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高野山旅行(最終日)

皆様、こんにちは。
前回のお話はこちらです。

登場人物(登場順)

・・・関東在住。高野山は初めて

nonさん・・・10年前にネットで交流があり、私の安否を心配してくれていた。今回、旅行にお誘いした。関西在住

堯友さん・・・私と交際中の、高野山のお坊さん


最終日

朝9時、お土産を買いに行き、お部屋に戻って荷物をつくり・・・。

玄関に行きましたら、堯友さんの弟弟子に当たるお坊さんがいらっしゃいました。

私「堯友さんに勝てるような、堯友さんの、お寺での恥ずかしいエピソードないですか???」

弟弟子「それは・・・いっぱいあり過ぎて数えきれません!」

私(爆笑)

弟弟子「いやいや、うそです。恥ずかしいことなんか、ないんです。堯友さんは本当に尊敬できる人なんです。私は直接の弟弟子に当たるんですが、堯友さんは人格が素晴らしくって・・・いつも学ばせてもらっています」

私「・・・」

弟弟子「そうそう、5月になったら、ぜひまたいらしてください。お坊さんしか入れない修行の場所が公開されますから、堯友さんの修行時代の先生たちとも会えますし、いつもと違う堯友さんの姿が見れるのではないですか」

私「いいですね!ありがとうございます」

ここで堯友さんが合流し、我々はしばし歓談したのち、弟弟子さんが業務に戻られました。

堯友「気をつけてね」

私「握手でもする?」

堯友「何でやねん!

握手せずに別れ、ゴロゴロとスーツケースを引いて、バスに乗り。
標高の高いこの高野町高野山から、ふもとへ向かうケーブルカーが出発する、高野山駅まで到着しました。

改札を通り、ケーブルカーに乗り込むべく、急な斜面の階段を降りようと、階段の一番上でスーツケースの持ち手をぐっと握ったところ・・・。

これは、のちほど下から撮った写真ですが、右上の赤い囲みが、階段のいちばん上ですね。

何と、持ち手が取れました。

すると、持ち手が取れて私の手を離れたスーツケースが、階段を滑り降り、どんどん加速していき・・・下の方にいた、3名の外国人観光客一家が、避けて、柵に突き当たり・・・スーツケースは大破しました。

私は呆然としながら、割れた破片を拾い、先ほど避けてくれた外国人観光客も一緒に拾ってくれたので、お礼を言い・・・。

何事かと駅員さんがかけつけ、階段の上から「お怪我はないですか!!!」と声をかけてくれ、すぐにテープを持ってきて、「念のため貼りましょうか」と貼ってくれました。

これがですね・・・何度も何度も重ねて貼ってくれる姿に、何かもう、涙が止まらなくなってしまって・・・旅の終わりに悲しい気持ちで送り出すまい、という心意気を感じました。

私は「また来ます」と言い、とりあえずお礼を言ってケーブルカーに乗り込みました。

スーツケースは、4つあるタイヤのうち、2つが、完全に取れてしまっていました。あと2つあれば、何とか、和歌山の高野山から大阪までは、持つだろうか?そう思い・・・。

ケーブルカーの車内でもずっと泣いていて、私は鼻の病気があるので、泣くと鼻水の量が、人の数倍、出ますから、ティッシュで延々とかみつづけ・・・。

ふもとに着いたとき、特急券を買うべく窓口に並んだのですが・・・。

ここで、もう1つタイヤが割れていると判明。そして、駅員さんとは、お互い慌ててたのもあって、片面しか見てませんでしたが、スーツケースの裏側も、角がそれぞれ割れていたと気づきました。これは・・・大阪まで、持って行ける状態じゃありません。

手前のタイヤの接続するところが・・・割れている。

泣きながら堯友さんにメッセージを送り、「カバン貸してくれませんか?」とお願いし、車で着てもらえることに。とりあえず、一度改札を出てから、もう一度ケーブルカーに乗り込みました。

ひっくり返し、こっちも割れてるのか!と気づいて撮影。

駅員さんに伝えた「また来ます」が即、実現している・・・と思いつつ、ケーブルカーでふたたび標高800mまで登り、改札を出て堯友さんと合流しました。

ふたつ、旅行カバンを持ってきてくれており、どっちがいいかというので、とりあえず手前の方を指さし、駅の外で、我々はしゃがみこみました。

堯友さんが、その、大きいほうのカバンを開けて「入るかな、はい、ここに荷物移して」などと言うのでひとつひとつ、泣きながら入れていきました。

堯友さんは心配してこっちを見ているので、「泣いてしまってかわいそうに。ショックだったね、悲しいよねえ、よしよし」など言ってくれるだろうか?と思ったら・・・。

堯友「泣きやんで?

