NBAデイリーレポート(12/27, FRI)
今日のデイリーレポートはこちらになります。
パット・ライリー:「ジミー・バトラーはトレードしない」まとめ
クリスマスのもうひとつの対決:NBA対NFL
「ジミー・バトラーはトレードしない」まとめ
ジミー・バトラーのトレードの噂/情報がヒートアップしていく中、ヒートのプレジデントであるパット・ライリーがバトラーに対するチームの方針を次のように明確にしました。
これはESPNのシャムズが、バトラーは2/6のトレード・デッドライン前にトレードされる方を望んでいるとレポートした翌日の事でした。ライリーはこのような噂だけがエスカレートしてチーム内の障害になる事を阻止したかったのでしょう。
今日は前回の「ジミー・バトラーの続々々報」からライリーの発言までに出てきた情報を簡単にまとめていきます。
ジミー・バトラーに関して
前述したシャムズのレポートの要点は以下のようになります。
マイアミ・ヘラルドのバリー・ジャクソンとAnthony Chiangは、ジミー・バトラーがこのようにマイアミに残ることへの気持ちが揺らいでいる理由を次のようにあげています。
バトラーがヒートに不満を抱いている主な理由は、夏にマイアミが彼に2年$113Mの契約延長を提示しなかったことだそうです。バトラーは交渉の初期段階でこの契約を結ぶことに前向きでしたが、ヒートがすぐに提示しなかったことで彼の考えが変わったようです。
具体的には、バトラーは2025-26シーズンのプレーヤーオプションを行使する場合に残る2年間、$101.2Mの契約を、3年間、$161.7Mの契約に置き換えることを望んでいたそうです。ヘラルドは、「昨年6月に契約延長が迅速に進まなかった後、バトラーは今シーズンを戦い抜き、来年7月にフリーエージェントになるためにプレーヤー・オプションを行使することを決意したという。この意向は現在も変わっていないとソースは言っている」とレポートしています。しかし、「ヒートは36歳になったばかりで、過去4シーズンすべてで少なくとも20試合を欠場している選手に対して、そのようなコミットメントをする準備が整っていないと示唆」したそうです。
ライリーが5月の記者会見でバトラーを叱責したことが、彼を驚かせたことも要因のひとつだそうです。バトラーは膝の怪我でセルティクスとのプレーオフ1回戦(5試合で敗退)に出場できませんでしたが、その後バトラーは「私が健康だったら、ボストンは家で過ごしていただろうし、ニューヨークも間違いなく家にいたはずだ」と発言していました。この発言について、ライリーがシーズン終了後の記者会見で「彼がそう言った時、私が思ったのは、『それはジミーがからかっているのか、それとも真剣なのか?』ということだ。ボストンやニューヨーク・ニックスとコート上で戦っていないなら、口を閉じておくべきだ」と厳しく批判しています。これが「バトラーの心情に影響を与えたとされている」そうです。
さらに、ESPNがマイアミはバトラーをトレードに出す可能性があるという記事を出した時に、ヒートがそれを公に否定しなかったことにも「彼は失望している」との事。
ジミーはヒートに助けてくれる選手を求めていたが、それは実現しなかったため、ヒートに不満を持っているとも言われています。
最近では、バトラーはライリーの家で行われた毎年恒例のクリスマスパーティーには参加しなかったと言われています。これはバトラーがチームから離れようとしているとも取れますが、ヘラルドのソースは、彼は過去にもこのパーティーを何度か欠席しているので、それについて特別な意味を持たないと言っていたそうです。
現時点でバトラーはまだ正式にトレードを要求していないそうです。同時に、ヒートに不満(アンハッピー)があることも否定されていないそうです。
ヒートに関して
同じくマイアミ・ヘラルドによると、現時点でヒートが焦ってバトラーの意向に応じるようには見えないそうです。
その理由はいくつかあり、1つ目は、フリーエージェンシーでバトラーにマックス級の契約をオファーできるようなキャップスペースを持つチームは再建中のブルックリン・ネッツ以外には存在しないというという事です。これは何度も言われていますが、ヒートはバトラーをフリーエージェンシーでリターンなく失う可能性については全く懸念していないそうです。
2つ目は、魅力的なトレードオファーがまだ提示されていないことだそうです。
最後に、ヒートがビッグネームをシーズン中にトレードする事は滅多になく、これまでのところ2008年の当時35歳でケガがちだったシャキール・オニールだけになります。そのため、今回もヒートはバトラーがこの状況に混乱をきたさない限り、「ヒートはこのドラマを7月まで持ち越すことに問題を感じていない」そうです。
このようなヒートのスター選手を巡る状況は、2015年に球団レジェンドのドウェイン・ウェイドがオプトアウトしてフリーエージェントになった時とよく似ています。当時33歳だったウェイドはヒートから3年契約を求めていたそうですが、結局はオプトアウトした後にヒートと1年$20Mで再契約をしています。ウェイドは2016年に再びフリーエージェントになり、バトラーが所属していたブルズと契約をしました。
今回は35歳のバトラーがオプトアウトしてフリーエージェントになりそうです。
問題はその後です。はたして、バトラーは夏になればサイン&トレードで長期大型契約を見つけられるのでしょうか?それとも、ウェイドのように短期大型契約でヒートと再契約するのでしょうか?ウェイドとジェームズはヒートから出た後、それぞれ故郷のチームと契約しています。バトラーもそれに続いてテキサスのチームに移籍するのでしょうか?
