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NBAデイリーレポート(11/26, TUE)

今日のデイリーレポートのメニューです。

  • 「再びニコラ・ヨキッチの世界だ」

  • ヒューストン・ロケッツの方向性

  • NBAとワーナーの和解続報

  • ヴィクター・ウェンバンヤマ


ナゲッツは今日までで9勝7敗とパっとしませんが、ひっそりとニコラ・ヨキッチが歴史的な数字を残すようなプレーを続けているようです。元グリズリーズのバスケットボール・オペレーションのVPだったThe Athleticのジョン・ホリンジャーは、そのヨキッチのプレーを「この10年で最高の選手が、これまでで最も素晴らしいシーズンを送ろうとしている」と評している程です。現MVPはどのような活躍を見せているのでしょうか。ホリンジャーの記事の訳をお楽しみください(*11/25の記事)。

再びニコラ・ヨキッチの世界だ

これを以前にも聞いたことがあるなら私を止めてくれ:今シーズン、ナゲッツはヨキッチがコートにいるときは優勝できるレベルのプラス13.6のネットレーティングだが、ヨキッチがいないときはタンカスティックなマイナス16.9だ。(実際のところ、これはタンクしているチームへの侮辱だ ー ウィザーズでさえマイナス14.2なのだ。)

ナゲッツがヨキッチとともにプレーする場合と、ヨキッチ抜きでプレーする場合のこの信じられない30.5ポイントもの差は、ここ5年間続いている。この間、ナゲッツはこの流れを止めようと、スターターのローテーションを工夫したり、バックアップセンターをドラフトで獲得したり契約したり、トレードしたり、さらにはサードダウンでのクイックキック(アメフトのプレー。早めの解決策)まで試してきたが、それでも状況は変わらない。

この差を生む根本的な理由はもちろんシンプルで、ヨキッチがリーグで最高の選手である一方で、ナゲッツが彼の代わりに起用する選手はそうではないからだ。アーロン・ゴードンは怪我で離脱し、今シーズンはルーキーのダロン・ホームズIIも怪我で失い、KCPをフリーエージェンシーで失い、さらにジャマール・マレーも本来の50%の状態だが、それらはヨキッチがコートにいないときだけ問題になるように思える。

私たちは、ここ4シーズンで3回MVPを受賞した彼が、今年は少しペースダウンするのではないかと思っていた。彼は長いシーズンを終えた後にオリンピックにも出場し、2月には30歳を迎える。しかしヨキッチは、かつてないほどに調子を上げて戻ってきた。実際、今シーズンのヨキッチの物凄さの概要があまりに素晴らしいため、通常NBA記録の解説で使われる「ウィルト・チェンバレンもこの記録を14回達成しているが」という注意書きをつける必要がない。

ヨキッチはこれまで誰も成し遂げたことのないことをしている。

まず、彼が平均でトリプルダブルを達成しているという事実を考えてみてほしい。それも余裕で。だが、これは彼の今シーズンのスタッツの中ではおそらく一番目立たない項目だ。(トリプルダブルを達成した選手はこれまでに2人しかいないが、そのうちの1人ーラッセル・ウェストブルックーは現在ヨキッチがいない時間帯を破壊することに専念している。)

さらに、ヨキッチがセンターとしてリーグアシスト王争いに加わっていることを考えてみてほしい(センターがアシスト数でリーグをリードしたことはこれまで一度もない。ただし、チェンバレンは1967-68シーズンに総アシスト数でトップに立ったことがある)。ヨキッチはアトランタのトレ・ヤングの11.7を11.2アシストで追っていて、他の選手たちを大きく引き離している。

ヨキッチがリーグで初めてリバウンド王争いのトップに立っていて、そのまま圧勝しそうな事を考えてみてほしい。彼の1試合平均13.9リバウンドは、サクラメント・キングスのドマンタス・サボニス(12.7)をフルリバウンド以上引き離している。

さらに驚くべきことは、卓越したパサーとしてよく知られるヨキッチが、得点王争いにも加わっているという事実だ。この偉業が最も達成しにくいのは確かで、現在トップはミルウォーキー・バックスのヤニス・アデトクンボで1試合平均32.4点を記録している。しかし、ヨキッチの30.2点はラメロ・ボール(30.2)とアンソニー・デイヴィス(30.1)をわずかに抑えて2位につけている。

