
崖っぷちのサンズの近況とエンビードのシャットダウン
サンズの近況
現在28勝33敗でウェスト11位とプレーイン進出すら危ぶまれる状況におかれているサンズ。10位のマヴスとは4ゲーム差で、Tankathonでの残りのスケジュールの強度はリーグ最悪となっています。残り20試合でこれを詰めるのはマヴスのアーヴィンがケガするなど外的要因が働かないとまず無理でしょう(とか書いている内に、本当にアーヴィンがケガしてしまいました…😢)。
しかも、そんなチームがタックスを$152Mも払うとあっては、これまで強気で動いてきたオーナーのマット・イシュビアもさすがに意気消沈している事でしょう。
そして、うまくいっていないチームに対するこんな情報が出てくるのも当然といえば当然です。
ESPNのブライアン・ウィンドホースト:「彼らは(KDを)トレードする。そして、彼はそれをわかっている」
"They're gonna trade [KD], and he knows that." 😳 @WindhorstESPN and @KendrickPerkins on what will happen with Kevin Durant and the Suns this offseason. pic.twitter.com/B985Mq41Hv
— NBA on ESPN (@ESPNNBA) February 26, 2025
ブラッドリー・ビールにはノートレード条項があるので、サンズが何か変えるとすれば、もう36歳のケヴィン・デュラントをトレードするしかないと言われています。
ESPNのシャムズは、「リーグソースたちは、フェニックス・サンズに大きな変化があると考えている。ロスターの観点から言えば、それはケヴィン・デュラントから始まる可能性が高い。デュラントは、今年のトレード・デッドラインで自分の名前がトレード交渉に出ていることを知り、”予期せず不意を突かれた”と言われている。このオフシーズンに、サンズとデュラントは優勝候補チームへのトレードについて協力していくと思われる。そして、私はデュラントの獲得に優勝を狙う4~6チームが本気で動くと予想している…」と言い、「彼はこのオフシーズンに契約延長が可能だ」と付け加えています。
どのチームがデュラント獲得に動くかは、プレーオフでどのチームが早期敗退して大きな補強に動か次第でもあります。そこで注目なのはロケッツです。
ロケッツは今年のサンズの1巡目指名権を持っています。サンズがリツールや再建するをするのであれば、自身の1巡目と有望な若手選手を揃えるロケッツをトレードパートナーにするのが最も理にかなっています。ESPNのティム・マクマホンらはロケッツはデヴィン・ブッカーに興味があると言っていましたし、最近ではThe Athleticのサム・エイミックもロケッツはブッカーとデュラントに目をつけていると話していました。
ブッカーもまだトレード要求をしていませんが、デュラントがトレードされれば何が起きるかはわかりません。
しかも、ブッカーにはヘッドコーチのマイク・ブーデンホルザーとの確執めいたレポートがあがっています。
クリス・ヘインズが、「ブーデンホルザー(以下バド)はデヴィン・ブッカーとのミーティングを行い、そこで彼は発言のトーンを抑えるよう懇願し、そのスター選手はショックを受けた」とレポートしました。バドはコーチの話を選手たちにもっと聞いてもらうようにするため、ブッカーにコート上やタイムアウトでのハドルで声を出す事を抑えるように頼んだそうです。
しかし、このレポートについて、ブッカーは、「いや、コーチも言っていたんだ。私たちは何度も話し合ってきた。でも、そのどれかひとつが特に印象に残っているという訳ではない。これは選手とコーチの関係だ。状況が悪くなり始めると、みんな何が悪いのかを探そうとして責任をなすりはじめる。みんなが話をでっちあげはじめる。でも、関係は素晴らしい。私たちは同じ意識を共有していて、勝とうとしている。ただそれだけだ」と語り、メディアが問題を大きくしないように「正しい答え」をする事に努めていました。
このように生え抜きのスーパーマックス選手と新ヘッドコーチの摩擦は不穏な予感すら感じさせます。
また、デュラントも12月のピストンズ戦でのタイムアウト中にブーデンホルザーと言い合っている姿が見られていました。最近でもデュラントはスパーズ戦でブーデンホルザーに「守れる誰かが(コートに)必要だ」と叫んだと言われています。
アリゾナ・スポーツのギャンボは、バドについて「球団内やまわりにいる人たちからは、彼とはやりにくい(he is miserable to deal with)。やりにくいんだ」と話していて、それがコート上での選手とのやりとりに出てしまっているのではないかと思われます。
