア州の強豪校のオークヒル・アカデミーのポイントガードです。

4年前のホロウェイのプレーです。タイトルは「トゥルーポイントガード:ジョシュア・ホロウェイはメンフィスバスケの未来だ!」

何があったかは以前ワシントン・ポスト紙の記事の内容をまとめたこちらをご覧ください➡️「ジャ・モラント騒動、これまでのまとめ」

ワシントン・ポスト紙が新たに入手した情報によると、ホロウェイの暴行容疑は以下のような流れになります。

  1. ホロウェイは事件当日にメンフィス警察に報告。

  2. 同じ日に、保安官代理が事件の詳細を聞き取るため、ホロウェイの自宅を訪問。

  3. ホロウェイはバスケットボールを使いながら、モラントの家のコートで起きた出来事を説明。ホロウェイは、ピックアップ中にモラントにボールを強く当てたことが原因で、モラントが怒って友人のパックと自分を殴ったと主張。

  4. ホロウェイはその時警察に、後に訴訟で主張することになるいくつかの事を伝えなかった。事件で興奮していたため、警察の最初のやりとりでは銃のことを思い出せなかったが、後から自分がモラントの家を出る時にモラントが銃を見せたと主張。最初の民事訴訟では、モラントの妹もホロウェイを蹴ったり殴ったりしたと主張。モラントの弁護士はそれらを否定。

  5. ホロウェイの家の外で、保安官代理たちは直ちにモラントを逮捕するべきかどうかを議論。保安官代理は上司から指示を受けたが、具体的な内容は書類には記載されず。

  6. モラントはその夜もその後も逮捕されなかった。事件は停滞し、モラントがホロウェイの主張についての聴取を受けることなかった。

  7. 事件の2週間後、モラント一家が警察に、ホロウェイが自宅を出る際に「家を燃やしてやる」と脅したと苦情を提出。モラント一家はホロウェイが銃を持って戻ってきて「銃撃する」と恐れていたと報告されている。ホロウェイは「そのような発言をした覚えはない」と否定。

モラントへの聞き取りは、結局事件から6週間後の9/8に行われました。場所はモラントの弁護士の事務所だったそうです。警察の記録によると、モラントはまず「予定を変更した」ことについて刑事に謝罪。モラントは、ホロウェイが自分の顔にボールを投げた後、彼が「ズボンを引っ張る」ような脅迫的なジェスチャーをし、「その時点で、私は危険を感じた」と説明したそうです。モラントは自己防衛を主張。

(ジョッシュ・ホロウェイ:Photo by Brandon Dill/The Washington Post)

この事件に関して、警察はモラントの取り巻きの身元確認にほとんど無関心だったそうです。刑事は「ええと、それが誰だったか教えてもてもらえますか?彼の名前を私に言う必要はありません。もしニックネームを知っていっればだが、もしあなたが嫌でなければ彼のニックネームを教えてください」とモラントの気分を悪くしないような聞き方をしたそうです。モラントは「それは私のブラザーと言っていい。血を分けたブラザーではないけど……」と答えると、刑事は「了解」とだけ言って、その後、取り巻きのことを話題にする事はなかったそうです。

警察はモラントが拳銃を持ち出したというホロウェイの主張に対する調査も大雑把だったそうです。モラントは、銃を所有していることを認めましたが、刑事はモラントがそれに応える前に、モラントが応えるべき答えをこう伝えたそうです。「ご存知のように、それに対する反論は、『まあ、彼が私の家を燃やすつもりだと言ったら…彼が車に行った時に彼が何をするつもりだったのかはわからないからね』」刑事はその日彼が銃を持ち出したかどうかは直接聞きませんでした。

モラントはまた、家の防犯カメラは作動していなかったと刑事に伝えたそうです。「私たちはそれらを新しいものに交換する途中だった」

このようにモラントが起こしてきた騒動には、警察が適切に調査を行わずに、証人の取り調べを怠ったり、事件に関する基本的な質問をしなかったりしたことが問題視されています。他の黒人だったらどのような対応になっているのか、ちょっと実例をベースに比較したいところではあります。

また、モラントの弁護士は、その日に宣誓供述書にサインした証人の名前を警察に伝えていました。刑事は、彼ら全員が到達できないか、立ち上がったと書いています。ほとんどの宣誓供述書はモラントの内輪からのものだったそうです。彼らはSNSでよく投稿に #MBNOのタグを付けていました。MBNOは前述したように「My Brothers No Others」の頭字語で、パックのアパレル会社の名前でもあります。モラントもその服を良く着ているそうです。

宣誓供述書にサインした証人の内2人はマレー州立大学でモラントと一緒にバスケットボールをして、もうひとりはモラントのパーソナル トレーナーだったそうです。彼らはモラントとパックと一緒に、プライベートジェットでNBAオールスター・ゲームなどに行ったことをSNSに投稿しています。

他の2人は当時メンフィスエリアの高校バスケの選手でした。彼らがモラントの試合でコートサイドに座っている様子がSNSに投稿されています。最近では、グリズリーズの試合でコートサイドから彼の逆転を応援していました。