それでも、前述の3つの段落を見て気づくのは、ヨキッチが得点、リバウンド、アシストの3部門でリーグトップを狙える位置にいるという事実だ。これは野球ではなくバスケットボールの話だ。誰もこんなことを成し遂げたことがないし、議論の対象にさえならなかったレベルだ。しかしヨキッチは、これらすべてのカテゴリーで1位または2位につけている。NBAの歴史上、1試合平均で3つのカテゴリーすべてでトップ3に入った選手はひとりもいない。

ラッセル・ウェストブルックが持つ1シーズンのトリプルダブル記録(42回)も、ヨキッチの視野に入っているだろう。ヨキッチは余裕でトリプルダブルを平均し、シーズンはまだ67試合も残っているのだから。彼はすでに7回達成しており、仮に11月24日でシーズンを終了しても、その記録はNBA歴代トップ100に入る。

それと以前「ナゲッツにはシューターがいない」と言ったのを覚えているか? ヨキッチはその問題に対する解決策を見つけたー自分がシューターになることだ。彼は過去のシーズンでは3ポイントシュートを控えていたが、今シーズンは1試合平均4.0本とキャリア最高のアテンプト数を記録している。しかもその成功率は驚異的な56.3%だ。あのロサンゼルスでの75フィートのバレーボールタップ・シュートもその成功率に含まれているにもかかわらずだ。

そのシュートがなければ、ヨキッチはリーグの3ポイント成功率でトップに立っていただろう。(「Cleaning the Glass」によれば、ヨキッチには他にも「Heave(無理なシュート)」として分類されたミスが1本あるが、実際のシュートチャンスがある46本中27本を成功させている。)

さらに、3ポイントシュートの増加は、彼の他のプレーに全く悪影響を与えていない。10フィート以内のシュートの割合はこれまでと同じだし、オフェンスリバウンド率はキャリア最高を記録している。平均シュート距離は実際に短くなっている。一体どうなっているんだ?

そして当然のことながら、アドバンスド・スタッツもヨキッチの凄さを証明している。今シーズンの33.2のPERはNBA記録を更新するペースだ。全試合の20%を欠場しているにもかかわらず、彼はウィンシェアでもリーグトップだ。さらに、15.0のBPMは、2021-22シーズンに彼自身が記録した最高値を更新する勢いだ。(ちなみに、ヨキッチの過去4シーズンのBPMは歴代トップ6のうち4つを占めている。)

もちろん、まだシーズン序盤であり、これからいろいろなことが起きるだろう。だから少し冷静になるべきかもしれない。しかし、ヨキッチはすでにMVPレースを圧倒的にリードしている。この10年で最高の選手が、これまでで最も素晴らしいシーズンを送ろうとしていて、それは複数の意味で歴史的なシーズンになる可能性が高い。

このショーを楽しむんだ。


ヒューストン・ロケッツ

続いてはNBAインサイダーのマーク・スタインのスタイン・ラインからロケッツの方向性についての話題です。現在ウェスト3位と好調のロケッツは今後どうしていくのでしょうか。

ヒューストン・ロケッツは、ケヴィン・デュラントや最近ではヤニス・アデトクンボといったスーパースターとのトレードの噂が浮上している。ロケッツはこれらのスター選手に関心がないわけではないが、今シーズン中に動くつもりはない。

今シーズンの焦点は、若いロスターの内部成長にある。ロケッツはその方針を維持し、今すぐ大きな動きをすることを考えていない。

この先、ロケッツは新たな獲得選手がチームのタイムラインに合うかどうかを優先事項にするつもりだ。以前、ドノヴァン・ミッチェルはチームの若いコアに適した若さを持つ選手として見られていて獲得を検討していたが、ミッチェルはクリーブランド・キャヴァリアーズとマックス契約の延長を結んだため、ロケッツの選択肢から外れた。

ヤニスは29歳、ミッチェルは28歳なので、ロケッツは28歳以上のスター選手のトレードはしないつもりだと思われます。12/15にはフリーエージェンシーで得た選手たち(85人)がトレードに出せるようになるので、このような話題も増えてきますが、大事な情報は都度お届けしていく予定です。


NBAとワーナーの和解続報

以前NBAがワーナーと和解した時に、ワーナーが持つ人気NBA番組の「Inside The NBA」の権利がESPNに移り、代わりにBig 12のフットボールとバスケットボールの試合がワーナーに移ることをここでまとめましたが、その詳細がThe Athleticから出てきたのでお伝えします。

