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【静止画なのに広がるシミ】不思議な動く錯視

上の画像をごらんください。

ドット中央にある暗い部分が膨張しているように見えませんか?

また、それを見ていると、まるでブラックホールに吸い込まれ、暗い穴の中に落ちて行くような感覚を覚えないでしょうか?

ノルウェー・オスロ大学(University of Oslo)によると、これは「膨張する穴(expanding hole)」と呼ばれる錯視です。

チームの研究によると、約86%の人にこの錯覚が発生しているという。

また「膨張する穴」を見る人々の瞳孔に、不思議な動きが確認されています。

研究の詳細は、2022年5月30日付で科学雑誌『Frontiers in Human Neuroscience』に掲載されました。

※ 錯視により酔いが発生するなど、苦手な方はあまり凝視しないようご注意ください。


参考文献

元論文


ライター:大石 航樹(Koki Oishi)
愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。


瞳孔は実際の光量だけでなく「錯覚」でも反応していた!

「膨張する穴」の錯視 / Credit: Bruno Laeng et al., Frontiers in Human Neuroscience(2022)

オスロ大学の心理社会学研究チームは、視覚の複雑なシステムをよりよく理解するために「錯視」を研究しています。

研究主任のブルーノ・ラング(Bruno Laeng)氏は、今回の新たな錯視について、「”膨張する穴”は、動的な錯視である」と説明。

「中央にあるブラックホール周囲の滲み、または影のグラデーションは、観察者が暗い穴またはトンネルに向かって前進しているかのような、動きのある錯覚を誘発する」と話します。

「膨張する穴」は脳をだますのに非常に優れており、私たちが暗い場所に移動したときと同じような反応を瞳孔に引き起こすのではないか、とラング氏らは考えました。

つまり、実際の光の量は変わっていないのに、瞳孔が光を取り込もうと拡張し始める、という反応です。

(瞳孔には、目に入ってくる光の量を調節する機能があり、周囲が明るすぎると瞳孔は収縮して光を遮り、反対に暗すぎると拡張して光を取り込もうとします)


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