1人きりの誕生日

　昨日は僕の誕生日だった。誕生日を祝ってくれるような彼女はいない。誕生日おめでとうの連絡は何人からかは来たが、誕生日当日に一緒に過ごしてくれる友達はいなかった。誕生日の3日前に夜飯を奢ってくれた友達は一応いた。

　僕は人付き合いが苦手で、友達は多くない。中学、高校の頃の友達で今でも会うような仲の友達は部活の友達がほとんどだ。僕が1番ぐらい仲の良いと思っている友達は、中学の時1人、高校の時1人ずついる。

　高校の時の1人は違う学部だが大学も同じで、3日前に夜飯を奢ってくれた友達だ。

　中学の時の1人は社会人として働いている。週1ぐらいのペースで合っている仲だが、中学の時から誕生日を祝い合ったりなどしてなかったから、お互い今頃恥ずかしいので祝ったりなどできないと僕は思ってる。多分相手もそう思ってると思うようにしてる。

　別に誕生日にプレゼントをあげあっていなくても、仲の良い深い友達はいると思っている。

　なぜなら、大学1年の時に最初に仲良くなった僕を含め4人グループの友達とは誕生日にプレゼントをあげあって祝っていたが、今は僕はその人たちとはほぼ喋らなくなった。

　まぁこれには理由があるが、別に喧嘩したわけでもなく、お互い嫌いになったわけでもなく、元から合わなかっただけだと思う。

　大学最初はお互い友達が必要で、たまたま最初に声かけあっただけで仲良くなった友達だ。そしてお互いクラスに別の友達ができるようになっていき、本当に合う友達と仲良くなるようになっていっただけ。ただそれだけの薄っぺらい関係だったと僕は思うようにしている。

　まぁこんなことはいい。

　結局僕は誕生日当日を1人で過ごす事になった。

　誕生日当日、僕は昼頃起きた。夕方になるまで家でダラダラ過ごした。夜になると仕事から両親が帰ってくる。友達や恋人と過ごせないなら素直に家族と過ごせばいいのに、誕生日に1日家にいると、家族に変な心配されるんじゃないかと思い、夜は家を出ようかなと考えた。

　誕生日の僕が友達を誘いづらい。僕が誕生日と知らず僕と過ごしても、もし後々あの日誕生日だったと気づかれた時、誕生日当日に自分から友達を誘う寂しいやつだと思われたくないし、気づかずに僕と過ごしてしまったと変な気分にもさせたくないから友達は誘えない。

　誕生日を1人で過ごすならば、全然誕生日1人でも平気だからというスタンスの人間に、周りには見せなくてはいけない気がする。

　それがとても面倒くさい。普通に友達を誘えない、他の日と同じように過ごす事が許されない感じがする誕生日がすごく嫌いだ。

　誕生日を祝うという文化は、誕生日を祝えあえる人達には幸せな話だ。だが、そんな人達はそんな文化がなくても幸せな生活を日々送っているような人たちだ。

　誕生日を祝い合うような人がいない人からしたら、日々孤独感を感じているにもかかわらず、より一層孤独感を突きつけられる日というだけである。

　世の中の良い事と悪い事は表裏一体だ。光には常に陰があるんだなとか今改めて思った。

　結局、僕は夜になったら車でコンビニに行き、1人なりに贅沢してやろうと思った。

　本当はいつもと同じ唐揚げ弁当を食べたいが、贅沢をしなくてはいけないので、そんなに食べたくもないちょっと高い牛カルビ丼を、いつもは100円のセブンイレブンオリジナルの緑茶だが、30円ぐらい高い綾鷹を、そんな食べたいわけではないが、ポテトチップスを買った。

　それを1人で車の中で食べる。好きなラジオ(ハライチのターン)でも聴きながら。

　牛カルビ丼を完食する。

　あぁ、米と肉の量が合ってないなぁ。

　皆が皆、肉が多ければ良いと思うなよ。米があってこその肉だろ。そんなどうでもいいことを思った。

　綾鷹を飲む。

　正直いつものセブンイレブンオリジナルの緑茶と30円ほどの違いの価値がどこにあるか分からない。

　ポテトチップスを開ける。

　半分を食べる前に飽きていたが、惰性で食べ続ける。

　意地で完食する。

　家を出てからまだ1時間も経ってない。まだ帰れない。1人車内でラジオを聴き続ける。

　一つのコンビニに長く駐車し続けるのはなんか良くない気がした。でも、行くとこはない。

　漫画喫茶にでも行こうか。一人カラオケにでも行こうか。でも読みたい漫画もないし、1人カラオケは行ったことがなく勇気がない。

　結局色々考えた末、また別のコンビニに行った。デザートで小さいチーズタルトといろはすの白ブドウを買い、また車で何分か別のラジオ(オードリーのオールナイトニッポン)を聞きながら過ごす。

　40分ぐらい経ったなあと思ったらまた別のコンビニに移動した。

　ミンティアを買い、また30分ぐらいコンビニで過ごす。

　あぁ、もう帰るか。

　家を出てから3時間ほど経って帰宅。

　誕生日って本当に面倒くさい。