この「Inside The NBA」と大学スポーツの試合のスワップは、ESPNのチェアマンであるジェームズ・ピタロが主導で実現したそうです。ピタロはTNTスポーツのトップであるルイス・シルバーウォッサーに「私たちはお互いの問題を解決できる」的なことを言って連絡して、TNTがもてあます番組をもらうかわりに、Big12のフットボール13試合とバスケットボールの15試合をオファーしたとの事。このディールで金銭のやりとりは発生せず、契約期間は6年間だそうです。

このディールにより、TNTはESPNとのコネクションができたことにより、今後も大学スポーツの権利を買える機会が出てくるようになったとも言われています。

ESPNからすれば、NBAとワーナーの混乱に乗じてライバルであるNBCやAmazonが狙っている「Inside The NBA」を先手を打って手に入れることができ、上々な結果です。さすがボブ・アイガーの後継者のひとりと目されているだけのことはあります。

また、ワーナーがNBAのメディア権を持つ国としてノルウェーの名前があがってきました。これでヨーロッパでワーナーがNBAのメディア権を持つ国はポーランドに次いでノルウェーになります。そして、NBAグローバルコンテンツ権が無料で使えるようになったB/RやHouse of Highlightsの広告枠からの利益ですが、5年間でおよそ$350Mになる見込みだそうです。


ヴィクター・ウェンバンヤマ

ジョエル・エンビードや他の話題で取り上げる時間がなかったのですが、11/18にESPNのケヴィン・ペルトンがウェンビーのおもしろい記事を書いていたので紹介します。

ヴィクター・ウェンバンヤマが圧巻のルーキー・オブ・ザ・イヤー・シーズンを終えた後、サンアントニオはオフシーズンに彼をベテランのタレントで支えることにさらに力を注いだ。特に注目すべきは、スパーズが殿堂入りポイントガードのクリス・ポールをウェンバンヤマのメンター兼プレーメーカーとして迎え入れたことだ。

しかし、バックアップ・ポイントガードのトレ・ジョーンズが開幕戦以降プレーしていないこともあり、この計画はあまり実現していない。実際、ウェンバンヤマがアシストされる頻度は減少していて(フィールドゴール成功の68%がアシストによるもの。昨シーズンの74%から低下)、セカンド・スペクトラムが測定するqSQ(質の高いシュートの割合)によると、より難しいショットを撃っている。

先週も触れたように、これは部分的にジェレミー・ソハンのブレイクアウトによって、ウェンバンヤマのペイント内のスペースが減ったことが原因だ。しかし、ソハンがより小柄なステファン・キャッスルとラインナップを交代して以降も、ウェンバンヤマのシュートクオリティはほとんど変わっていない。それどころか、シュート成功率が向上している。ルーキーだった昨シーズン、ウェンバンヤマの実際の効果的フィールドゴール成功率とqSQの差であるクォンティファイド・シュート指標(qSI)は、少なくとも100本のシュートを放った選手の中で56パーセンタイルにランクしていた。しかし今季、その数字は79パーセンタイルに跳ね上がった。

特に、ウェンバンヤマは突然NBAの3ポイントレンジをモノにした。開幕から9試合の間、ウェンバンヤマの3ポイント成功率はわずか23%で、1試合あたり6.9本も試みる頻度が議論の的となっていた。しかし、フリースローラインでは静かに進歩を見せていて、ルーキー時の80%から今季は87%に向上している。フリースロー成功率の向上は、必ずしもではないが、将来的な3ポイント改善を示唆することが多い。

先週のウェンバンヤマのパフォーマンスは、50得点を記録したキャリア初の試合で3ポイントを16本中8本成功させたことを含め、3ポイントが決まり始めるとどれだけ守りにくい存在になるかを証明した。

もちろん、ウェンバンヤマがこの3試合で20本の3ポイントを成功させた間に記録した54%の成功率を維持し続けることはないだろう。しかし、ウェンバンヤマがリーグ平均レベルの3ポイントシューターになれば、彼を攻撃面での脅威に変え、彼のゲームを変えることができるディフェンスと相まって圧倒的な存在になるだろう。その時点では、誰がウェンバンヤマをサポートするかという問題は二次的な懸念に過ぎなくなるはずだ。

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