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シクサーズのチームミーティングまとめ

今日はデイリーレポートをお休みして、今日話題になったシクサーズのチームミーティングについてお伝えします。

FAでポール・ジョージを獲得し、今年もイースト優勝候補の一角と言われていたシクサーズですが、相次ぐチームの主力であるジョエル・エンビード、タイリース・マキシィ、ポール・ジョージのケガに見舞われてしまい開幕からのスロースタートを余儀なくされてきました。

しかし、待望されていたエンビードとジョージのふたりが復帰しても勝つことはできず、昨日ヒートとのアウェーの一戦で106-89と負け、成績が2勝11敗とイーストで最下位になってしまいました(リーグ最下位でもあります)。

そこでチームのベテランリーダーであるカイル・ラウリーが、ヒート戦後にチームミーティングを呼びかけました。現場にいたレポーターたちはロッカールームに入ることもできず、選手たちは記者会見もせずに何かが起きていると感じ取っていたようです。その後、ヘッドコーチのニック・ナースが記者会見で、「ちょっとしたミーティング」をしていたことを明かしました。

ナースは記者会見でミーティングの中で何が議論されたのかは明かしませんでしたが、彼はチームにはディフェンスやショットクリエーション、ターンオーバーをしない事の積み重なりが実際の勝利につながると伝えたそうです。それが選手たちに伝わったのかは試合をしてみなければわからないとの事。

ナース:「彼らはとても耳を傾け、コミュニケーションを取っていた」

フィラデルフィア・インクワイアーのジーナ・ミゼルによると、ミーティング後のロッカールームには緊張感や不快感はなかったそうです。エンビードはミーティングはポジティブなものだったか聞かれ、はにかんで「え、私たちはミーティングしてたの?」とはぐらかしたそうです。こう言われると、余計に何が話されたか気になってしまいますね。

そんな疑問に答えてくれたのが、ESPNのシャムズです。シャムズがその1時間半のミーティングで何が話し合われていたのかをレポートしました。以下シャムズのレポートの抜粋です。

この敗戦でチームは4連敗となり、ベテランガードのカイル・ラウリーがチームミーティングを呼びかけた。ESPNのソースによれば、これはとても必要とされていた本音どうしでの話し合いで、行動と切迫感を求めるものだったそうだ。選手たちとコーチ陣がお互いに責任を問い合い、シーズン序盤の状態についてそれぞれが非を認めた。

タイリース・マキシィはジョエル・エンビードにチーム活動に時間通り来るようにチャレンジし、2022-23シーズンのMVPであるエンビードが「すべてに遅刻」していて、それがどのようにロッカールーム、他の選手やコーチたちにも影響を与えているかを正直に指摘したそうだ。

チーム周辺の関係者によれば、マキシィとエンビードは親しい関係にあり、以前からお互いに責任を取り合える間柄だそうだ。

「タイリースはビッグフェラ(エンビードのこと)を愛しているが、これはロッカールームの“見て見ぬふりしている問題”なんだ」とミーティングに関わった人物がESPNに言った。

選手たちはシクサーズのコーチであるニック・ナースに、もっとハードにコーチしてほしいと伝え、コーチたちも選手たちに、練習では目的も持ち、細部に注意を払って取り組んでほしいと言った。

ソースによると、エンビードはミーティングでのメッセージを受け入れたが、シクサーズがコート上で何をしようとしているのか時々わからなくなることがあると言ったそうだ。

月曜日、エンビードは病気のためにダウトフル登録されていて、ウォームアップの前にほとんどのチームメイトやコーチたちの前には姿を見せず、試合に出場した。

マキシィは球団内の多くの人たちから若いリーダーとして高く評価されていて、チーム周辺の関係者にとって、月曜日に彼が声をあげたことには驚ろかなかったそうだ。彼は11/7から右ハムストリングの肉離れで欠場しているが、ソースによると、今週中に復帰する見通しで、水曜日のグリズリーズ戦か金曜日のネッツ戦で復帰する可能性が高いそうだ。

また、The Athleticは、マキシィがエンビードに、「ジョエル、私があなたのことを愛しているのは知っているよね。でも、このチームはあなたとあなたの習慣からはじまるんだ」と伝えたとレポートしています。

