フリーランスコンサルタント急増中!市場動向とその実態を徹底解説
1. フリーランスコンサルタントとは
フリーランスコンサルタントとは、特定の企業や組織に所属せず、業務委託契約を通じて自身の専門知識やスキルを提供し、報酬を得るコンサルタントのことである。この働き方が注目される背景には、ビジネス環境の変化や働き方の多様化がある。企業側はプロジェクト単位で専門性の高い人材を求める一方、コンサルタント自身も柔軟な働き方や報酬面でのメリットを享受できるようになってきた。
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2. コンサルティング業界の市場規模と成長要因
2.1 国内コンサルティング市場の規模と推移
国内のコンサルティング市場は、2019年から2024年までの年間平均成長率(CAGR)4.0%で成長し、2024年には市場規模が1兆円に達すると予測されている(IDC Japan, 2020年)。2018年の市場規模は前年比6.4%増の7,659億円であり、特にビジネスコンサルティング市場は初めて4,000億円を突破し、前年比7.8%増の4,227億円を記録した。
2.2 成長を支えるDX需要の高まり
この成長の主因は、デジタルトランスフォーメーション(DX)に対する需要の高まりである。DX関連コンサルティング市場は2018年に前年比40.5%増の709億円となり、2018年から2023年までのCAGRは29.3%で、2023年には2,568億円に達すると予測されている(IDC Japan, 2020年)。企業は新たな事業モデルや生産性向上のためにデジタル技術の活用を進めており、その支援を行うコンサルティングサービスへの需要が急増している。
3. フリーランスコンサルタント増加の要因と市場の変化
3.1 フリーランス案件の急増と求人倍率
2023年6月のデータによると、「コンサル」フリーランス案件数は前年同月比で728%増加している(レバテックフリーランス, 2023年)。一方、正社員のコンサルタント求人倍率は52倍に達し、需要に対して人材供給が追いついていない状況である。フリーランス案件希望者数も前年同月比で7.6倍と急増しており、案件倍率は1.3倍となっている。
3.2 コンサルティングファームの人材不足と外部委託の拡大
コンサルティングファームでは、DXプロジェクトの増加に伴い人材不足が深刻化している。2018年頃までは外部委託の活用は限定的であったが、2020年頃からデロイトトーマツなどの大手ファームがフリーランスコンサルタントとのアライアンスを強化し、業務を委託する動きが加速している(。これにより、フリーランスコンサルタントの需要が高まっている。
3.3 独立のハードル低下と働き方の多様化
フリーランスコンサルタントの増加には、独立のハードルが下がったことも影響している。高単価な案件が豊富に存在し、「月収150万円」や「月収200万円」といった報酬を得ることが可能である。これにより、「短期間で資金を貯めて独立の資金にする」「自分の目的に合わせた働き方を選ぶ」といった選択肢が現実的になった。
4. フリーランスコンサルタントの働き方
4.1 報酬体系と平均年収
フリーランスコンサルタントの報酬体系は主に以下の3つである
①稼働時間制
②プロジェクト制
③定額契約制
具体的な報酬額は、ITコンサルタントの場合、月額50万~180万円、平均すると100万~150万円の報酬が提示されている。年間で換算すると、1,200万~1,800万円の収入が見込まれる。これは企業所属時の年収と比較して2倍以上になるケースもある。
4.2 働き方の実態とワークライフバランス
フリーランスコンサルタントは稼働率や勤務場所を自ら選択できるため、ワークライフバランスの充実が可能である。リモートワークや週2~3日の稼働といった柔軟な働き方も増えており、家族との時間や自己啓発の時間を確保しやすい。
4.3 フリーランスコンサルタントになるための必要なスキルと経験
成功するためには、コンサルタントとしての実務経験や専門的な知識が不可欠である。特に、経営戦略、財務分析、DX関連の知見が求められる。また、営業力やネットワーキング能力も重要であり、自己ブランディングを行うことで案件獲得につなげる必要がある。
4.4 メリットとデメリット
メリットとしては、①高収入の実現、②働き方の自由度、③パフォーマンス次第で報酬が上がることが挙げられる。一方、デメリットとしては、①常にスキルアップが求められること、②不景気時には契約が打ち切られるリスクがあること、③案件獲得のための営業活動が必要になることがある。
5. フリーランスコンサルタント市場の今後の展望
5.1 市場の拡大予測と海外事例
海外ではフリーランスコンサルタントの活用が進んでおり、米国では全労働人口の約30%がフリーランスであるのに対し、日本では約7%に留まっている。今後、ハイクラス人材の独立が増えることで、日本でもフリーランス市場が拡大すると予測されている。
5.2 案件紹介サービスの動向と競争
国内には51のフリーランスコンサルタント向け案件紹介サービスが存在し、競争が激化している。市場の成熟に伴い、サービスの統廃合や海外サービスとの提携が進む可能性がある。また、大手企業による買収や提携も予想される。
5.3 信頼性確保と品質管理の課題
フリーランスコンサルタントの増加に伴い、品質管理や信頼性の確保が課題となっている。企業側はフリーランスに対して品質保証を懸念するケースがあり、コンサルタント個人の評価やレビューが重要となる。海外では既にレビューシステムが導入されており、日本でも同様の仕組みが求められる。
まとめ
フリーランスコンサルタントの急増は、業界の成長と働き方の多様化が背景にある。
高報酬や柔軟な働き方が可能であり、企業側も専門人材を活用できるメリットがある。
市場拡大とともに、品質管理や信頼性確保などの課題への対応が求められる。