こうなると、全員がモラントの息がかかった関係者のように見えますが、モラントとパックの弁護士は、宣誓供述書に署名した高校のバスケ選手は、モラントよりもホロウェイの方を良く知っていると主張。弁護士によると、彼らはモラントが銃を持ち出したり、モラントの妹が暴行に加わったというホロウェイの主張は支持していないと言っているそうです。

弁護士はワシントン・ポストの記者に「あなたが言及した8つの宣誓供述書はすべて、あなたが「モラントのバージョン」と呼ぶものを裏付けている。なぜなら、それが真実だからだ」と話したそうです。

また、モラントはその事件の後、スナップチャットでホロウェイがテキストで脅迫したと主張しています。モラントがホロウェイを逆に訴えた訴訟では、「スナップチャットのテキストは『ジャ・モラントはビッチで、もし私が彼のケツを捕まえたらやってやる。今夜そうする』と読めるものだった」と主張しているようです。

ホロウェイは18歳になったので、今度は自分の名前で訴訟を起こしました。ホロウェイの以前の弁護士からこの事件を引き継いだレベッカ・アデルマン弁護士は、今後の訴訟の焦点は、「未成年者が暴行を受けたという主張に対する法執行機関の対応の明らかな失敗」を調査することであると話しています。

ホロウェイはこの事件の後、故郷で最も有名な人物と戦う事になって、子供の頃からの友人を失いましたが、祖父母が教えてくれた価値観に従ったそうです。ホロウェイはモラントとパックについて「彼らは自分たちの行動に何の責任も負っていない。どんな状況になっても、バスケットボールの試合で子供を襲ってはならないと思う。だからこそ、私はそれを追求し続ける」と話しています。

また、ホロウェイはモラントとの争いで、NBAでモラントよりも良いロールモデルになるという決意を新たにしているようです。

ホロウェイ:「彼を全く恐れていない。真実を恐れる事はできない」

(ジョッシュ・ホロウェイ:Photo by Brandon Dill/The Washington Post)

この件については、今後裁判が行われる事になりますが、どこまで暴行したのかの証拠がなく、判断材料としてモラントの関係者の証言しかなさそうです。これは車内に関係者しかいなかったため、目撃者や証拠が出てこないペイサーズへのレーザー照射の件と同じパターンです。このペイサーズの件ではモラントは強気で、SNSでそれはウソだと主張しています。それと同じように、モラントはこの少年暴行の件に関してはウソだと言っています。逆に、他に目撃者がいるバズビーや高校生脅迫については「いつか真実を話す事が待ちきれない」とだけ話して、否定はしていません。都合が悪い時は威勢がなくなっているのも、モラントの誠実さと信憑性に疑問が残ります。

とは言え、本当のところはその場にいた人たちにしかわかりません。ホロウェイが金欲しさにウソをついている可能性もあります。でも、この一連のモラントと仲間の行為を見る限り、個人的には7:3で黒だと思っています。

今回の銃の件:

前回の銃を持ったSNSの映像騒動では、モラントは火消しのために、カウンセリングを受けて次のような発言をしています。

モラント:「それは私のものではない。あれは私ではない。私はどのようなタイプの暴力も許容しないが、自分の行動に全責任を負う。私は悪い間違いを犯した。最近の間違いで自分自身を上塗りしてしまった私のイメージが見える。でも未来には私はみんなにジャが本当はどんな人か、何を大事にしている人なのか、みんなが私に上塗りしたナレティブを変えて行く」

モラント:「正直、私は私達自身で過去の間違いに身を置いてしまったと思う。今は私たちは正しい事にフォーカスし、よりスマートでより責任感を持ち、全てにお互いに責任感持つ事に集中する。過去に私たちは何が掛かっているかわかっていなかったと思う。今やっとすべてを理解する時間とひとりになる時間を持って、今それがわかった。私は何を失うか、グループとしての私たちが何を失うのかもわかった。それはもっと責任感を持って、よりスマートになって、悪い判断をしないようにする事が全てだ。悪い判断をせず、誰かが悪い判断をしそうなったら止める」

彼のことを信じた多くの人たちが裏切られたと感じているのではないでしょうか。そのためか、前回はモラントを擁護していたスティーヴン・ジャクソンも愚かな行為だと言ったりしてしまいました。あのクワミ・ブラウンからもアホボーイで「リーグでもっともアホなマザーファッカーだ」と言われてしまっている程「ウケ」は悪いようです。

モラントから裏切られたと感じている人の中にNBAコミッショナーのアダム・シルヴァーも入っているかもしれません。

シルヴァー:「私たちはまず影響から起きる結果について直接話をした。何が悪いことに繋がるかもしれない事を話す前に、私たちはその時あった行為について集中していた。その会話のほとんだは最初にSNSで銃を振り回す事がどれだけ深刻な事なのかだった… その結果は8試合の出場停止処分だった。それはとても重いもので、少なくても私にとってはとても重いものだったと思う。私たちは彼のキャリアへの影響だけではなく、その安全性についても長い間話した。そのような行為で、彼はケガをしたかもしれないし、重症を負ったかもしれないし、自分や他の誰かを殺していたかもしれない。また彼はスターだと認識しないといけない。彼にはとても多くのフォロワーがいる。私は、彼がそのように銃を扱う行為を祝福するような事をしたのを見た何百万、何千万の世界中の子供達の事を心配している事をわかってくれたと思っていた。だから少なくとも私は彼がこれをとても重く受け止めたと感じていた