ここから、エンビードがチームのフィルムセッションや練習やウォークスルーを常習的に遅刻しているに関わらず、誰も注意をする人が出てこなかった様子が伺えます。これを読んだ時には、シクサーズのプレジデントのダリル・モリーがまたスター選手を甘やかしている(ロケッツ時代のジェームズ・ハーデンのように)と思いましたが、フォックススポーツのヤローン・ウェイツマンによると、エンビードがそうなのは最初にリーグ入りした2014年から続いていて、最近でも何度もエンビードがアリーナに着くのが試合開始1時間前だったりしているのを見ているようなので、モリーだけの責任でもなさそうです。レブロン・ジェームズが試合前に取り組んでいる準備の様子がNetflixの「Starting 5」で観れるのですが、それと比べるとエンビードのマインドセットが心配になってしまいます。

ちなみに、B/Rのジェイク・フィッシャーによると、今までこのようにエンビード、ベン・シモンズ、ハーデンに声をかけるのはベテランのトバイアス・ハリスの役だったそうです。リーダーシップを発揮するようになったマキシィのコート外の成長も伺えます。

そのマキシィですが、そのミーティングについて、「私は声に出したかった。私たちは自分たちがフロアーで見せているものよりも良いチームだということを共有したかったので、そうする必要を感じたんだ。そこではたくさんのことが話されたけど、それが現実だ。言うべきことは言ったし、これからシーズンをどうやって乗り切るかを考えなければいけない。みんな何が懸かっているのか理解しているし、全員が痛みを感じているんだ。」とThe Athleticに話しています

気になるのが、エンビードとマキシィの関係ですが、The Athleticによると、「チームのケミストリーは改善する必要があるが、エンビードとマキシィの関係は問題ない」そうです。

ただし、問題がないのはチーム内の事だけで、フィッシャーによると、球団内ではプライベートのはずのミーティングの内容がどこからどのようにしてリークしたのか知りたがっている人もいるため、調査が行われるとの事。エンビードともインタビューなどで面識のあるフィッシャーは、エンビードはプライバシーを大切にしているため、「このミーティング内容のリークがどこから来ているのを知りたがる」と言い切っていました。シクサーズはこれまでもエンビードを守るために、ケガの情報を曖昧にしてNBAから罰金を課せられている程なので、エンビードのマイナスになるようなリークは許さないのではないでしょうか。

そこでまず考えられる線は、Wojを使って情報操作をしていたモリー主導のリークです。モリーはエンビードの姿勢を正そうとしてWojの後継者であるシャムズにリークしたとも考えられますが、フィッシャーは、それは球団にとってメリットはないので、それは考えられないと否定。それよりも、マキシィのエージェントがリーダーシップを発揮したクライアントのPRとしてリークしたという意見の方が信憑性があるようです。話はちょっと変わりますが、こういう時、エージェントのいないエンビードにはネガなナレティブをスピンできるようなリソースが少ないのが痛いところです。このところエンビードはレポーターの肩を押してしまったり、コンディションのことでファンからも疑問に思われたりと、コートの中と外の両面で良いニュースがありません。球団も彼のために優秀なPRを雇ってサポートしてあげてもいいと思います。エンビードと親しいESPNのラモナ・シェルバーンあたりがエンビード寄りの記事を書きそうな気はしていますが、どう出るのでしょうか。

そうは言っても、まずはエンビードがMVP級のプレーを取り戻してゲームを支配できなければ何の意味もありません。すべてはエンビードの復調次第です。通常ケガや病気で休んでいた選手は、練習後や休みの日にもワークアウトしてコンディションを整えるそうですが、エンビードは足や手術が多い膝に負担がかけられないので、そのようなコンディショニングはできないようです。そのため、彼はこれまで通り、試合を通してコンディションを整えていくそうです。

これでエンビードの調子がどんどん良くなっていけば、チームも自然と盛り返して行くのは間違いありません。それが来週になるのか、クリスマスになるのかは彼次第ですが、1敗を挟んで5連勝を2回すればあっと言う間に5割の成績になり、今のイーストなら5位に入れます。これまで開幕から2勝11敗だったチームでプレーオフ・シリーズを勝ち抜いたチームはゼロだそうですが、エンビードが調子を取り戻し、BIG3が機能すれば、プレーオフで勝ち進めるかもしれません。

このミーティングがこれからのチームの快進撃のきっかけになることを願います。むしろ、これをターニングポイントとして活かしていくべきです。この$181.5Mのチームには今しかないのです。リーグ最下位のままでいる訳にはいきません。シクサーズにはこれからイーストの優勝争いまで猛追して、シーズンを大いに盛り上げていって欲しいと思います。

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