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キングスのマイク・ブラウン解雇とその問題点まとめ

12/28、ホームで5連敗を喫したキングスが突如としてヘッドコーチのマイク・ブラウンの解雇を発表しました。あまりにも突然の事だったので驚いたファンも多かったと思います。私もシャムズ・ボムを見て声が出てしまいました。

成績はたしかに13勝18敗とかんばしくはありませんでしたが、オフェンスではリーグ8位、ディフェンスではサボニスとデローザンがいる中で16位と健闘していると言われていましたし、まさか夏に年棒$8.5Mの3年契約延長をしたばかりのヘッドコーチをシーズン半分もいかないタイミングで解雇するとは思っていませんでした。

今回はなぜキングスがこの3年間で107勝88敗と勝ち越していて、2年前に球団をリック・アデルマン時代から16年ぶりにプレーオフ進出へと導いたコーチを解任する事になったのか、そして、この1連の騒動の何が問題なのかを、The Athleticのサム・エイミックやESPNのラモナ・シェルバーンの記事を中心にまとめます。


キングスのヘッドコーチ、マイク・ブラウン

まずはキングスから解雇されたマイク・ブラウンは球団内でどのようなコーチだったのか振り返ってみたいと思います。

ブラウンはアデルマンが去ってからの16年で12人目のヘッドコーチで、唯一勝ち越しています。就任した1年目では、それまで24位だったキングスのオフェンスをリーグトップに押し上げ、チームをウェスト3位に導き、16年間プレーオフ進出なしというNBA最長記録&北米ビッグ4スポーツ(NFL、NBA、MLB、NHL)での最長記録を止め、リーグ史上初の満場一致でコーチ・オブ・ザ・イヤーに選ばれました。この満場一致というのは投票した100人のメディアメンバー全員が彼を1位投票に選んだという事なので、彼の評価が相当高かったのかがわかります。すばらしい功績だと思います。

また、チーム内だけではなく球団内のカルチャーをリセットし、Kangs(カングス)と揶揄されていたチームを再びキングスへと立て直した立役者でもあります。

しかし、2年目は主力のケガなどもあり、オフェンスも14位まで落ちてしまい、ウェスト9位でレギュラーシーズンを終え、プレーインでは最終的にペリカンズに負けてプレーオフ進出を逃してしまいました。

3年目の今シーズンも13勝18敗でしたが、わずか4点差で負けている試合が10試合もありました。5点差になると12試合にもなり、ボールの転び方次第では18勝13敗になっていてもおかしくない内容でした (Yahoo Sportsのダン・デヴァインによると、キングスの1/9時点でのネット・レーティングである+2.1を勝利数に換算すると21勝16敗になるそうです)。個人的にはもうちょっと様子を見てから解雇しても良かったと思いますが、夏にデマー・デローザンを獲得した球団的にはこの成績では納得できなかったという事なのでしょうか?または他に理由があったのでしょうか?

とにかく、この15年でもっとも成功していたヘッドコーチを2年ちょっとで解雇するのは成績以外にも何か理由があった事を示唆しています。

ブラウン解雇の背景:ホーム5連敗

ブラウン解雇を掘り下げるためには、その結論に到達するまでのホーム5連敗を避けては通れません。

キングスがホームで5連敗するまでは3連勝中で成績は13勝13敗でした。球団としては、ホームでの5試合で勝ちが先行する事を期待していたと思います。しかし、結果は次の通り5連敗してしまいました。

● 12/17のナゲッツ戦:120-129

最後の10秒までは勝っていましたが、ラスト1秒で試合に敗れてしまいました。ブラウンは試合後に、チームがディフェンスのゲームプランを実行できなかったことを厳しく批判していました。「バックカットを何度もされまくっているのは言い訳できない」「集中しなければいけない」「私たちが次のレベルに行かなければいけない。特にスターティング5はだ。良いチーム相手にはディテールに注意を払わなければいけない」「私がどうにかしてそれをこのグループに伝え切らないといけない」

● 12/20のレイカーズ戦:113-110

試合前に、チームのスタープレーヤーであるディアーロン・フォックスのエージェントのリッチ・ポールがフロントオフィスとミーティングをし、フォックスの長期的な将来について話し合ったとレポートされました。

それまでにフォックスは「私は将来的に勝利を目指せる状況にいることを確かなものにしたい。それが最終的に私がやりたいことだ」とか、「私にとって大事なのは、『毎年少しずつ良くなっているか?』そして『高いレベルで競争できるのか?』ということだ」などと言っていて、状況次第ではトレードを要求する可能性を示唆していました。

