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ジェームズ・ハーデンの特別扱いとトレードについて

ジェームズ・ハーデン時代のヒューストン・ロケッツのカルチャーはこの三文字につきるそうです。

「Whatever James wants(ジェームズの望むものならなんでもする)」

具体的には…

● ロケッツが遠征の2試合連戦の後は泊まりになる。特にハーデンのお気に入りのロスやフェニックスでは。
● 2~3日試合の間が空くと、ハーデンは練習を休んで、プライベートジェットをチャーターしてベガスや他の街に遊びに行く。
● オールスター休暇明けの最初の練習はいつも休みを与えられる。
● バスには乗らないで、自分の用意したクルマで行く
● ロースターやコーチたちにが誰になるかの意見を言える。自分とうまく行かないケヴィン・マケール、ドワイト・ハワード、クリス・ポールを追い出した。
● セキュリティーガードを自分の友人にして球団にサラリーを支払ってもらう 

このように彼は今まで特別扱いを受けていて、フロントから「No」と言われたことがないようです。

それもこれも、ハーデンは結果を出しているからです。ロケッツは、ハーデンを獲得してからプレーオフをミスっていませんし、その期間中プレーオフに進出し続けたチームはロケッツしかありません。勝率もスパーズに次いで2位だそうです。しかも、ハーデンは数日の休みでパーティーしてきても、翌日には50点のトリプルダブルを叩き出してしまう…

ロケッツが、ハーデンを特別扱いするのもわかります。スポーツは結果がすべてな部分もありますし、特にGMのモリーはEQやカルチャーの部分を軽視して数字だけを見るきらいがあるため、ロケッツが数字を出している限り、ハーデンの我儘は(問題でしたが)問題にしてこなかったのではないでしょうか。

元アシスタントコーチ;「彼を責めない。球団を責める。これは彼のせいではない。彼は許されるからやっているだけだ」 

とは言え、ハーデンもやり過ぎな部分もあります。特にチームメイトに対してリーダーらしい振る舞いはして来ませんでした。 

クリス・ポール

ハーデンは自分の手にボールがない時、オフェンスには参加せずに立っているだけです(これは後にダントニが、相手ベストディフェンダーを引きつける狙いだと言っていましたが...)。ハーフラインを越えないポゼッションもあったようで、それについてクリスがハーデンに怒鳴っていたそうです。それに疲れたハーデンは、マイク・ダントニにオフェンスシステムをハーデンのアイソ中心にするようにロビー活動をしたそうです。ハーデンのアイソボールが増えたのは、そういう事情もあったようです。

そして、ハーデンは、子供時代からの友人のウェストブルックがアベイラブルになると知ると、ウェストブルックを得ないとトレードを要求すると球団に強く訴えたようです。球団もダントニも2人のフィットしないと思っていたようですが、多くのドラフトピックとハーデンにうるさかったクリス・ポールをトレードしてウェストブルックを獲得することになりました。
 
ウェストブルック

ウェストブルックもポール・ジョージがいなくなったサンダーを出る時期が来たと思ったのでしょうか。そう考えると、カワイのFAが今のロケッツにも影響しているようで興味深いですね。

しかし、ウェストブルックにロケッツが合いませんでした。合わないどころか彼とは真逆のカルチャーでした。

ウェストブルックの元、サンダーは軍隊のような規律で動いていたそうです。ところがロケッツでは何もスケジュール通りにはじまらない。飛行機はいつも遅れて、バスが時間通りに出たことはなく、ただの大学チームのようだそうです。

ウェストブルックはルーティーンをとても大切にする人で、サンダー時代は練習場でクルマを停める駐車場はいつも同じパーキングスペースで、試合へのバスは必ず2台目に乗り、練習場には1番に入り、帰りのバスは2台目に乗るというように几帳面というか、プロ意識が相当高い人だそうです。そのため、ウェストブルックは遅刻には厳しかったようです。

