あなたがParadox5を手に取って欲しい5つの理由
リドラの謎解きライブ開催の少し前、とある日。
私は同僚の角谷(どや)に呼び出された。
Paradox5のデバッグだ。Paradox5に用いる映像コンテンツを作るためだった。
そのデバッグを終えた夜。
私は、衝動に任せてさまざまな人にLINEを送った。
Paradox5は、とんでもないコンテンツだった。
そのことを、みなさまに伝えたくてしょうがない。
この文章は、RIDDLER社員の石橋研太としてではなく、
謎解きの沼に浸かって6年になる謎解きファンの一隅として書いている。
このド忙しいライブイベント前日に文章を書いているのか。
ただただ、Paradox5が1つでも多く、皆様のもとへ届いて欲しいからである。
Paradox5とは……?
Paradox5は、RIDDLERから出る新作の謎解きグッズである。
前作ALPHABETZで満足度No.1の大反響をいただいた角谷進之介(どや)の新作だ。
現在はRIDDLER NAZO SHOPで購入することができる。ただ、定期的に品切れになっているのでご注意を。入荷などの動向はRIDDLERの公式XやLINEをチェックして欲しい。
……というのが、Paradox5の客観的なデータである。
私が観測したParadox5というものの正体を、5つの観点から紹介する。
Paradox5とは、異常である
今までいくつかの謎解きグッズを作ってきたし、数多くの謎解きグッズを解き明かしてきた。
それなりに私は謎解きグッズに触れていると思うが、その中でParadox5は常軌を逸脱している。
まず、量がおかしい。
5つの持ち帰りがあると、Paradox5は告知されている。
そこでいくらかの人は、1つ1つの封筒はライトであっさりなんじゃないか、と思ったかもしれない。
とんでもない。
1つ1つの封筒がフルコースのような満足度だ。
なんならとある封筒に関しては、骨太すぎて1時間以上かかっている。
具体的な数字を1つだけ紹介しよう。
LINE用にデザイナーが制作した画像の枚数が、総計で100枚以上ある。
これだけでも、Paradox5のボリュームが伺えるだろう。
これを一人の人間が創り上げている。それは異常としか言いようがない。
そして、完成度がおかしい。
これだけの量の謎を、一切の妥協なく仕上げている。
本当に、1つ1つの封筒がフルコースのような満足度なのだ。
量だけでなく、味に関しても。
これを一人の人間が創り上げている。やはり異常としか言いようがない。
そして、構成がおかしい。
これに関してはネタバレに足を踏み入れてしまうので、抽象的に語る。
最後に待ち受けているものは、異様なほどの衝撃と深淵だ。
私はここで『世界に対して新たな眼が開いた』ような感動を覚えた。
この感覚が好きだから謎解きにハマっているのだ━━ということを思い出して、思わず涙したものである。
Paradox5とは、熱量である
角谷のコンテンツは何故かくも異常なクオリティなのか。
それは、角谷がどれだけギリギリでも妥協を許さない、ゆるぎない謎解きへの熱量があるからだろう。私はそう考える。
これほどの量・完成度・構成を形にするには、どうしても途中で疲れが出る。しかし、そこで謎への審美眼が落ちないのが角谷の凄いところだ。
Paradox5の謎の中に、単調さによる退屈さは一切ない。
だから、膨大な謎を飽きずに浴びることができる。
Paradox5は味がとても濃いため、正直味が合わない人もいるだろうな、とは感じている。
しかし、このうなるような熱量は、全ての人がぐわりと浴びて楽しむことができるだろう。そういう意味でも、多くの人におすすめできるコンテンツだ。
Paradox5とは、芸術である
Paradox5には、凄まじさだけでなく美しさも内包されている。
制作者ならわかると思うが、この2つを両立させるのはとても根気のいることだ。
Paradox5の最後の瞬間、『世界はParadox5のためにあったんじゃないか』と倒錯してしまうほどの、美しさの衝撃を浴びることになるだろう。
そして、美しさといえば、言及しなければならないものがある。
見た目の美しさ、「デザイン」のことである。
Paradox5のデザインは、なぞのデザイナーが行っている。
アツすぎるクリエイティブは、さらなるクリエイティブに連鎖する。