フォックスは10月に3年$165Mの延長オファーを断わり、スーパーマックスの可能性にかけると共に、FAやトレード要求でチームを去るという可能性を見せつけていたので、球団にとってはしばらく経験した事がなかったプレッシャーがかかりはじめていたと思います。

試合後、ブラウンは記者会見で、「現実は私からはじまり私で終わるが、フォックスがステップアップする必要がある。彼はすばらしい選手だ。スーパースターになりかけている。だが、スーパースターは高いレベルで勝つ選手たちのことだ。…そのような選手には多くの責任が伴う。そして彼はその選手だ。チームが集中していない時に、自分も集中していないという状況に加わることは許されないし、ましてやチームとして集中を欠いているなら、それを放置することも許されない。私にそれをやり遂げるプレッシャーがあるのと同様に、彼にもそれをやり遂げるプレッシャーがある」と言っていました。

また、The Athleticのサム・エイミックは、「その後の試合前会見で、ブラウンはマイクのコードで円を作り、グループ内の全員が『両足を円の中に入れている』必要があると間接的に示した。このメッセージは明らかにフォックスを指していたようだった」とレポートしていました。

● 12/22のレイカーズ戦:103-99

審判がアウトオブバウンズの判定を見逃し、キングスが残り12秒でフリースローでボックスアウトをミスして敗戦を決定付けました。このフリースローは八村塁もからんだので目にしたファンも多かったと思います。

試合終盤でフリースローを2本外した事についてデイヴィスは、「妻がわざわざ電話してきて、『塁があなたを救ってくれた』って言ったんだ。それで余計にヘコんだよ…でも、塁のチップアウトには本当に感謝している」と言っていました。

勝ったレイカーズとは逆に、試合後の会見で、ブラウンはチーム全体、そしてドマンタス・サボニスのミスについて詳細に話しました。

● 12/23のペイサーズ戦:122-95

キングスは27点差で大敗。後半は観客からブーイングを浴びていたそうです。コートサイドで観戦していたオーナーのヴィヴェック・ラナディヴェは明らかに不満そうだったとの事。

ブラウンは試合後の記者会見で、選手たちはチームがやろうとしている事をバイインしているか聞かれ、「している」と答えていました。

● 12/27のピストンズ戦:114-113

サボニスが病気のため欠場しましたが、キングスは一時は19点差をつけ、残り3分を切った時点で10点差をリードしていました。しかし、またもやクラッチタイムでのディフェンス・ミスで残り10秒で3点差に迫られました。

最後のプレーでは、コーチたちは選手たちにファウルを指示し、3ポイントを絶対に撃たせないように伝えていましたが、選手たちはファウルをしませんでした。そして、ボールはコーナーにいたジェイデン・アイヴィーにパスされました。このノー・スリーの場面で、なぜかフォックスはアイヴィーをフリーにしていて、アイヴィーのスリーにクローズアウトしましたが、ファウルをしてしまいました。アイヴィーはそのスリーとアンドワンのフリースローも決めて、キングスにホーム5連敗を突きつけました。

この試合後、あるチーム関係者は「会場を後にする者たちは全員が怒り心頭だった」と話していたそうです。

試合後の記者会見でブラウンはフォックスとチームを厳しく批判しました。「最後の6分間のペースが気に入らなかった。選手たちに『攻めろ…ドライブしてキックアウトしろ』と伝えたんだ。でも残り6分で完全にペースが止まってしまった。残り3分ではボールを転がして歩いているような状況だった…選手たちに言ったんだ。『3ポイントを許してはいけない、3ポイントを許してはいけない、3ポイントを許してはいけない』と」

このようなブラウンの厳しい記者会見が続き、一部の選手たちにとってそれが負担になりはじめていたようで、それもブラウン解雇に影響を与えたとも言われています。

これ以前にもブラウンは記者会見でチームを批判していて、「ポゼッションごとに、ポゼッションごとに、ポゼッションごとに、ポゼッションごとに、ポゼッションごとに、ポゼッションごとに、ポゼッションごとに、ポゼッションごとに、ポゼッションごとに、ポゼッションごとに、ポゼッションごとに、ポゼッションごとに、ポゼッションごとに、ポゼッションごとに、ポゼッションごとに、ポゼッションごとに、ポゼッションごとに、ポゼッションごとに、ポゼッションごとに、ポゼッションごとに、ポゼッションごとに、ポゼッションごとに、ポゼッションごとに、ポゼッションごとに、ポゼッションごとに、ポゼッションごとに正しい方法でプレーしなければならない」と「ポゼッションごとに」を26回も繰り返してバズっていました。

