これまでのNBAトレード情報まとめ
本格的にトレードシーズンがはじまるのは、オフシーズンに契約した81人の選手がトレードできるようになる12/15からになります。今日はみなさんが本格的にこれから盛り上がるトレードシーズンを楽しめるように、これまでESPNやNBAインサイダーのジェイク・フィッシャーやマーク・スタイン、マイケル・スコットたちから出てきた主なトレード情報をキャッチアップしていきたいと思います。
Let’ go!!
フィラデルフィア・76ers
シクサーズは現在5勝15敗でイースト14位、リーグ27位です。この6試合で3勝3敗と調子があがっているように見えますが、その白星はホーネッツ、ピストンズ、ネッツと負けが先行しているチーム相手です。そのような状況なので、ワースト25位になればキープできる来年の粒ぞろいのドラフトのために、今シーズンを捨ててタンクした方がいいのではないかという声もちらほら聞こえてきます。
しかし、スタイン・ラインのジェイク・フィッシャーが、「シクサーズはクーパー・フラッグのためにタンクしないと聞いている」とレポートしました。
その理由としてフィッシャーがあげたのが、チームにかけている金額です。現在シクサーズにはマックス選手であるエンビード、ポール・ジョージ、タイリース・マキシィの3人いて、総額サラリーはファーストエプロン超えの$181.5Mになっています。それにタックスを足すと$200M近くになり、タンクするには金がかかり過ぎています。
そして、次にあげたのが、シクサーズの分析予想の結果です。現時点でそのシクサーズ・モデルの予想ではプレーオフ進出はできると出ているそうです。これはESPNのラモナ・シェルバーンは、シクサーズはプレーイン出場ラインを33勝と見積もっているとのレポートと一致します。エンビードのケガが治ってビッグ3が揃えば、例え彼がBTBをプレーしなくても33勝は確実に狙えると考えているでしょう。
そんなシクサーズのトレード候補はKJ・マーティンだそうです。マーティンの契約は2年$16Mで、来年は無保証になっていて、その契約内容は明らかにトレード候補にするためにデザインされている事から「生きるトレード・エクセプション」と呼ばれている選手です。
しかし、それもドッドラインまでにビッグ3が健康になってどこまで勝てているか次第でしょう。もしその時までにあまり勝てていない場合は、タンクではなく、マーティン+サラリーフィラー+3つの1巡目指名権の組み合わせのパッケージであらたな選手獲得に動くことも可能です。
ニューオリンズ・ペリカンズ
開幕からケガで苦しんでいるチームと言えば、ペリカンズも忘れてはなりません。現在ペリカンズはウェストで5勝18敗で、リーグ28位と低迷しています。
しかし、フィッシャーの情報ではペリカンズはタンクするつもりはないそうです。そのため、ペリカンズはトレード市場で買い手にまわると言われています。
注目なのは契約が今季までのブランドン・イングラムの動向です。イングラム側とペリカンズは夏にトレード先を探したり、契約延長交渉をしていましたが、どちらも達成されませんでした。そのためか、イングラムはエージェントをリッチ・ポール率いるクラッチ・スポーツグループに変え、トレード市場または契約延長に望もうとしています。
契約延長交渉では、イングラムはマックスかマックス級の契約(4年$200Mとも言われている)を希望していましたが、Hoopshypeのマイケル・スコットによると、ペリカンズが払おうとしたのは彼の今シーズンのサラリーである$36Mよりも少しだけ大きな金額だったそうです。そのためペリカンズは彼をトレードしようとしましたが、ペリカンズが現在よりも大きなサラリーを受け取るのを拒否したため、双方Win-Winになれるトレードを見つけられなかったと言われています。
それもそのはずで、現在ペリカンズはタックスを$4Mほど超えていて、むしろデッドラインまでにサラリーダンプをしてタックス回避しなくてはいけないような状況です。
唯一ジャズがイングラムに希望金額での契約延長に前向きだったのですが、ESPNのシャムズによると、イングラムはジャズとは再契約する意思を見せずに、交渉は進まなかったそうです。イングラムは「勝っているコンペティティブな環境」を望んでいるとの事。
イングラムの今後の動向を予想する上で頭に入れておきたいのが、来年のキャップスペースがあるチームです。現在彼が望むようなマックス級のサラリーキャップをつくれる可能性があるチームはネッツだけです。他はウィザーズの$40Mがありますが、再建中のためイングラムの要望にはマッチしません。
そうなると、イングラムに残された方法は、自分に大きな契約をしてくれるチームへのトレードです。そうすれば、バードライツを使ってそのチームと再契約もできます。ただ、このエプロン時代に彼に大きな金額をコミットするチームを見つけるのは容易な事ではないでしょう。
リッチ・ポールはアンソニー・デイヴィスの時はうまい事レイカーズにトレードさせましたが、今回はどうするのでしょうか。