これに対して、グリズリーズは早速モラントをチーム活動を禁止にしました。選手がチームの練習場を使えなくなるのだと思いますが、プレーオフも敗退して早くもオフシーズンに入っているので、実質的に無意味な処置です。だからこそ、球団のスーパースターの彼にすばやい処置的な対応ができたのかもしれません。

セカンドチャンスを与えられたにも関わらず、数ヶ月で同じ事をしていると言う事は、モラントは実はまったく反省していなかったことを示唆しています。そのため、銃が本物かどうかに関わらず、重い出場停止処分が与えらると言われています。もし新しいCBAに銃を持つ姿を公にしてはならない等の条項があり、それで契約解除が可能などの処置ができるようになっていれば、必然的に具体的な罰則も決められていると思いますが、現状のCBAでは選手たちは銃の所持は認められ、モラントの最初の銃の件では曖昧な定義で罰則が決められたようです。

しかし、NBAエグゼクティブの中には、シーズンの半数以上の出場停止処分を与えるべきだと言う声もあるようです。個人的にはチームのロッカールームに銃を持ち込んだギルバート・アリーナスの50試合の出場停止処分の1/2~1/3が妥当だと思っています。20~25試合程度でしょうか。ESPNのJJ・レディックは、モラントは法律を破ったり犯罪を犯している訳ではないので、前回の8試合の2倍が妥当なのではないかと言っています。

しかし、リーグ全体の雰囲気はレディックの考えとは逆のようです。ESPNのティム・マクマホンはこのモラントの件に関してあるスーパースターのエージェントからは「自分のクライアントにはトラブルを起こさず正しい事をしている選手たちがいるのに、リーグ全体のイメージを悪くしてしまい、彼の事は『インスタライブで銃で遊んでいるのがクールだと思っているこのバカを見ろ』という見方になる」と聞いているそうです。また、この件は全員に悪い影響を与えると思われているため、リーグオフィスとグリズリーズだけではなく、他のチームや他のエージェントたちも激怒しているとの事。そのため、CBAの交渉が終わったNBPAがモラントの罰則にどこまで介入してくるかも注目されています。

こうなると「Ja 1」を発売したばかりのナイキにとっては大打撃です。シューズを売らなければいけないナイキとの関係もNBAの処分に影響を与えるでしょうか?

ナイキに関しても、他人を危険にさらすような事をしなかったカイリー・アーヴィンを切っているのに、銃を持つことを良しとするような人間のシューズをどう子供たちに売り込むのかの問題も出てきています。すでにESPNのマイケル・ウィルバーンはジャのシューズに金は使わないと公言していますし、同じ金を使うなら他の選手のシューズを選ぶという人もたくさん出てくると思います。ナイキはすでに5/25にリリースされる予定のJa 1の新作の「Hunger」のアプリ掲載を止めたそうです。ちなみに前述した店員脅迫容疑での被害者のバズビーさんが働いているフィニッシュ・ラインもHungerのアプリ掲載をストップしているようです。

注目ポイントはモラントへの罰則がどうなるかだけではありません。彼のPRチームが、これで2ヶ月で2回目の反省もはの字も見られない行為に対し、どのようなニュアンスでモラントのイメージ悪化を食い止めて、どうイメージアップしていくかも見ものです。

前回の銃問題では、モラントのPRチームはそれをストレスに関連した問題にすり変えて議論していました。シーズン開幕まで会見を開かない手もありますが、ナイキやパワーエイドらのスポンサーからしてみたら、責任感のない最悪の選手になってしまいます。少なくともNBAが処分を決定した後に会見を開くはずです。その時に、どのような理由をあげてくるのでしょうか?もうストレスやカウンセリングは通用しません。今回は前回とは違って時間もあります。今ごろこのストーリーをどうスピンするか頭を悩ませているに違いありません。

また、前回の銃の問題の後は、このようにカメラの前で娘と仲良くするイメージアップ戦略がとられていました。今回もこれは続けてくると思いますが、他にどんな手を打ってくるのでしょうか?父のティーと親子の絆とファミリーをテーマにしたドキュメンタリーとかどうでしょうか?さすがにあざと過ぎますかね(笑)。個人的には、銃乱射被害者たちや銃規制に動いているNPOなどへの寄付はやるだろうと思います。また、TVで一生懸命に擁護してくれたレディックのポッドキャストや、全国区レベルのポッドキャストに出演し、自らの口で反省している気持ちを話して行くのもありだと思います。PR系の人にとっては、すばらしいケーススタディーになりそうです。モラントのPRチームがどう出てくるのかからも目が離せません。


● 前回のモラントの記事まとめはこちら:

モラントの騒動まとめ

モラントが銃を見せびらかしたストリップクラブで何があったか

モラントの処分とインタビューについて

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