チームが負けている時にこのような言い方をすると真意とは異なった受け止め方をされる場合もあり、リーグ関係者の中には「チームをあんなふうに見捨てる(自分のことを守るために相手を裏切るニュアンス)ことはできない」と言っている人もいたそうです。

また、ESPNのラモナ・シェルバーンは、「もしフォックスがマイク・ブラウンの厳しい指導にうまく対応していたら、ブラウンは今もサクラメントのヘッドコーチを続けていただろう。それは、フォックスの反応が間違っていたというわけではない。ブラウンの仕事は、チームのスター選手たちに影響を与えることだったが、それができなかったのだ。良い組織の中には、少なくとも選手を人間としてうまく扱うところが多い。ブラウンはそれもできていなかったようだ」とレポートしています。

これらを見る限り、ブラウンと選手たちの間に溝ができていて、ブラウンの声が選手たちには届いていなかった様子が伺えます。それが、接戦の終盤で繰り返し崩れるという結果につながっていたのかもしれません。

マリック・モンクは最近の試合後、「私たちはDC (ダグ・クリスティー)がやっている事をバイインしている。私たち全員がバイインしている。私たちは彼が言っている事に自信を感じて、良いと思っている。彼は以前にプレーしていたので、このゲームをプレーしていない人よりかもちょっとだけ私たちへの伝え方を良くわかっていると思う」と話しています。やはり、ブラウンの選手たちとのコミュニケーションの取り方(記者会見含む)に問題があったようです。

ブラウンはフォックス以外のスター選手たちとの関係も決して良いとは言えなかったようで、エイミックは、「ブラウンとキングスのスター選手であるドマンタス・サボニスは「トリッキー」な関係性だったそうで、ドマンタスはマイクに対して多くの場面で反発していたため、そこでいくらかの緊張が生じていた」とレポートし、FDTVのルー・ウィリアムスも「デマー・デローザンをベンチから起用するよう提案、または要求した可能性があるという噂を耳にした」と話していました。

また、あるチーム事情に詳しい関係者はブラウン解雇について、「このチームには十分な才能がある。ロスターは問題ない。変更を加えなければならなかっただけだ」と話していたそうで、球団内にはブラウンがロスターの才能を十分に活かしきれていなかったと考えている人たちもいたようです。

ブラウン解雇へ

フロントオフィスはホームでの5連敗の前からロスターの層の薄さを認識していて、ロスターやスタッフに関して何か変更を加えるべきかをブラウンにも相談していて、何とか状況を変えようとしていたようです。

キングスは小さなトレードや大きなトレードまで模索しているようで、大きなものとしては、ブルズのザック・ラヴィーン、ペリカンズのブランドン・イングラム、ネッツのキャム・ジョンソン、ウィザーズのカイル・クズマの問い合わせをしたというレポートがあがっています。

あるキングスのソースによると、「誰もマイクを解任したいとは思っていなかった」そうで、そのソースは「彼は良いコーチだし、ここにいる人々は彼のことを本当に大切に思っていた。最後の最後までうまくいかせようとしていたんだ」と話しています。

しかし、ホームでの5連敗中に、マクネイアー、ウィルコックス、COOのマティナ・コロコトロニス、ラナディヴェはブラウン解雇について話し合っていましたようです。

クリスマスを挟んでいたので、ラナディヴェは海外のクリスマス休暇先でピストンズ戦を観戦。そして、その夜遅くにラナディヴェとフロントオフィスがブラウン解雇について話し合い、「一晩寝かせて、明日の朝もう一度話し合おう」となったそうです。もうこの時点でほぼブラウン解雇は決まっていたのではないでしょうか。

そして、その会話の続きは翌朝、チームのフィルム・セッションと同時にはじまったそうです。

自分が解雇される電話会議が行われているとは知らずに、ブラウンはチームの練習をコーチし、選手たちと会話をしてまわり、その後、記者会見を18分こなしました。それからブラウンは翌日のレイカーズ戦に向けてロスへ移動するために空港に向かったそうです。

その間、フロントオフェスではさらにいくつかの電話会議が行われ、最終的にブラウン解任の決定が下されました。

マクネアーは空港に向かう車内にいたブラウンに電話をかけて解雇を告げたそうです。別の電話を終えたアシスタントGMのウェス・ウィルコックスもスピーカーフォンでその電話に参加したとの事。この時、ブラウンがどのようなリアクションを取ったのかはどこからも出てきていませんが、ショックを受けたであろう事は想像できます。

