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「エコロケーション」はたった10週間で誰でも習得できる!
エコロケーション(反響定位)とは、自らが発した音や超音波の反響によって、視覚に頼らずに物体までの距離や方向、大きさなどを検出できる能力です。
自然界では主にコウモリやイルカが使っていますが、人間も例外ではありません。
盲目の視覚障害者の中には、舌打ちのクリック音や杖をコツコツ鳴らすことで、周囲の状況を”音で視る”ことのできる人たちがいます。
普通に目の見える人からしたら超能力者のように見えますが、実は英ダラム大学(Durham University)の研究で、エコロケーションの能力はたった10週間の訓練で誰でも習得できることがわかっているのです。
私たちもエコロケーションの使い手になれるかもしれません。
研究の詳細は2024年6月20日付で科学雑誌『Cerebral Cortex』に掲載されています。
参考文献
元論文
Human click-based echolocation: Effects of blindness and age, and real-life implications in a 10-week training program
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0252330
Changes in primary visual and auditory cortex of blind and sighted adults following 10 weeks of click-based echolocation training
https://doi.org/10.1093/cercor/bhae239
ライター:大石 航樹(Koki Oishi)
愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。
コウモリは「目隠し」しても普通に飛べる
コウモリは暗闇でも木々や建物の壁にぶつかることなく、ヒラヒラと空を飛ぶことができます。
これは彼らがエコロケーションの使い手だからです。
コウモリは口から超音波パルスを発することで、その反射音を大きな耳で拾い上げ、周囲の物体までの距離や大きさ、獲物の位置などを検出することができます。
そのため、彼らが空を飛ぶのに視覚に頼る必要はありません。
実験ではコウモリの耳を塞ぐとうまく飛べなくなるのに、目隠しをするだけでは飛行に何の支障もないことが明らかにされているのです。
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一方で、盲目の視覚障害者の中にもエコロケーションを使える人がいます。
彼らは主に舌打ちでクリック音を発したり、杖で地面をコツコツ叩いたり、足音を踏み鳴らすことで、その音の跳ね返りを耳で拾い上げて、コウモリと同じように周囲の環境を把握することができるのです。
熟練したエコロケーションの使い手にもなると、自転車に乗ったり、バスケットボールを楽しむこともできるといいます。
まさに彼らは音で世界を見ることができるのです。
さらにダラム大学による2021年の研究で、エコロケーションを使えるのは盲目の方々だけではないことも判明しました(PLOS ONE, 2021)。
では、その習得方法を具体的に見てみましょう。
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