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20代の若手ビジネスパーソンが身につけるべき思考法:具体と抽象と転用


20代ビジネスパーソンにとっての「具体・抽象・転用」の定義

20代は社会人としての基盤を築く重要な時期であり、多くの若手ビジネスパーソンが「いかに成長し、結果を出していくか」を模索している。そうした中で鍵となるのが、具体思考・抽象思考・転用思考の3つをバランスよく使いこなすことだ。

まず具体思考とは、ものごとを明確な形や数字、事例に落とし込み、誰が見てもわかる状態にすることを指す。たとえば、売上目標を立てる際に「2025年12月までに、取扱商品Aの売上を前年比20%増にする」など数値と期間を明確に設定することが具体思考の一例だ。

一方で、抽象思考とは、複数の情報や事例から共通点や本質を抜き出し、新たな法則や視点を獲得する力のことをいう。「なぜ古風な新商品がSNSでバズったのか?」を分析し、「伝統的な要素に現代的なアレンジを加えると、若年層に受け入れられる」という一般化された法則を見つけるのが抽象思考である。

そして転用とは、抽象化で見つけた法則や知見を別のケースや領域に応用するプロセスを意味する。たとえば、「和と洋の融合」がカフェ業態でも生かせるのではないかと考え、新メニューや新規サービスを企画する、といった具合である。20代のうちからこれら三つを使いこなせるようになると、仕事の成果のみならず、キャリア全体の成長速度を高められるだろう

参考図書

具体的思考力を高めるための実践アプローチ

具体的思考力を鍛える最初のステップとして、5W3H(When・Where・Who・What・Why・How・How Many・How Much)というフレームワークが有効だ。たとえば「いつから取り組むのか(When)」「どこの顧客層を狙うのか(Where)」「誰が担当するのか(Who)」「どの課題を解決するか(What)」「なぜその課題が重要か(Why)」「どのように実施するのか(How)」「どれくらいの規模で行うのか(How Many)」「いくらまで予算をかけられるのか(How Much)」を整理するだけでも、タスクの抜け漏れが激減する。世界的なプロジェクト管理協会であるPMI(Project Management Institute)の調査(2022年)によれば、事前に5W3Hを明確化したプロジェクトは、そうでないプロジェクトと比べて成功率が平均17%高かったとのデータもある。

さらに、ロジカルシンキングを加えれば一層強固になる。演繹法(一般論→個別事例)、帰納法(複数事例→一般論)、アブダクション(少ない情報から仮説を立てる)などを意識して、相手に「◯◯だから△△」と筋道を明示すれば、説得力のある資料や提案が生み出しやすい

抽象的思考力の鍛え方とメリット

抽象思考は、一見すると遠回りに感じるかもしれない。しかし、実は「仕事の要領をつかむ」うえで欠かせないスキルである。たとえば、同じような失敗が続いたとき、その本質を抽出できる人は、根本的なパターンを把握して再発を防ぎやすい。逆に、ひとつひとつの現象を個別案件として処理していると、なかなか問題が解決しないまま同じ轍を踏み続けてしまう

この抽象思考を鍛えるには、情報の仕分けとピラミッド構造の活用が有効である。具体的なデータや事例をいったん並べ、共通点を洗い出す。そして、それらがどのように上位概念にまとめられるかを考えるのだ。図解思考を使いながらMECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)の視点で整理すれば、どの情報が重複しており、どこに抜け漏れがあるかがわかる

具体と抽象を行き来する思考が成果に直結する理由

具体と抽象の行き来をスムーズに行う代表的なフレームが「Why・What・How」での自問自答である。Whyを使うと「なぜこの戦略が必要なのか?」という抽象度の高い問いになり、WhatやHowを使えば「具体的に何をどう実施するのか?」という現場レベルの視点に切り替えられる

現場の問題解決から経営戦略の立案まで、この行き来ができる20代社員は、企業にとっても非常に貴重な存在となる。なぜなら、課題を発見し解決策を提案するまでのスピードが速いからだ。アクセンチュアが2023年に発表した報告書では、「具体と抽象を往復するスキルを持った中堅・若手がいるチームは、問題解決のリードタイムを平均25%短縮できる」と示されている。PDCAを速いペースで回す企業ほど変化の激しい時代に対応しやすくなるのは明らかだ。

転用がもたらすキャリアアップの可能性

転用は、抽象化で見つけた知見や成功パターンを別の領域に応用する行為である。たとえば、若手時代に身につけたデータ分析やプロジェクト管理手法を、まったく異なる事業部や別の組織で活かすことができる。転用力が高い人材は、社内でも「新規プロジェクトを任せたい」「他部署との橋渡し役になってほしい」と重宝される傾向がある。実績を20代のうちから積み重ねていけば、将来的なキャリアアップだけでなく、起業や新規事業立ち上げのチャンスも格段に増えるだろう。

  • 具体と抽象を往復できると、現場改善から戦略立案までスピード感が段違いになる

  • 転用力は20代のキャリアを大きく広げる強力な武器となる

  • 失敗事例や成功事例を問わず、本質を抽出し転用する習慣がイノベーションを生む

まとめ

20代の若手ビジネスパーソンにとって、具体思考と抽象思考、そして転用思考の三つはキャリア形成と成果創出の鍵である。具体的に考えることでミスや抜け漏れを防ぎ、抽象的に考えることでより本質的な課題を把握できる。そして、その本質から得た知見を転用すれば、別の業務や新たな市場を開拓する際に大きなアドバンテージとなる。これらを意識的に使いこなすことで、短期的にも長期的にも、自身の成長とビジネスの結果につなげることが可能だ。


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びじほー
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