ライリーはシーズン中のバトラーのトレードを否定しましたが、今後もバトラーウォッチを続けていきます。
クリスマスのもうひとつの戦い:NBA対NFL
これまではクリスマスと言えばNBAの独壇場でしたが、NFLが2020年からクリスマスゲームを放送するようになり、その流れも変わりつつあります。特に今年のNFLのクリスマスゲームは世界最大のストリーマーであるNetflixを通して全米(全世界)に放映されました。しかも、ダブルヘッダーの1試合目の前にはマライア・キャリーが「All I Want For Christmas Is You」を歌い、2試合目のハーフタイムではビヨンセが歌いました。NFLもクリスマスゲームというイベントにかなり力を入れてはじめてきています。
NFLよりも力を入れているのは「ジェイク・ポール対マイク・タイソン」で大成功を収め、ライブスポーツに取り組みつつあるNetflixかもしれません。Netflixはクリスマスゲームの2試合になんと$150Mを払い、しかも番組の出演者に億単位1000万円近く〜数千万のギャラを払ったそうです。
レブロン・ジェームズはクリスマスゲーム後に、「私はNFLを愛しているが、クリスマスは私たちの日だ」と言っていましたが、実際の視聴者数はどうだったのでしょうか?
まずはNBAの視聴者数を試合ごとに見ていきましょう。
スパーズ対ニックス:試合開始は12:00pm (ET)。視聴者数はABCとESPNで491万人。これは「Dunk the Halls」というミッキーマウスをテーマにしたESPN2での同時放送も含まれた数字です。この視聴者数は2011年のロックアウト後のシーズン開幕戦となったセルティックス対ニックス戦以来、正午のクリスマスゲームで最大の視聴者数になったそうです。
ウルヴズ対マーベリックス:試合開始は2:30pm(ET)。視聴者数はABCとESPNで438万人。1:30pmからNFLのチーフス対スティーラーズ戦あり。
シクサーズ対セルティックス:試合開始は17:00pm(ET)。視聴者数はABCとESPNで516万人。4:30pmからNFLのレイヴンズ対テキサンズ戦あり。
レイカーズ対ウォリアーズ: 試合開始は8:00pm(ET)。視聴者数はABCとESPNで合計776万人。これは876万人の視聴者を集めた2019年のクリッパーズ対レイカーズ戦以来レギュラーシーズンで最多。視聴者数のピーク時は午後10時30分(ET)で832万人に達し、前年のクリスマスのプライムタイムの試合であるグリズリーズ対ウォリアーズの475万人から63%増加。
ナゲッツ対サンズ:試合開始は10:30pm(ET)。視聴者数はABCとESPNで384万人。深夜のクリスマスゲームとしては2008年以降で最多。
全体的にはNBAのクリスマス5試合の平均視聴者数は525万人。今年はクリスマスの5試合すべてがABCで放送された2回目の年で、前回の2022年と比較すると、平均視聴者数は430万人から22%増加。また、NBAがNFLの3試合ではなく2試合と競合する初めての年でもあった2021年と比較すると、視聴者数は408万人から29%増加しています。(*数字はSportsmedia Watchより)
今年のNBAのクリスマスゲームはかなり善戦したと言ってもいいのではないでしょうか。ABC/ESPNもNetflixがやったようなイベント的な工夫があればもっと盛り上がったのかもしれません。来年に期待しましょう。
これに対してNFLのクリスマスゲームの数字はどうかと言うと…
チーフス対スティーラーズ:試合開始は1:00pm(ET)で、平均視聴者数は2,400万人以上。
レイヴンズ対テキサンズ:試合開始は4:30pm(ET)で、視聴者数は2,700万人。これはビヨンセのハーフタイムショーが影響した可能性がありとの事。
Netflixは、このダブルヘッダーが「アメリカ史上最もストリーミングされたNFLゲーム」だったと発表しています。NBAとはケタが一桁違いますね。さすがはスポーツ・エンタテイメントの王者と言われているだけのことはあり、NFLはクリスマスでもNBAをものともせずに圧倒的な数字を叩き出していました。ちなみに、同じストリーマーであるAmazon Primeのサースデーナイト・フットボールの平均視聴者数は12月はじめの時点で1360万人以上になっています。
NFLは次はNBAオールスター・ウィークエンドにも試合をぶつけてくると言われています。今後もNFL対NBAは続きそうです。