ブレークダウン:レイカーズとネッツのトレード
レイカーズとネッツが動きました。このトレードについてまとめます。
まずはトレード内容から見ていきましょう。
レイカーズ獲得:
ドリアン・フィニー=スミス($15.4M)
シェイク・ミルトン($2.9MM)
ネッツ獲得:
ディアンジェロ・ラッセル($18.7M)
マクスウェル・ルイス($1.9M)
2027年の2巡目指名権(ジャズがプロテクションレイカーズの1~4がかかった2027年の1巡目指名権をもらえなかった場合、ジャズがこの指名権を獲得)
2030年の2巡目指名権(レイカーズのもの)
2031年の2巡目指名権(レイカーズのもの)
このトレードの主要プレーヤーであるラッセルとフィニー=スミス(以下DFS)は、両者ともにシーズン中のトレードがあると理解していたはずで、不満を口にしていたり、トレードされたくないと言っていた訳ではないので、ドラマはありません。そのため、チームがお互いの課題を解決し合うWin-Winのトレード内容になっています。
レイカーズ
このトレードにより、レイカーズは課題だったウィングの3&Dを獲得。DFSは今季スリーがキャリアハイの43.5%。スイッチしてビッグも守れるので、フロントコートでのローテーションにも厚みが増します。
レイカーズのヘッドコーチのJJ・レディックは2020-21シーズンにマーヴェリックスとDFSとチームメイトの間柄で、移籍もチームのフィットやコーチとの相性などもスムースに行きそうです。
レイカーズはトレードで出したサラリーよりも大きなサラリーを受けとれないファーストレプロン・チームなので、サラリーマッチに関しては$20.6M>$18.3Mになっていて問題ありません。本来はラッセルとDFSのトレードもストレートに出来たはずなのですが、そうするとネッツはタックスラインを超えてしまいます。そのため、ミルトンとルイスがこのトレードに含まれたのは、レイカーズがミルトンを欲しがったというよりは、数字合わせのためだと考えて良さそうです。
キャップ的にはレイカーズはサラリーを$3M削りました。これでタックスは$53.4M→$42Mに減り、$11Mほどの節約になっています。
レイカーズはこのトレードにより、ラッセル$18Mという大きなサラリーを失ったため、シーズン中のラヴィーンやイングラムなどのブロックバスターの線は消えたと思われます。次のトレードピースは$11Mのゲイブ・ヴィンセントと$10.7Mのジャレット・ヴァンダービルトになると思いますが、このどちらかの選手で噂になっているウィザーズのヨナス・ヴァランチュナス($9.9M)獲得が可能です。ただし、ADの控えセンターになるであろうヴァランチュナスに1巡目指名権は出さないと思うので、そうなると2巡目指名権を出さなければいけません。しかし、レイカーズに残っている2巡目は2025年の自身のものとクリッパーズからの2つしか残っていません。今のところ両チームともにプレーオフ圏内に入っているため、魅力的なアセットには見えません。他には2026、2028、2030の1巡目のスワップも考えられます。さすがに2026はまだウィザーズは再建中だと思うので、2巡目ひとつ+2030のスワップも交渉されるのではないでしょうか。
*ラッセルがレイカーズからネッツにトレードされるのはこれで2回目になります。ラッセルは2015年にレイカーズに指名されてNBA入りを果たし、2017年にネッツにトレードされていました。その後、ラッセルは2019年にKDのトレードでウォリアーズに、2020年の2月にはウルブズに、2023年の2月にはウェストブルックを巡る3チームトレードでウルブスからレイカーズにトレードされていました。
ネッツ
ネッツに関しては、以前からキャップスペースを維持するために大きなサラリーを受け取りたがっていないと言われていたので、契約が今季までのラッセルと来年実質NGのルイスはそのハードルをクリアします。
タンク中のネッツにとっては、これまでいい結果を出せていなかったラッセルがデニス・シュルーダーのように復調してしまう懸念もありますが、まだ2月のデッドラインでトレードに出すことも可能です。その場合は2巡目指名権を獲得できるでしょう。そうなれば、すでに16もある2巡目指名権のアセットが更に増えることになります(1巡目指名権は15)。
仮に、そこでのラッセルの需要がなければ、ラッセルの契約をバイアウトしてタンクを加速することも考えられます。再建に入った球団的には、天井が見えている28歳のラッセルよりも、クーパー・フラッグ、エース・ベイリー、ディラン・ハーパーのポテンシャルを選ぶべきでしょう。
バイアウト後のラッセルの移籍先はエプロンチーム以外の優勝候補になります。考えられるのは、キャヴァリアーズ、グリズリーズ、マーヴェリックスあたりでしょうか。クリッパーズでハーデンのバックアップとしての加入もありでしょう。
また、ネッツはラッセルをミケル・ブリッジスでつくった$23.3MのTPEで吸収して、TPEをリサイクルしていく事も考えられます。ルイスは2/10で切れるロイス・オニールのTPE、もしくはケイタ・ベイツ=ディオップのTPEで吸収リサイクルするかもしれません。
ネッツの次のトレードはキャム・ジョンソンだと言われていて、スタインによると、現在ネッツはジョンソンのトレードで複数の1巡目指名権を求めているとの事です。それも受け取る選手の契約内容やポテンシャルにもよるかと思いますが、シュルーダーで2巡目指名権が3つ、DFSで3つだったので、1巡目の複数獲得はきびしいかもしれません。
これでネッツは来年の夏にこれで$77Mまでのキャップスペースをあける事が可能になりました。再建中のチームにこのような巨額のスペースは必要ではないため、私はネッツがそうしているのは、来年RFAになるウォリアーズのジョナサン・クミンガとブルズのジョッシュ・ギディーに大きなオファーシートを出す可能性を残すためだと予想しています(最低どちらかひとりに)。それとも、これは1巡目と引き換えにサラリーダンプを受け入れるという再建チームがよくやる常套手段なのでしょうか?ジョンソンのリターンで今後の方向性や狙いが見えてきそうです。
グリズリーズ
NBAインサイダーのマーク・スタインによると、グリズリーズもネッツとDFSに関してトレード交渉をしていたそうですが、グリズリーズがなかなか動かなかったため、ネッツはレイカーズのオフェーを選んだとの事です。ちなみにグリズリーズは、ルーク・ケナード($9.25M)、ジョン・コンチャー($6.1M)、トップ17プロテクションがかかった2025年の1巡目指名権をオファーしていて、ネッツの2025年の2巡目指名権を求めていたとの事。
指名権のやりとりに関しては、一見1巡目の方が良いと思いますが、現在グリズリーズの来年の1巡目は27位で、ネッツの2巡目は37位とその差は10位しか変わりません。しかもこの辺りのドラフト候補の順位は各チームのビッグボードではバラつきが出るため、このレンジのスワップだとネッツにとってあまりそそられるものではなかったかもしれません。むしろ27位ならサラリーが安い2巡目選手の方が良いかもしれません。プロテクションに関しては、NYポストのブライアン・ルイスもネッツが得られない程重いプロテクションがかけられていたと聞いていたそうです。
または、 1年契約をしたためにトレード否定権を持つケナードがトレードを拒んだ事も考えられます。ケナードは再建のネッツよりも優勝を狙えるポジションにいるグリズリーズに残りたかったのかもしれません。ネッツがコンチャーの来シーズンの$6.1Mも嫌った可能性もあります。
現在ウェスト2位と好調であるからか、グリズリーズのトレード情報はあまり出て来ていませんが、今後は不調のマーカス・スマート、来年フリーエージェントになるジェイク・ララヴィアあたりの名前があがってくるかもしれません。