ニコラ・ヨキッチの凄さが5分でわかる
今回は、今シーズンのレギュラー・シーズンMVPを受賞したナゲッツのセンターをピックアップします!
簡単にまとめると📝
天才的なパス力で、オフェンスの司令塔を務める2.11mのセンター
プロフィールℹ️
・名前:Nikola Jokic(ニコラ・ヨキッチ)
・生年月日:1995年2月19日(26歳)
・身長:2.11m
・体重:129kg
・出身地:セルビア
キャリアハイライト🏆
NBAでの功績から見てみましょう
・MVP (2021年)
・NBA All -Star(2019年, 2020年, 2021年)
・All-NBA First-Team (2019年)
・All-NBA Second-Team (2020年)
・All-Rookie First-Team(2016年)
NBAのレギュラー・シーズンMVPを受賞したってことは十分すごい選手だと証明していますが、どこがすごいのかを説明する前に、ヨキッチがどれほどNBA選手として期待されていなかったかについて話したいと思います。
ヨキッチがNBAドラフトで選択されたのは41位指名です。
大体NBAでは、10位指名ぐらいまでは選手として期待できる、ぎりぎり15位までなら可能性があるという感じです。30位指名以降はほとんど期待されない選手で、ここから1試合に15分ぐらい出場できる選手が出たらラッキーという感覚です。
ちなみに過去30年のレギュラーシーズンMVPがドラフトで選ばれた順位は以下の通りです
41位指名のヨキッチがMVPを受賞する前に、MVPを受賞した選手で一番指名順位が低かったのは15位だったので、41位指名の選手がMVPを取るのはどれほど珍しいかわかってもらえたかと思います。
ちなみに、41位指名がどれほどマイナーかというと、NBAドラフトのテレビ中継で彼が指名されたタイミングはコマーシャルが流れていました。
コマーシャル後、ドラフトの解説者は以下の分析を残しました
【日本語訳】
「セルビア出身のヨキッチはデンバー・ナゲッツにドラフトされました。デンバー・ナゲッツにはボズニア出身のJusuf Nurkic選手もいるので、デンバーは国際選手に強化しているみたいです」
分析が雑というか、プレイについて全く触れていません笑 多分アナリストにとっても未知な選手だったんでしょうね。
プレイのハイライト🎥
ヨキッチは運動神経が低く、スピードの遅さとヤクルトジャンプを見ると、「この人大丈夫?」と思うかもしれません。
でも、バスがすごいんです。
ヨキッチのナイスパスを3つほどまとめてみましたのでご覧ください
このパスを繰り出しているのがセンターですよ!
ちなみに、「センターの割にはパスが上手い」というわけでは一切ありません!
ポジション関係なく、現在のNBA選手でパスセンス TOP 3 と言っても過言ではありません(あと、センターとしてはNBA史上最もパスセンスがあると言っても過言ではありません)
深掘りタイム🤓
まずはこのプレイから
ボールを持ったところから積極的にドライブすることも可能でしたが、3PTラインでストップし、ディフェンスの気を一瞬ひき止めます。
そして、あのパス。ヨキッチの目の前にはディフェンダーがいるうえ、ブレイザーズの選手が後ろから迫っています。そのため、真上からのパスだと通りませんし、ゴール下にはブレイザーズの選手が最初はいますが、パスを出すのを少し待つことでゴール下で待っている相手選手はどうしようか迷ってしまいます。そこのタイミングを見逃さず、ヨキッチは右側からパスを回してきます。
あと、スロー再生で見ると、ヨキッチがボールを止めた時、まずはビハインド・バックのパスをする予定だったと思います
しかし、途中でやめる判断をし、コンマ数秒待ったことで、プレイが上手く成立しました。素晴らしい!
次のプレイはこちら↓
パスした瞬間、「え?どこに投げてるの?パスミス?」と思います。でもヨキッチはスペースの空きを見落とさず、パワーフォワード(PF)としては若干背が低めのチームメイトが一番ブロックされにくいように空中でキャッチできるアリウープをします。
次の2つは、チームメイトにボールを手渡すことをせず、その後にチームメイトにパスをするプレイです
パスを出すタイミング、場所、角度、全てが別次元です!
アウトレットパス
次のプレイは、リバウンドをしてから先に走っている選手へのアウトレットパスです
こんな長距離のパスを正確に投げること自体すごいのですが、注目したいのは、リバウンドとパスが1つの動作で行われたことです。
普通リバウンドは両手で確保してから、空いている選手にパスしますが、ヨキッチは片手でリバウンドをとり、チームメイトが先に走っているとわかっていてリバウンドをとった動作のままパスを投げています。最高です。ちなみに、あそこでリバウンドを通常のように両手でしっかり確保していたら、ディフェンスに戻る時間を与え、簡単なレイアップには繋がらなかったでしょう。
クロスコートパス
次のプレイは二つのアングルからお届けします。
あの位置から、あの選手に、あのパスをするのは本当にすごいです。
最後になりましたが、僕が一番好きなヨキッチのパスです。
一見シンプルに見えて、「そこに出すか」と関心してしまう素晴らしいプレイです。
すごいビジョンとパスセンスの持ち主だということはわかっていただいたと思いますが、「良いパス出すだけで、MVPになれるの?」と疑問に思われるかもしれません。
安心してください、彼は得点力、リバウンド力もしっかりあります。
2020年〜2021年シーズン、ヨキッチのシーズン平均スタッツは以下の通りです。
・26.4得点 (11位タイ)
・8.3アシスト(7位)
・10.8リバウンド(10位)
得点、リバウンド、アシスト全てNBAのトップ11に入っている超バランスの取れた選手です。
そして何より、チームの勝利に貢献しています。
ヨキッチが入団してからのナゲッツのレギュラーシーズン勝率を見てみましょう
シーズン チーム勝率
2014~2015年 .366
ーーヨキッチ入団ーー
2015~2016年 .402
2016~2017年* .488
*(12月15日、シーズンの途中でスタメンに抜擢後、チームの勝率は31勝24敗で .564に上昇)
2017~2018年 .561
2018~2019年 .659
2019~2020年 .630
2020~2021年 .653
バランスが取れている選手で、ずば抜けたパスセンスから繰り出されるオフェンスの要として活躍し、チームの勝利に確実に貢献しています。
まとめ⛹🏼♂️
運動神経はそれほどないものの、リーグトップのパスセンスとビジョンで、センターでは珍しくチームのオフェンスの要として活躍している選手です。
ヨキッチがスタメンになってから、彼が所属しているデンバー・ナゲッツは常にリーグトップのオフェンスを維持しています。
得点をとって、リバウンドをとるのはセンターとして当たり前とされているものの、ヨキッチのレベルで得点とリバウンドをとれるセンターはリーグでは片手に入るほどです(2020~2021年シーズンで、25得点以上と10リバウンド以上を平均したのはヨキッチを含み3選手です)。
そこにNBAトップのパス力を追加すると、MVPを受賞したのも納得の選手です。
来シーズンからは、「MVP」という最優秀選手の肩書を持ってのプレイとなるので、更に注目とプレッシャーがかかりますが、その中どう引き続き活躍していくかが見所です!