また、優勝候補チームを助けられるCJ・マカラムもトレード候補になり、スコットによると、ペリカンズは「彼へのオファーを聞くつもりがある」との事です。
ザイオン・ウィリアムソンに関しては、まだトレードは考えていないようです。シャムズによると、ペリカンズは「彼をウェイブするつもりない。彼らはどんな方法であれ、彼のまわりを正しい人材で囲み、彼をコートに立たせるために必要なことは何でもしたいと考えている」そうで、まずはザイオンがケガすることなくプレーできるようにすることが第一の目標のようです。
ロサンゼルス・レイカーズ
レイカーズはペリメーターのディフェンス強化がマストと言われていますが、フィッシャーはセンターの補強の話を聞き続けているそうです。
フィッシャーは、サラリーマッチの観点から、ディアンジェロ・ラッセル($18.6M)と指名権でブルズのニコラ・ヴーチェヴィッチ($20M)のトレードに言及していました。
グリズリーズのマーカス・スマートの名前も出ているそうですが、グリズリーズはスマート獲得に1巡目指名権を2つ出しているため、それに見合うリターンを求めるのではないかとの事です。
スコットによると、八村塁の残り$35.2Mの契約(来シーズンまで)も魅力的で、トレードパッケージに入るかもしれないとの事。他にはゲイブ・ヴィンセント($11M)もトレード候補にあがるようです。ヴィンセントと2巡目指名権でウィザーズのセンターのヨナス・ヴァランチュナス($9.9M)に動く可能性もあるのではないかとの事。ただ、ヴァランチュナスは今年の2位指名のルーキーであるアレックス・サーのメンターとしても期待されているため、ウィザーズはヴァランチュナスを高く評価しているとも言われています。
ブルックリン・ネッツ
ジェームズ・ハーデンのトレードでロケッツに出していた2025年の1巡目指名権を取り戻したネッツは再建のためにクーパー・フラッグ狙いでタンク間違いなしと思われていましたが、なんと、これまで10勝13敗でイースト9位でプレーイン圏内に入っています。これはもう、トレードシーズンでもっとも活発に動くチームになるフラグが立ったと言い切ってもいいのではないでしょうか。
ESPNのブライアン・ウィンドホーストによると、ネッツは「長期的なサラリーを受け取らない限り、ロスターのほぼ全員がトレード候補だ」そうです。ただし、「どの選手も少なくても今のところはタダ同然で手放すことはない」そうで、できるだけ選手を高く売りたいようです。
ネッツは来年RFAになるキャム・トーマス、ニック・クラクストン($28M)、キャム・ジョンソン($23.6M)にはそれなりの値札をつけてくるだろうとの事で、1巡目指名権のクオリティー次第ではひとつでもその内の誰かを手に入れられるかもしれないそうです。
スコットによると、RFAになるデイロン・シャープには、グリズリーズ、クリッパーズ、ペリカンズ、レイカーズ、ラプターズが注視しているそうです。
それよりも、現実的に獲得可能なのはベテラン選手のデニス・シュルーダー($13M)、DFS($14.9M)、12月に復帰するであろうボーヤン・ボグダノヴィッチ($19M)です。
また、マーク・スタインによると、ベン・シモンズ($40.3M)の契約は今シーズンまでなので、来年の大きなキャップスペース(現状$70M)を守るためにも長期的な大きなサラリーを受け取りたがってはいないとの事です。
ネッツに関しては、どの選手でどれだけリターンを得られたかに注目しても面白いかもしれません。
マイアミ・ヒート
フィッシャーによると、リーグは契約延長をしなかったジミー・バトラーとヒートの動向をヤニスのように注視しているそうです。
バトラーは35歳になりましたが、ケガさえなく健康であればトップ20に入る可能性がある選手とも言われ、プレーヤー・オプションを放棄すれば来年の主要なFAになることもできます。バトラーと同じようにケガがちで34歳のポール・ジョージがシクサーズから4年のマックス契約を得ているので、バトラーもそのような契約が得られるかもしれません。
ニックスもミケル・ブリッジス獲得前はバトラーのトレードの問い合わせを入れたとの事。現在はマーヴェリックスとロケッツがバトラーと関連づけられていますが、これはバトラーがテキサス出身という理由だけの単なる噂だと思います。なんにせよ、最後の大きな契約を狙うであろうバトラーの市場はイングラムと被っています。今はそこそこの契約でヒートと長期的に再契約をするか、大きな契約をもらえそうなチームへのトレードしか考えていないでしょう。
ヒートの他の主要なトレード候補は、ベンチスタートに下がったテリー・ロジアーです。ロジアーの契約は今年$24.92M、来年の$26.6M($1.7M$24.9Mの保証で、今年のプレーオフのセカンドラウンド進出と70試合出場で完全保証)と、大きな契約とのトレードに使えそうです。
*日本のキャップグルの@MiaTaketakeの指摘により、ロジアーの保証金額の数字がまちがっていたため修正しました。
シカゴ・ブルズ