言葉のチョイスよ!!!いや、これが堯友さんの緊急時の精一杯なのは確かである!!!なんか、「泣く」+「止む」の、超具体的な言葉選びに、仕事の指示を出されたような気になって、一瞬ホントに涙が止まったんですけど、数秒したら当然またズルズルと鼻水出しながら泣き始めました。

標高の高い高野山の気温差に備えたダウンジャケットが半分くらいを閉めていたスーツケース。

荷物の移し替えは、すぐ終わったのでした。

私たちを団体の観光客たちが、心配そうに見ていましたが、私たちがバイバイと手を振っているのを見て、フリース+作務衣のお坊さんと一般の女の子がバイバイしてるものだから、これは、きょうだいか何かに見えたかなあと思いながら・・・相変わらず泣いて鼻水をかみながら、再び、ケーブルカーに乗り込みました。

私はこのとき、たまたまカバンの移し替え作業で出てきた、イベントチラシが目に入っていて・・・大阪駅から新幹線で直帰するつもりだったが、ええい、こりゃあ、今の気持ちじゃ帰れねえ!帰るルートと日程を変えて、そのイベントに寄ってやる!などと憤っていましたが・・・。

途中で一旦、乗り換えの駅で降り、ちっちゃな喫茶店で、おじいちゃんマスターにピザトーストを作ってもらって食べていたとき・・・冷静になりました。もう、元々の予定通り直帰しようと腹を決め・・・。

直帰ルートで、再び、電車に乗って揺られておりますと、懐かしい、5年前に住んでいた町にきたのです。

これは、降りよう!!!そうひらめきました。

降りて、堯友さんがお坊さんになるべく、願掛けしたお寺に来ました。我々は、出会っていませんでしたが、なぜか私の近所のお寺に、堯友さんが足を延ばしてやってきたお寺。

こちらで、ご祈祷の護摩木を書きまして・・・堯友さんは、おかげ様でお坊さんになれました。これからは、お寺を見つけて住職になりたいので、それにお力添えください・・・とお参りしました。

寺務所のおばちゃんに、そういう訳でお坊さんになれたんですよとお礼を言いまして・・・「ありがとうございます」と言ったらおばちゃんは、むっちゃ喜んでいました。

お寺から出たとき、住職の書いた看板が目に入り・・・。「ありがとうと言いましょう」という大きな看板が掲げてあったんです。

そしてこのお寺を出たら、近所にある彫師さんから折り返し連絡が入っており・・・。お寺に行く前に、お店を覗いたら、お客さんがいるようだったから、話せないかな?と思っていたけれど、5年ぶりに再会することができました!!!

たまたま、何となく買っていたお土産がひとつありましたから、それをヨナルテさんにあげました。

すると、彫師ヨナルテさんから、私たちが前日、堯友さんの夢について、尼僧さんから聞いて不安に思っていた点などのヒントがもらえたのです。ヨナルテさんは、高野山とかお坊さんと、縁やつながりがある彫師さんなので・・・。

ありがたいなあと思いながら、天王寺駅に向かいました。しょっちゅう使っていたこの駅に来るのも5年ぶり。そして、天女像が目に入りました。

私は、この旅行出発時、高速バスに乗っていて・・・朝5時半ごろ、うまく眠れず、バスに揺られていたら、天女が上からふわ~っと飛んできて私の額にくちづけをした様子が視えたんですね。

大阪に住んでいた頃、この天女像を見るたび、天女という聖なるものとは関りがないと思っていました。そんな、すてきな存在と触れ合えるような人間じゃないと。そのいろんな葛藤が取り払われたからこそ、今回、この地にまた来れたのかなと思ったのです。

スーツケースが壊れたのも・・・旅の最初で、持ち手にひびが入ったとき、nonさんや堯友さんが心配してくれましたが、私としては・・・もう、キティちゃんのデザインもそうだし、大きさも、今の自分には合っていないスーツケースだから、何か、切り替え時なのかなあ?なんて言ってました。

スーツケースは、私のこれまでの、手放していいものの象徴だったような・・・。滑り降りて、大破した様子が、何か、そういうものだったのでしょう。高野山に入る際にひびが入り、出るときに大破して、堯友さんに処分をお願いしたから、さっといなくなった、そのスーツケース。

ありがとうと心の中で声をかけました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。いろんな気持ちになる旅でした。

おまけ

堯友さんの務めているお寺の、職員ゾーンで飼っている、トイプードルに会わせていただきました!!!

扉の向こうに3匹いて、ワンワン吠えてるのもおり、堯友さんが「触らせてあげるのは比較的温厚なビビだけね」などと言い、扉を開けると皆出てきたがるので、堯友さんがいっしょうけんめい閉め。

扉の向こうから声や物音が聞こえました。

堯友「ビビ!ビビ!」

(動き回ったり吠えたりするワンコの声、音)

堯友「ビっちゃん、おちっこしちゃったの?

私(お、堯友さんってワンコを前にすると、そんな感じなん?!ええやん!)

床でおしっこを拭くようなガサガサ音がしまして、1匹抱いた堯友さんが出てきました。もう1匹すかさず扉から出ようとしましたが、堯友さんが、扉を足で閉めました。

ビビちゃんはほわほわでかわいかったです。

スーツケースが大破して、かけつけてくれたとき・・・堯友さんが心配そうに私の様子を見る感じも、何かものすごくじっと見てくれるなと思ったのですが、あれはですね、ワンコの様子を確認するときみたいなことだったのだと思います。

犬を飼ってると、細かい言葉が通じない前提だから、視線とかで感情を伝えるじゃないですか。動揺してる人間の対処も上達するかもしれません。たいへんありがたかったです。

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