その後、マクネアーとウィルコックスは、フォックス、デローザン、そしてサボニスにも連絡を取ってブラウン解雇を知らせたそうです。その時フォックスとデローザンは空港へ向かう準備をしているところで、サボニスは病気のため自宅にいて電話を受けることができなかったそうです。フォックスを含め、ブラウン解雇について選手の誰も事前に相談を受けていなかったとレポートされています。

チームのソースはブラウンの解任はマクネアーによる決定だと主張していますが、最終的な決定権を持つラナディヴェはコーチを毎年と言っていい程変えてきています。ラナディヴェは昨年サクラメントのオフェンスがリーグ1位から13位に落ちたこと(今シーズンは8位)に執着していたというレポートもあるので、ラナディヴェが主導して解雇したと思っている人は多そうです。

チームがブラウン解雇を知ったのはニュースになる数分前で、ロスに向かう機内で待機していたそうです。その時アシスタントコーチのダグ・クリスティーが不在たったため、チームはクリスティーがインテリムになりそうだと感じていたとの事です。こうしてブラウン解雇から1時間後、クリスティーが正式にキングスのインテリム・ヘッドコーチに任命されました。

ブラウン解雇の反応

移動中の車内で突然解雇を告げるというリスペクトのなさを否定的に捉えている人がほとんどだったようです。

特に、2013-14シーズンにキングスのヘッドコーチを務めていたナゲッツのヘッドコーチのマイケル・マローンは辛辣でした。

マローンはブラウンの解雇について、「ひどい。そうだ、とてもひどい…良い点を挙げるなら、私がソーシャルメディアに全く触れていないことだと思う。私は時として外の世界で何が起きているのかまったくわかっていない。私は10年間、窓のないオフィスで働いてきた。それが私の寿命を6年くらい縮めたかもしれないが… そしてミーティングをした時に、コーチたちが『マイク・ブラウンのこと聞いたか?』と言うんだ。私は『なに、何があったんだ?』と聞き返した。すると彼らは『彼が解雇された』と言った。最初は本当にショックで驚いた。でもすぐに冷静になって、『私はなぜショックを受けて驚いているんだ?』と自問した。その理由は2つある。ひとつ目は、NBAのヘッドコーチとして、最終的には自分が非難されるということだ。チームが勝てば、その功績はサボニスやフォックスにいく。負ければ、それはマイク・ブラウンの責任だ。そういうものだ。ふたつ目は、彼が誰の下で働いているかということだ(ラナディヴェのこと)。だからマイク・ブラウンが解雇されたことに驚きはしない。なぜなら、私も同じ人から解雇されたからだ。そして本当に腹が立ったのは、昨晩チームが負け、これで5連敗だったと思う。厳しい試合で、ジャンプシューターにファウルをしてしまった。それで今朝練習があった。彼は練習後にメディア対応をして、その後ロサンゼルスに飛ぶために車で空港に向かっていた。そこで電話で解雇を伝えられたんだ。No Class, No Balls(全く品格がないし、度胸もない)。それについて私が言うことはそれだけだ」

ピストンズのヘッドコーチのJB・ビッカースタッフも「マイク・マローンのコメントに同意する。そのやり方には品格がない…人としての扱い方が大切なんだ」と発言していました。

あるチーム関係者は、解任のタイミングに悪意があった訳ではないと話しているようですが、せめて、ロスから帰ってきた時に正式に話すべきだったという声もあります。

後任選び

クリスティーをインテリム・コーチにする決定は疑問が残ります。通常であれば、インテリムはヘッドコーチの次の序列にいるリードアシスタントが務めます。しかも、キングスのリードアシスタントのジェイ・トリアーノはラプターズとサンズでヘッドコーチをしていた経験もあり、インテリムには適任のはずでした。それに加え、クリスティーにはヘッドコーチの経験はありません。なぜコーチ経験がないクリスティーが突然プレーオフを目指すチームを率いる事になったのでしょうか。

その理由のひとつがキングスらしいもので、球団に影響力のあるCOOのコロコトロニスがクリスティーのファンで、彼女がクリスティーをプッシュしていたと言われています。

また、2021年11月にキングスが当時のヘッドコーチだったルーク・ウォルトンを解任して、アルヴィン・ジェントリーをインテリムにしようとした時、ジェントリーは自身の「インテリム」の肩書きを外すことを要求していましたが、ラナディヴェはジェントリーとの交渉を有利に進めるための手段として、アシスタントになったばかりのクリスティーを候補として考えていると伝えていたそうです。この頃から上層部はクリスティーを将来ヘッドコーチに育てようと考えていたのではないでしょうか。

クリスティーのポジティブな点は、コーチとしての3年以上やってきた中でキングスの主力選手たちと強い関係を築いていることです。オフシーズン中にクリスティーと一緒にトレーニングをしているサボニスは、クリスティーの能力を評価しているようですし、クリスティーがフォックスに伝えてきた「エリートな2Wayプレーヤーになる能力を持っている」というメッセージはフォックスに受け入れられているそうです。

このように、プレーオフを狙っているにも関わらず、経歴も実績もない人選をするというプロセスがキングスをカングス(Kangs)と揶揄される所以だと思うのですが、はたしてうまく行くのでしょうか?

