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「重力が弱い月面なら高層ビルから飛び降りても平気?」科学者「死にます」

月の重力は地球の約6分の1しかありません。

アポロの月面着陸の映像を見ても、宇宙飛行士たちはフワフワと空中を歩いています。

となると、月面では高いところから落ちても地面に激突することなく、ふわりと着地できるのでしょうか?

それとも地球と同じように、やっぱり危険なのでしょうか?


参考文献


ライター:大石 航樹(Koki Oishi)
愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。


地球と月での落下の違いとは?自由落下の世界記録は?

地球で落下すると?
地球で落下すると? / Credit: canva

先に答えを言ってしまうと、月面でもやはり落下は致命的です。

確かに月の低重力は着地をふわりと柔らかくしてくれますが、高所から落下する場合にはあまり役に立ちません。

その理由を地球と月面との違いから見てみましょう。

まず地球は月と違って、窒素や酸素などの大気が豊富に充満しています。

さらに地球の重力加速度は約9.8m/s²であり、高所から自由落下すると徐々に落ちるスピードが上がっていきます。

ところが地球には豊富な大気があるため、これが落下物との間に空気抵抗を生み出し、ついには重力と空気抵抗がつり合って、落下速度がそれ以上加速しないポイントがやってきます。

これが終端速度(terminal velocity)です。

終端速度は落下物の形状や重さによって変わり、例えば、スカイダイバーが大の字の姿勢で落下すると空気との接触面が大きくなって、抵抗力も上がり、終端速度は遅くなります。

一方で、鉛筆を垂直にしたような姿勢で落下すると、空気との接触面も小さくなるので抵抗力も小さく、終端速度は速まります。

しかしいずれにせよ、地球上での落下物はあるポイントで速度が一定になります。

ちなみに、これまでに記録された自由落下の最高速度は、2012年にオーストリアのスカイダイバーであるフェリックス・バウムガルトナー氏が達成した時速1342キロです。

彼は上空3万9000メートルから飛び降り、4分20秒後にパラシュートを開いて、米ニューメキシコ州のロズウェルに無事に着地しました。

このときの終端速度は音速の約1.24倍に達したとのことです。

実際の映像がこちら。


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