要するに、「スゲエもんと一緒に仕事できるとテンションブチ上がるよね」ってことだ。
なぞのデザイナーがParadox5で、何をやったか。
5種類の封筒とその中身、全て、テイストが違う。雰囲気が違う。細部のあしらいまでが違う。
分かる人に伝わる表現をすると、「トンマナ」を、5つ作っている。
……1人のデザイナーが、である。
『異常』な『熱量』が、ここにも伝播している。
Paradox5とは、特異点である
Paradox5は、その異常性と芸術性から、何かしらの転換を生じうると私は推測している。
ミステリーで言うところの、島田荘司「占星術殺人事件」であり、綾辻行人「十角館の殺人」である。
SFで言うところのジェイムズ P.ホーガン「星を継ぐもの」であり、伊藤計劃「ハーモニー <harmony/> 」である。
例えがニッチですまないが、みなさんの好きな趣味・コンテンツが、大きくゴロッと様相を変えた瞬間の作品を思い浮かべて欲しい。それである。
Paradox5は、そういう作品である。
私のことをよく知る人にだけ伝わる表現をしよう。
私の心の中には『ever17』『逆転裁判』『十三機兵防衛圏』が並んでいる棚がある。
要するに、「根源」と言えるような作品だけが入る棚だ。
その棚に、Paradox5は並んで収められるだろう。
Paradox5は、そういう作品である。
Paradox5とは、歴史である
この章は、物作りをする人に届けたい一節である。
この特異点を、1人の人物が謎を作ることで生み出した。
それはやはり、脈々と築かれた謎解きの歴史において、何かしらの流れが生まれるのではないか。
1人の熱心な天才が力を絞り尽くしたら、このような異常なものが出来上がる。
その結果が放り込まれたということは、意味が重いのではないだろうか。
我々は、これからParadox5がある世界で生きていかねばならない。
そのことを思うと、思わず震えてしまう。
私は家の仕事場の、一番目立つところに、Paradox5のキットであるとある紙を貼り付けている。
つまり、Paradox5をやっていない人間は、一隅家出禁である。
なんのためか?
Paradox5の特異点を、決して忘れないようにするためである。
「今私が作っているものは、Paradox5が存在する世界に相応しいものか?」ということを自省するためである。
謎解きを志す者、謎解きを愛する者には、是非ともこの歴史に触れて欲しい。私はそう願っている。
Paradox5を買わない理由について
Paradox5を買わない理由が「難易度」なら、それは仕方ない。
実際難しい。
私もノーヒントでクリアできてないくらいだ。
長ったらしい描写と記述に飽きて「占星術殺人事件」を読破できない人がいるように、Paradox5を楽しみきれない人もいるだろうというのが、素直な感想だ。
そういう人たちは、まずは「RIDDLER AT FIRST」とか、今回の新作なら「FLY HIGH!」などから謎解きの世界に入り、楽しみ、徐々に研鑽を積み、いずれParadox5へ戻ってきて欲しい。
その時までParadox5の在庫があってくれることを、私は祈っている。
Paradox5を買わない理由が「値段」なら。
頼む。
再度考えて、決断をして欲しい。
6000円(※)は、いわゆる『強気の価格』ではない、と私は感じている。
私はプレイ中に「ひえーー、全然6000円の価値あるよーーー、8000円でもいいよ〜〜これ〜〜〜」とぼやき、ラストの衝撃の後に「10000円だよこれは!!!」と叫んだ。
Paradox5がカンパ制だったら、私は「10000円」出す。
……というか、実際プレイ後に財布取り出してお金を渡そうとして、どやに「違う違う違う」って言われた。それで、金銭のやりとりの代わりに、作中の映像を丹精込めて作ることで報いました。
(※6000円はイベント会場価格です。とはいえ通販の7200円でも十分かなり安いと思いますよ私)
実際、学生にとってはきつい値段だろう。
しかし、もしあなたがモノをつくるぞ、という意志のある人間だった場合は、家にParadox5を置いておくべきだと思う。
それはあなたにとっての投資となるし、財産になると思う。
Paradox5は、そういうお金の使い方ができるコンテンツである。
もう一度、述べる。
Paradox5を買わない理由が「値段」なら。
頼む。
再度考えて、決断をして欲しい。