バブルでのある時、ハーデンは毎日のコロナ検査をフィルムセッションの直前に受けて時間通りに来なかったことがありました。その時ウェストブルックは、「フィルムをはじめろ!彼なしではじめろ!」と叫んだそうです。ダントニはハーデンが来たらやり直しになるからと場を収めたそうですが、ウェストブルックの気持ちが落ち着くことはなかったそうです。

ウェストブルックかハーデンのどちらが最初に出ていきたがったのかハッキリはしませんが、彼らはもう一緒にプレーしたくなくなったとの事。今ごろ、OKCに出した2024年、2026年のドラフトピックと2021年と2025年のピックスワップが悲しんでいるでしょう。 

ハーデンのトレードについて

The Athleticのシャムスによると、ハーデンは最近でもチームメイトたちと何度か言い合いをしたそうです。特にルーキーのジャショーン・テイトとのアツくなった言い合いで、ハーデンはテイトの方向にボールを投げたとの事。ボールはテイトには当たっていないそうです。The Athleticのケリー・イコによると、これはテイトがハーデン相手にむずかしいショットを決めてトラッシュトークをしたのがきっかけだったようで、競争が激しいチームではよくあることです。

いろいろなメディアでは「チームメイトにボールを投げつけた」部分を大きく取り上げて、あたかもハーデンがチームメイトをひどく扱ったようにに盛られていますが、あまりたいしたことではないでしょう。ただ、ハーデンはそれほどアツくなるタイプではないとのことなので、フラストレーションが相当溜まっているのは間違いなさそうです。

また、ハーデンはキャンプに入らずにアトラタやベガスでマスクをせずに遊んでいた事で批判を受けていましたが、また友人の昇進祝いパーティーに出席していたようです。(*NBAはバーやラウンジ、クラブ、15人以上人が集まるイベントへ行くことを禁止しています)

元々ヒューストンのストリップクラブで自分の背番号が永久欠番になるような人ですので、パーティー好きなのは仕方ありません。しかし、NBAのコロナプロトコルを積極的に破っていては、チームのリーダーとしての資質に疑問を持たれても仕方ありません。

(ハーデンが一晩で約1億円を使ったため(真偽は不明)、彼の背番号を永久欠番にしたストリップクラブの写真)

このような情報もあってか、ハーデンのトレードは交渉はうまく行っていないようです。

The Athleticのサム・エミック氏によると、元MVPでまだプライムの選手なら、30チームすべてが追い求めるはずですが、ハーデンのボール支配のスタイル、ディフェンスの評判、パーソナリティーが彼らの興味を削いでいるとレポートしています。

他チームのフロントからは、次のような意見も出ているようです。

「ハーデンは素晴らしいスコアラーだが、チャンピオンではない」
「彼は2Wayプレーヤーではなく、一緒にプレーするのがむずかしい」
「彼は自分のしたいようにしてきている。それがチームのカルチャーにネガティブな影響を与えるのが心配だ」
ケンドリック・パーキンスも同じようなことを言っていました。

ロケッツの球団内では、ハーデンはトレードできずに今シーズンはロケッツにいるのではないかと考え始めたというレポートもあります。

そんな中、ハーデンは、もともと要求していたトレード希望先にセルティクスとブレイザースを加えたそうです。これでリストは、ネッツ、シクサーズ、バックス、ヒート、セルティクス、ブレイザースになりました。その内、バックスとヒートはトレード交渉から降りているそうです。

いろいろなレポートを読むと、ハーデンの素行よりもロケッツの要求が莫大過ぎて交渉がまとまらないのが印象です。シーズンがはじまったばかりですが、もしシクサーズやブレイザースが開幕ダッシュに失敗して15~20試合で勝率5割を切ったら動くかもしれません。

しかし、いつ何が起こるのかわからないのがNBAのおもしろさでもあります。30もあるチームの中から、滅多にトレード市場に出されないSGナンバー1(ESPNのGMアンケートによる)のハーデンをトレードするチームが出てきても何らおかしくありません。来年もまだまだハーデンの話題は続きそうです。


参考サイト:James Harden and the Houston Rockets are at a breaking

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