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幸せな結婚は「ポジ5ネガ1」
個人(ポジ3:ネガ1)⇐ロサダ比
人間が幸福を感じるのは、「ポジティブな感情とネガティブな感情の比が2.9013のバランスにある」と論文を発表。「ポジティブが3倍あれば幸せになれる」とロサダ比(Losada line)として世間を賑わせた。
(Fredrickson & Losada, 2005)
ロサダ比の論文詳細
【主なテーマ】
・ポジティブな感情が個人の精神的な繁栄(flourishing)に与える影響
・ポジティブ・ネガティブ比(P/N比)がどのように人の心理状態を左右するか
精神的な繁栄(Flourishing) とは、心理学者 Corey Keyes(2002)によって提唱された概念で、「人が精神的・社会的・感情的に充実し、ポジティブな状態にあること」を指す。単に病気がない状態(well-being)ではなく、「人生がうまくいっている」「充実している」と実感できる状態 を意味する。
【対象】
2つのサンプル(大学生)を用いた実験(計188人)
【方法】
28日間にわたり毎日ポジティブ・ネガティブな感情を記録し、精神的繁栄(flourishing)を11の心理・社会的機能の指標で評価
【結果】
・ポジティブな感情が多いほど精神的繁栄が高い
・P/N比が約2.9を超えると、人は精神的に繁栄する
・ロサダの数理モデル(1999)を適用し、3.0以上のP/N比が人間のポジティブな成長を促進すると主張
※ この数理モデルは否定され、本人も認めている。
結婚(ポジ5:ネガ1)
ワシントン大学のジョン・ゴットマンさんによると円満なカップルは
「ポジ5:ネガ1」。離婚したカップルは「ポジ0.77:ネガ1」だったそう。ちなみに、ゴットマンさんは、関係性を壊す要因を4つ挙げている。
・批判
・軽蔑
・自己防衛
・無視
Gottman JM. What predicts divorce? The relationship between marital processes and marital outcomes. Hillsdale, NJ: Erlbaum; 1994.
仕事(ポジ5.6:ネガ1)
ロサダ比の研究論文(2005)とは別で、ロサダさんが60のビジネスチームを対象に実験して、ポジティブな発言の比率からどれだけ業績が高いかを研究したもので、ロサダ比の発端となっている。
【研究結果】
P/N比 ≈ 2.9 を境に、チームのパフォーマンスが変化
高業績チームは P/N比が 5.6:1、低業績チームは 0.36:1
P/N比が高すぎても(過剰な楽観)、パフォーマンスが低下する
Losada M. The complex dynamics of high performance teams. Mathematical and Computer Modelling. 1999;30(9–10):179–192
関連:作業チームとLosada line
結論、まとめ
幸せは成功に先行する。
これは、ショーン・エイカー著の「幸福優位7つの法則」に書かれていた言葉だ。これはポジティブ心理学におけるコペルニクス的転回のひとつで、要するに「成功するから幸せなのではなく、幸せだから成功する」ということだ。何か達成したい目標があるならば、まずはポジティブな言葉を日常から増やすことを意識しよう。
そして、どうしてもネガティブな言葉を1言いたいならば、ポジティブな言葉を3~6は言おう。