『ヴィランずっきゅん♡~あなたのハートを頂きます♡~』
こちらは偽島裏善様【@gishimaurayoshi】主催の声劇会向けに書き上げた作品となります。※使用の際の報告を必須とします。
◆登場人物◆
悪の魔王:♂
参謀:♂or♀
魔女:♀
勇者:♂
魔王:えー、ではこれより、本日の第178回打倒勇者会議を始める。
参謀:それでは皆様、お手元の資料をご覧くださ――ちょっと!魔王様何を なさってるんですか!
魔王:アッ、バレた?イベントが今日で終わりだから、ちょっとアイテム回収しておかないと……。
参謀:ソシャゲ走るんじゃありません!会議に集中してください!まったくそんなことだから毎回会議がだれるんです!
魔王:へーへー。でもさぁ参謀、お前が提出してくるアイディアも毎回似たようなもので、正直マンネリなんだよな。
参謀:な……!?
魔王:今回の資料の作戦だって要約すれば「強行突破」じゃねぇか。毎度同じ手をくらってたらそりゃ勇者だって慣れるに決まってるだろう。
参謀:ぐっ……。
魔王:あー、なんかこう奇抜な、それでいて勇者にクリティカルヒットする作戦、ないかなー。
魔女:――あのっ!
魔王:ん?魔女どうした。
魔女:私からその、提案があって……。
参謀:ほう?言ってごらんなさい。その作戦とやらを。
魔女:名付けて『ヴィランずっきゅん♡~あなたのハートを頂きます♡~』作戦です。
参謀:……はぁ?
魔女:勇者がこっちに敵意を向けているんなら、その敵意を恋心に変えてしまえば、こちらが攻撃されることもない……!勇者を惚れさせて戦力を奪っちゃおう!というそんな作戦です!
参謀:はっ!そんなマヌケな作戦、上手くいくはずが……。
魔王:ふっふっふ、勇者の戦意喪失を狙うとは、お主も悪よのう。
魔女:いえいえ、魔王様ほどでは。
参謀:えええ!?魔王様!こんな訳の分からない作戦でいいんですか!?
魔王:少なくともお前の強行突破よりは芸がある。
参謀:グサッ。
魔王:よろしい。して、誰が勇者とアオハルするのだ?
参謀:魔王様、なんか楽しんでません……?
勇者:ふう、やっと悪の魔王の居城までたどり着いた……。思えば長い旅だったな……。
魔女:……ふふふ、そうやって昔を想っていられるのも今のうちよ。
勇者:出たな!魔王の手先め!
参謀:魔女のやつ、普通に飛び出して行ってどうするんですか!完全に敵として立ちふさがって――。
魔女:これからは……私とあなたの未来を築いていくんだから!
勇者:へ!?な、何!?
魔王:おーっと、勇者の懐にダイレクトアタック!いきなりの「当ててんのよ」攻撃です。
参謀:魔王様……。しかし今まで鋼の意志でここまでやってきた勇者が、こんなことで折れるはずが――。
勇者:そ、そそそそそそれって、僕と結婚するって……こと……!?
参謀:ちょろいー!!!
魔女:そう。私あなたのことがずっと好きだったの。世界を守ろうとする姿、とってもかっこよかったわ。だから私と結婚して、一緒に家庭に入ってほしいの。
勇者:そ、そうなのかい……!?そんな君の想いに気づけなくて悪かった。――分かった。俺勇者やめて、君のために家庭に入るよ。
魔王:タイムにしておよそ3分、勇者陥落です!おめでとうございます!
参謀:そ、そんな馬鹿な……!う、うがあああ納得いかない!!こんなマヌケな作戦で陥落させられるぐらいなら、私が直接殺してやる!勇者、覚悟――!
魔女:勇者様、いきましょう!
勇者:ああ、いくぞ!
勇者&魔女:「ずっきゅん♡アオハルビーム!」
参謀:ぎゃあああああ!
魔王:無駄に飛び出して行って黒焦げになってくるでないわ。
参謀:うぎぃいい……悔しい……。
魔王:まぁ、またいつか我を倒そうという勇者はいつか現れる。その時にリベンジするのだな。――魔女よ、幸せになるのだぞ……。
参謀:!……魔王様、まさか、全て知っていて……?
魔王:さて、何のことやら。ほら、帰るぞ。
勇者:じゃ、じゃあ、初デートはどこがいい?
魔女:そうね、勇者様に選んでほしいわ。
勇者:じゃ、じゃあ――近くにさっき滅ぼした砦があるから、そこはどうかなっ?
魔王&参謀:センスがねぇええええ!!!
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