RTAinJapan2021(冬)に参加して
それは一通のDMだった。
リロイングマンさんからRTARacingというサイトで「メタルマックスリターンズ」の4人並走を行うため解説をしてほしいという依頼だった。
メタルマックス・・・?
RPGに疎い私には戦車のゲームくらいし知らず、未知のジャンルでしかも並走を解説できるのかという不安があった。メタルスラッグと間違えて引き受けたのでは?
しかしリロイさんも経験の糧にでもとありがたい言葉に、並走される走者の皆さんもとても丁寧な人たちだったので引き受けることに。
とりあえずソフトと攻略本全種類をその日のうちに購入
届くまでそのゲームについて下調べ。
届いたらテストプレイして、攻略本を熟読。
イメージが付いたらシリーズ総合サイトなどを探して歴史や世界観を知っておく。
一通り終えたらRTAテクニックを実際に自分の動きに導入。
走者のチャートやアルゴリズムを把握。
実際にRTAを行う。わからないところはその都度質問。
こうして台本のイメージが固まったら原稿を執筆。
プロトタイプとなる動画を作り、走者に見てもらい意見をもらう。
改善と修正を繰り返す。今後の台本もこの流れとなる。
そして本番へ・・・
1時間を切れるかが最大の見どころで、ヤカンさんが唯一1時間を切る劇的なラストで終わった。
RTAinJapan2021(冬)のスケジュールが発表される。
激戦区の中、魔界村駅伝リレーが見事当選し、魔界村民全員で大歓喜。
そして・・・
のりしげさんの「セーラームーンR」とLKさんの「迦楼羅王」も当選しており、お二人から解説の依頼が来る。
こうして3本計6作品の解説をするという前代未聞の事態に!
中でも迦楼羅王だけは完全新規で挑むという形だった。
そして迦楼羅王のテストプレイもレアソフトのためなかなか見つからない。あったとしてもかなり高額という状況だった。
さらに資料も知名度の関係上、当時の雑誌を探すのが非常に困難で、最初から躓くことに。
その中でもデーターベースから当時の何の雑誌の何号に載っていたかできる限り調べる。
しかし!
当然ながら25年近く前の雑誌なので都合よくその雑誌とその号が売っているなんてことはない。むしろ一冊も見つからなかった。
そこでワラをもすがる思いで以前、すないぬさんが解説時に資料がなくて困っていた時にナポリたんさんに資料集めを依頼したことがあったため、ダメもとで困っていることを伝える。
するとその日の夜に資料がジャンジャン届く!しかも私が調べ上げた出典以外のところからもポンポン資料が!
そのため一番時間がかかる資料調達が一日で終了したため、迦楼羅王のソフトが届くまでアマゾンプライムに入りインド神話関連の本を熟読し、世界観を把握しておく。
そして迦楼羅王のソフトが無事届き、正式に解説を引き受ける。
RTAinJapanのスケジュールが発表される。
30日20時半 セーラームーンR
31日1時半 迦楼羅王
31日7時15分 魔界村駅伝リレー
・・・
・・・・・・
え?いつ寝るのこれ?
結構詰め詰めのスケジュールに驚き、それに伴って台本も仕上げていかなければならない。
11月の後半までには取り掛からないと間に合わないので、12月のシフトを確認してどの仕事をどこまで終わらせるか大体の仕事スケジュールを決める。
12月上旬までにはどの作品も一度は打ち合わせをして台本の流れも確認。
中旬から下旬にかけて修正・改善しつつ最終打ち合わせをする。作業量の多さに大丈夫か不安だったが、正直これはぎりぎり何とかなると思った。
①セーラームーンRはレイドRTAの時の原稿が残っているのでそれをほぼ流用できる点。
②魔界村に関しては大体わかっているのと、資料が手元にあること、テクニックははるまさんに任せられるので実質負担は半分近く軽減されること。
③迦楼羅王に関しては資料集めが済んでおり、仕事の休憩時間や夜勤の合間にインド神話の勉強をして構想は決まってきた。
①セーラームーンR
レイドRTAの時の原稿をもとに今ののりしげさんの動きを確認
・・・
タイミングが全然合わない!?
