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言葉で繋ぐライブの原点
雑誌名は全く憶えていないのですが、音楽評論家の富澤一誠さんの「ニューミュージック紳士録」という雑誌のコーナーの切り抜きがありました。1986年の頃のものだと思います。ゲストが根本要さん。
読んだはずなのにすっかり忘れていたというか、全く覚えていなかったのですが、現在のライブの原点なのかなと思うエピソードが載っていました。
突然のライブハウスの代役
とあるミュージシャンが病気になったため、ライブハウスにスターダストレビューが緊急に出演することになったそうです。
突然だったのでお客さんにとっては、お目当てのアーティストさんではなく違うアーティストが出てきたので、ブーイングどころかお酒ばかり飲んで全く耳をかそうとしなかったそうです。
「プロなんだから」とはらわたが煮えくりかえりそうになりながらも第一部の演奏を終えて、要さんは「どうもありがとう」とは言ったものの、それだけではダメだと思い
「お前らがそういう態度をとるんだったら、俺泣いちゃうよ。帰っちゃうよ」
と延々30分しゃべり続けたそうです。
そうするとお客さんが一人また一人、ステージの方を振り向くようになり
「第二部も一部と同じような態度だったら、俺本当に泣くからね」
そして第二部へ。
するとさっきと同じ客かと思うほど、拍手で迎え入れられたそう。
そこで要さんは思うのです。
「よく音楽とは言葉より強いって言いますけどね、僕は違った。話してみて初めて分かり合えると思うんです」
まあ、要さんは、もともと宗教とか新聞の勧誘も家に上げて話し込んじゃうような方なんですけど、話すことの意味をこのとき感じたのかな、と。
ライブで話す時間が長いのはその経験が生き続けているのかなぁ。
それにしても「泣いちゃうよ」って。
かわいすぎ!!
この頃の要さんは
「僕のバンド内での役目はね。リードボーカルを少し歌って、ギター弾いて、あとは司会ですね」
ってよく言ってました。
そして、歌にはあまり自信がないような発言も多かったように記憶してます。
あんなに上手いのにな、って思ってました。
最近は「歌はまだまだ上手くなりたい。まだまだ上手くなれる」といわれていて、デビューして40年以上になるのに、向上心が続くってすごいし、それを実践されているのもすごいです。
個人的には40代の要さんの声が好きですけど、歌は、偉そうにいっちゃいますけど、この10年でぐぐぐっっと上手くなっていると感じてます。
そして、まだまだ上手くなりそうですので、どんどん楽しみが増えますね。
そういえば、先ほどのインタビュー記事の最後で
「いつも満足しているんです。でも僕らはまだ頂点を極めていないでしょ。レコードだってそんなに売れてないんですから。
だからいいんです。まだまだ上を望める位置にいたいなと思うんです。
どうせ一回しかない人生ですからね。最後にはでっかい満足をしまくって終わりたい!」
「でっかい満足」にむかって、80年代から今も努力され続けているのでしょう。
ますますライブに行くのが楽しみになります。
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