現在のところ、クリスティーは6勝1敗で、ブラウン解雇&クリスティー起用がうまくいっているように見えます。ただ、勝利したマヴスはルカ・ドンチッチ、カイリー・アーヴィン、クレイ・トンプソンを欠き、シクサーズはジョエル・エンビードを欠き、グリズリーズはジャ・モラントを欠き、ヒートはジミー・バトラーを欠いていました。キングスはその間フォックスが2試合欠場していましたが、そもそもフォックスはプラスマイナスがマイナス5.2なので(Yahoo Sportsのトム・ハバストローによると、この5.2という数字は、この3年間でオールスターに選ばれた選手の中で2番目に最低だそうです)、フォックスがいない方が勝つ確率があがるという話もあります。実際にチームがどうなるかは、フォックスが復帰してから様子を見た方が良さそうです。

ブラウン解雇の本当の問題

ブラウン解雇の本当の問題は、その解雇のやり方や後任を決めるプロセスだけではありません。

それは、キングスがブラウン解雇について記者会見も開かず、その決定で重要な役割を果たしたと言われている主力のフォックスをメディアの矢面に立たせている事です。

ブラウン解雇の3試合前にはフォックスのエージェントがフロントオフィスと今後どうしていくかの話し合いをし、ブラウン解雇の前日はブラウンが記者会見でフォックスのミスを批判していたので、フォックスがブラウン解雇に一役買ったと思われても仕方ありません。

ここはチームのエースを守るためにも、この決定に対する責任を取るべきトップが記者会見を開いて、きちんとその理由を説明するべきでした。

これではフォックスに批判を受ける役目を押し付けていると取られても仕方ありません。

実際にはフォックスはその決定には関わっておらず、ブラウン本人もフォックスが自分を首にしたと信じていないそうです。フォックスも、「みんな私たちが対立していたと思っているみたいだけど、そんなことない。この球団の誰に聞いてもいい。私とマイクが言い争いになったことなんて一度もない。意見が違うことはあったけど、それについては話し合って終わりだった」と話しています。

フォックスの球団での長期的な未来が微妙になって来ている中、このようなリスクマネジメントでは彼の移籍を加速させかねません。せっかくビームチームとしてイメチェンに成功しつつありましたが、またカングス(Kangs)に戻ってしまいそうです。

ブラウン解雇からクリスティー起用までの1連のプロセスを考えれば、キングスに残された道は勝つ事以外にありません。これでプレーオフを逃せば、パニックメーターが振り切れそうです。そうなれば、今は首にはならずに安全と見られているマクネアーとウィルコックスの解雇もあり得ます。せめて、来年はきちんとしたヘッドコーチ探しをして欲しいものです。


  • ちなみに、エイミックによると、リーグ内では、フォックスは2月6日のトレード・デッドラインではなく、オフシーズンに移籍市場に出る可能性が高いと強く考えられているそうです。チーム関係者によると、現在はフォックスに関するすべての問い合わせを拒否していて、ロスターの改善に取り組んでいるそうです。具体的にあがっている名前は、ネッツのキャム・ジョンソンで、すでに話し合いを行っていると言われています。

  • 逆にフォックスの移籍先としてよく挙げられるチームはウェンビーがいるスパーズだそうで、それにヒート、レイカーズが続くそうです。実際に彼が市場に出れば、マジックやロケッツを含むもっと多くのチームが争奪戦に加わると見られています。

  • フォックスの代わりにスターターに入ったキーオン・エリスはディフェンスも良く、オンオフは100ポゼッションで15点だそうです。この15点は最低500分プレーした選手の中で8位に入る数字で(トップはニコラ・ヨキッチで29.6点)、もしかしたらフォックスよりもサボニス&デローザンにフィットするのかもしれません。まだ小さなサンプルですが、これが続けばフォックスがトレード市場に出されるかもしれません。キングスを考える時に、クリスティーの采配、トレード補強、フォックスとの駆け引きに注目してもおもしろいかもしれません。



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