この時は当時よりも1~2分タイムを更新しているため、所々チャートが変わり、原稿を削らなければならなかった。しかも新チャートが1面から追加していたため、それを入れると内容が前後することもあり、修正に頭を悩ませた。
それでもプロトタイプの動画を完成させ、見てもらう。
そして注目ポイントや追加してほしい点など意見をもらい、改善していくいつもの流れで完成。
そして最後の打ち合わせの時に「アカギネタを入れたいんですよねえ・・・」といきなりチャート変更w
どこに入れるか、どういう内容にするか
まさかの最後にハードルの高い掛け合いの追加。
②迦楼羅王
資料集め、インド神話、テストプレイと入念な準備を行い一から台本を作る。その際にLKさんからいくつか依頼された点があり、それを踏まえて作ることに。
依頼されたのは「マイクは解説のみ」「茶番なし」「宣伝なし」「終わったら簡潔に終了」
以上を踏まえてプロトタイプの動画を作成。
様々なゲームネタやインド神話ネタを入れて見てもらう。
この時の動画でほぼ完成でほとんど修正はなかった。
③魔界村駅伝リレー
実質これが一番大変。なんといっても4本分で2時間半近くの台本を作らなければならなかったからだ。
しかし全部私が作るわけではありません。はるまさんが作品ごとのテクニックをまとめてくれ、その資料を参考に各作品の1周目の原稿を作る。
ここで難しかったのが2人解説という点。当初は作品数を半々でやるかという意見もあったが、これはできればしたくなかった。なぜなら解説を比較され、中傷などが懸念されたからだ。二人で最後まで責任を背負っていきたかった。
2周目のネタもかなり難しい。なぜ2周目は雑談にしたかというと、見ている方としては基本的に同じことの繰り返しなので、「1周見たらもういいや」と視聴者が離れるのを防がなくてはいけない。そのため2周目の方がむしろ面白くなければならないというハードルがあった。
これには試行錯誤の繰り返し。このネタの方が良いか、このネタだと尺が余る、足りない、場面に合わない、合ったとしても尺が・・・そもそも視聴者はこのネタが本当に面白いと思うのか?など挙げればきりがないくらい問題が山積みだった。
この時期は病棟もコロナで停止していた仕事を再開させるかということで慌ただしく、毎日がクタクタで夜勤明けと休日しかまともな時間が使えず、仕事の休憩時間を使ってひたすら原稿を書いていた(迦楼羅王の台本が終わったので魔界雑談ネタを一つ考えて文章にまとめるといった感じ)。そうしないと間に合わないくらい切羽詰まっていた。
原稿が終わると動画を作って走者やはるまさんに評価してもらい、出た意見に対して改善の繰り返し。
ここで勘違いしてはいけないことが、視聴者は本番に始めて見る立場なので、始めて見た人の意見が圧倒的に正しいという事。参加者が納得できない出来では視聴者は絶対に楽しめない。台本自体がいらないと言われてもそれが正しいのである。それが嫌なら初めから台本を作ることも披露することもしなければいいだけの話である。現時点で最善の台本ではなく最高の台本を作らなければ意味がない。悔いが残るようならば走者に申し訳が立たないし、何より自分自身が納得できない。
そんなこんなで最終的に完成したのは12月30日。そう、もうセーラームーンRの本番前である。
12月30日。20時頃からいよいよ本番。そこから朝9時近くまでぶっ通しなので夜まで寝ておかなくては・・・
zzz・・・zzz・・・
ガバッ!
眠りが浅い・・・まだ14時!?
結局寝られずレッドブルを飲んで今後に備える(※本番直前に飲むとゲップが出るので1時間前までには飲んでおくこと!)