イシュビアは去年フランク・ヴォーゲルを1年で解雇して、5年$50Mの契約でバドを連れてきました。それはイシュビアが今シーズンにヴォーゲルに$6M(2023年に5年$31Mで契約)+バドに$10Mを払っている事になります。これでコーチを変えれば、コーチに年間$25M払う事になるそうなので、さすがにそうはしない思いますが、そうなるとバドとブッカーやデュラントとの関係も気になってきます。
いずれにせよ、サンズで何かが起こる事は間違いありません。もしサンズが残り20試合を15勝5敗などの来シーズンに向けての希望を見せる事ができなければ尚更です。ウィンドホーストもデュラントのトレードの話題はオフシーズンのメジャーなストーリーのひとつになるだろうと予想しています。
ジョエル・エンビードのシャットダウン
今シーズンのエンビードの最後の試合になった土曜のネッツ戦後、彼の膝の腫れが大きくなってしまったそうです。そのため、今週エンビードは12人の医者や専門家に相談し、新たな検査を受け、なぜ膝が治療に反応しないのか調べたそうです。その結果を受けて、何が彼にとってベストなのか判断していくようです。
ここに行くまでの経緯についてESPNのシャムズは次のようにレポートしていました。
「この件が本格的に表面化したのは、ここ数週間のことだ。私が聞いている話では、ジョエル・エンビードが自身の膝の状態について、直接シクサーズのオーナーであるジョシュ・ハリスの元に行き、シャットダウンの可能性も含めた自分と球団の最善の利益についての自分の意見を伝えたそうだ。覚えておいてほしいのは、ジョシュ・ハリスは今後5シーズンでジョエル・エンビードに$300Mを支払わなければならないという事だ。この背景には、ここ1か月の間にジョエル・エンビードとシクサーズの間で根本的な考え方の違いがあったことがある。エンビードはこの膝の問題に対して異なる治療アプローチが必要だと信じているのに対し、シクサーズ側は「そのままプレーして、コンディションを上げていけば、このシーズンも続けられる」と考えている。この問題はシクサーズが今シーズンずっと対応しているもので、彼らは腫れを抑えるために、さまざまな方法を試してきた。彼がコートに立てるようにするために毎月注射を射つなどもしている。しかし、ここで彼らは完全に足並みをそろえた。この全ては、ジョエル・エンビードを最も持続可能な方法でコートに戻すための取り組みだ」
このシャムズのレポートは、エンビードがシクサーズの医療体制に不満があり、オーナーに直談判したことを示唆しています。
元NBA選手のチャンドラー・パーソンズはエンビードが、「ドイツに行って、コービー・ショットを射つ事を考えている」と明かしています。パーソンズは引退する前に膝のケガでコービーがドイツで受けていたオルソカイン治療を受けた事があるので、エンビードにその事についてアドバイスをしていたのでしょう。なぜドイツまで行かなければいけないかと言うと、その治療法はまだFDAで認可されていないためです。
まだエンビードの治療プランは明らかにされていませんが(おそらくこれまでのようにエンビードの意向で何が悪いか明かされない)、確実に健康になれる道が残されている事を祈ります。
万が一、ジョエル・エンビードがもうプレーできないような状態に陥れば、シクサーズは「メディカル・リタイアメント」を申請する事が可能だそうです。Spotracのキース・スマートによれば、「その時点(メディカル・リタイアメント申請)で、NBAとNBPAが選んだ独立した医師がエンビードを診察する。そして、彼がもうプレーできないと判断されれば、シクサーズのサラリーキャップから彼の残りの契約が取り除かれる事になる」との事で、キャップシート的にはキャリア終了となるケガをした選手の数字からチームが守られる仕組みがあるようです。
また、エンビードがシャットダウンされた事により、タンクして指名権を確実にキープしにピボットする選択肢が現実的になってきたと思います。
シクサーズの今年のドラフトの1巡目指名権は6位に入らなければサンダーに行ってしまいます。現在、シクサーズはネッツとリーグワースト6位タイで、5位のラプターズとは2.5ゲーム差です。このままなら1位指名のチャンスは8.2%になり、4位指名のチャンスは9%にあがります。しかし、単独5位になれば、6位に入る確率は現在の34.4%から63.9%にあがり、指名権キープの確率がかなりあがります。逆に今は7位以降になってしまうチャンスは65.5%になっています。
今日の試合でタイリース・マキシィも腰の怪我したようですし、ポール・ジョージもケガで欠場している時もあり、継続的にプレーして調子をあげられていません。運次第にはなりますが、ここまでくれば、「モリーボール」と同じように、BIG 3をシャットダウンして指名権キープの確率アップにピボットしても良さそうです。
ひょっとしたらVJ・エッジコムまで手が届いて、マキシィ、ジャレッド・マケインらとの2タイムラインが実現できるかもしれません。