ブルズは現在10勝13敗とロッタリー12位につけています。今年のドラフトの1巡目指名権はトップ10プロテクションがかかっていてスパーズへ行ってしまうため、タンクするのかプレーインに入ってプレーオフを目指すのか、微妙なラインにいます。このまま行っても優勝争いには参加できないため、再建に舵を切るのが正しいと思われます。ベテランをトレードに出せば、11指名のマタス・ブゼリスにプレー時間も与えられます。
ブルズもそう考えているようで、フィッシャーによると、ザック・ラヴィーン、ニコラ・ヴーチェヴィッチ、ロンゾ・ボールという主力をトレードしたがっているそうです。特にラヴィーンとヴーチのトレードに積極的に動くようで、12月にはラヴィーンとウーチのエージェントたちと2月のデッドラインに向けての打ち合わせを予定しているそうです。少なくとも大きなトレードをひとつはするという見立てもあります。ブルズの他のベテラン選手のエージェントも自分の選手を優勝候補に動かせないか注視しているとのこと。
ラヴィーンの契約は今シーズンが$43M、来シーズンが$45.9M、再来年のシーズンが$48.9M(PO)のため、以前としてトレードが難しい状況に変わりはありません。
ディフェンスが課題のヴーチのサラリーは$20Mなので、より現実的です。彼のトレードバリューは2巡目指名権2つと考えているGMもいるそうです。
ロンゾ($20M、契約最後の年)はNBAでは初めてと言われる膝の軟骨移植手術から復帰したばかりで、今はトレードバリューはないでしょう。今後2月までどのようなプレーを見せるかで、リターンが変わって来ます。ただ彼は6試合で97分の数字ですが、100ポゼッションで128.6を記録していて、ニコラ・ヨキッチの126.0よりも高い数字を出しています(*12/4時点)。このままの数字をキープできれば、優勝候補チームの目に止まるかもしれません。
ライバルチームの中にはスウィングマンのパトリック・ウィリアムズに興味を示しているチームもいくつかあるそうです。6月のRFA市場ではホーネッツ、サンダー、ラプターズが彼に興味を見せていたとの事。
最近試合をクローズできないジョッシュ・ギディーにも注目すべきだというエグゼクティブたちもいるそうです。彼は来年RFAになります。夏にブルズが彼をトレードで獲得した時には、彼は年間$30Mの契約を望んでいたと言われ、それにオーナーが待ったをかけたと言われています。しかもロンゾとは違い、これまでの500分でのオフェンスはマイナス8.9とパっとしません。このままの成績だと、$30Mも厳しいかもしれません。指名権次第では売りに出されても驚きません。
逆にキープしたがっているのはコビー・ホワイトだそうです。
ユタ・ジャズ
ジャズはドノヴァン・ミッチェルをトレードに出して再建に走ってからというもの、シーズン途中での猛タンクが恒例になっていましたが、スタインによると、今シーズンはついにシーズン序盤から「ドラフトの順位をあげていく事を優先」しているそうです。来年の1巡目指名権のプロテクションがトップ10でサンダーに行ってしまうので、当然と言えば当然です。
トレード候補はベテランのジョン・コリンズ($26.5M)、ジョーダン・クラークソン($14M)、コリン・セクストン(18.1M)と言われています。
コリンズはHCのウィル・ハーディーからチームのエンジンだと讃えられていましたが、マーク・スタインによれば、彼のトレードバリューは2巡目指名権がひとつだそうです。
ライバルチームは、ジャズのウォーカー・ケスラー($2.9M)につけている値段は1巡目指名権2つで設定にしているとの印象を受けているそうです。
ヒューストン・ロケッツ
ESPNのティム・マクマホンによると、ヒューストン・ロケッツは今シーズン、大規模なトレードを行う計画はなく、現在のチームのコアを維持する方針を立てているそうです。ローテーションの端的な補強はあるかもしれませんが、シーズン中の主力選手の放出は一切考慮されていないとのこと。
中でもジェイレン・グリーンとアルペレン・シェングンは契約延長により、今シーズン中のトレードはポイズン・ピルのためほぼ不可能で、タリ・イーソンとアーメン・トンプソンも「絶対に動かさない」と言われています。
ロケッツはリーグトップクラスのディフェンスを誇りますが、オフェンスを担う選手獲得が課題です。将来的には若いスターたちにフィットするスター選手を獲得を狙うでしょうが、それは少なくても来年の夏まで待つことになりそうです。
ミルウォーキー・バックス
シーズン開幕から2勝8敗と勝つことができなかったバックスですが、最近の10試合はソフトなスケジュールの助けもあって、8勝2敗と盛り返しつつあります。
そのためか、最近ではヤニス・アデトクンボやブルック・ロペスらのトレードの話はすっかり聞かなくなりました。
しかし、序盤で苦しんでいる時は、実際に他チームからヤニスへの問い合わせがあったそうです。The Athleticのサム・エイミックによると、バックスはヤニスを狙っているチームに「あなたたちはファンタシーの世界に生きている」と伝えていたそうです。