いとおかし、いとおかし13 制作過程3
説教の復元、上書き
さて、考証してきたように、栗原東随舎の残した『古今雑話思出双紙』、にある「茶碗屋敷」の話は、講釈として語られていたと推測しました。
「正直」をキーワードとした「はらごもり」の阿弥陀仏から出たお金のやりとりを、真宗説教が先か心学講義が先かは不明ですが、きりとった。
「道徳倫理」を示す実話とではなく、して話す、という心学の立ち位置から残ったアーカイブは、聞き手読み手としての真宗僧侶が、「仏法因縁」の匂いを感じとっても不思議ではありません。
現行、講談の「細川茶碗屋敷の由来」は、アーカイブとしては落語に比べれば新しいのですが、講釈ネタとしての継承が結構なされていると思われます。設定やstoryが、「東随舎←講釈」と流れをさかのぼれるからです。
芸州広島と肥後熊本
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