セーラームーンの読み合わせを一人で行って待機することに。
そして時間になりのりしげさんとディスコードで本番前に一緒に待機。あの~ワイズさん。これなんですけど、こうしたいと思っているんですよね
これは最初の登場シーンのことで、本番数分前に変更することにw
当初は「それではのりしげさん願いします」→「おまたせ」の流れだった。
本番「あれ?のしりげさんがいない?」→「おまたせ」の流れに。
急遽の変更だったが好評で一安心。お互い本番で結構ミスったところもあったけど自分たちでもびっくりするくらい自然に補えており、話すタイミングが全く重ならないかったことがもはや奇跡レベル。
セーラームーンR (Youtube)
セーラームーンR (Twitch)
終わって二人で見返して余韻に浸る間もなく残り時間で迦楼羅王の読み合わせ練習。
画面の文字がぼやけるほど目が疲れていたので蒸しタオルで温める。
これで失敗したらどうしよう・・・走者に申し訳が立たない・・・
タオルを目に当てながら横になり、ずっとそんなことが頭の中で繰り返される。
そして巻き進行だったため1時間ほど速く迦楼羅王の出番に。
LKさんと待機に入ると、LKさんが気を遣ってめっちゃ励ましてくれる。さらに魔界村駅伝のためにワイプを使って宣伝してくれるとのことでうれしい情報が。
本番もミスったところも自然にカバーできていたので満足。とにかく視聴者が不安にならないよう落ち着いてネタを入れてその場をつなげた。
最大の難関ポイントのラスボスも超難易度の割にゴリ押しという絵面的にすごい地味な展開なのでここをどう盛り上げるかが解説の最大の難所だった。
そのためここを「見ているだけなら地味」「やっている方としては大変」という点を踏まえ、視聴者ではなく参加者にさせるという作戦で解説をした。そしてLKさんの一発成功で誰よりも私が大喜び!こうして事なきを得た。
2人で振り返って確認し、LKさんからエールを頂き再び台本チェックと読み合わせ。
間に数回蒸しタオルを目に当ててもう一回レッドブルを飲んで備える。
そして再び巻き進行だったので1時間以上早い出番に。
ここで困ったのが走者と解説も含めると7人もの参加者がいて、スケジュールがこんなに早まった場合、そろわないのでは?という懸念。
実際に予定の1時間半前に待ち合わせしていたはるまさんとも時間的にはギリギリという事態で、走者の人も本当に起きてすぐに招集と言った感じだった。
そして画面調整にも人数が多いためどうしても時間がかかり、ギリギリのスケジュールどころか、もう前のスペランカーは終わっているという事態。始まる前から緊張がピークに。
いつまで経っても始まらない・・・画面切り替わりの指示が来ない・・・
もうガクガクで緊張がやばかった。むしろ画面が切り替わった時に安心するといういつもとは逆のパターンに。
そしてもう最後!徹夜だったので深夜テンションで思いっきり解説しちゃえ!といつも以上に原稿を読まずに話している場面が多かった(リスナーからも普段とは違って感情がむき出しでビックリしたという意見もw)。人間味があったという意見もあったけど私は普段ないのか・・・?w
そして無事終えてインタビュー。と思ったら運営から「キリの良いところで切り上げてください」と催促のメッセージ。
まずい!ESTオーバーしたか?とここはかなり焦った。しかし実際にはかなり巻いていたようで終わって一安心。もう放心状態でその後のことはよく覚えていません。しかしその後の反響を見ると大成功だったと言える。走者からも視聴者からも多くのお礼を頂き、苦労は・・・報われた・・・
魔界村駅伝リレー(Youtube)
魔界村駅伝リレー(Twitch)
2021年最後に最高の思い出をありがとう!
例え顔も名前も知らなくとも、オンラインでも思いは伝わる。
「ゲームは世界を繋ぎ、そして世界を広げる」それが最大の魅力ではないかと私は思う。