「何話そうとしたっけ?」今やろうとしたことを急にド忘れするのはなぜ?
昨日あった面白い出来事を友だちに話そうとした矢先、ふと手元のスマホが鳴って、知人からメールが来たのに気づく。
チラッと目をやり、急用ではなさそうなので「あとで返信しよう」と目を離して、話に戻ろうとする。
すると「あれ?何話そうとしてたっけ」と自分が話そうとしていた内容をド忘れしてしまう。
これは誰もが日常的に経験している出来事です。
なぜ私たちはついさっきまでやろうとしていたことをほんのちょっとの隙に忘れてしまうことがあるのでしょうか?
ここではこの「瞬間的なド忘れ」にまつわる脳の仕組みについて話していきます。
参考文献
ライター:大石 航樹(Koki Oishi)
愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。
「瞬間的なド忘れ」に関わる記憶のタイプとは?
部屋に入ったものの何しに来たのか忘れてしまったり、ソファから重い腰を上げたのはいいが何のために立ったのかわからなくなる、などなど。
こうした「瞬間的なド忘れ」は脳の病気ではなく、誰にでも起こり得る現象です。
なぜ先ほどまで頭にあったことを忘れてしまうのでしょうか?
それを知るにはまず「記憶の仕組み」を理解する必要があります。
私たちが過去に経験した思い出や出来事はすべて「記憶(Memory)」の一語でまとめることができますが、その種類は一つではありません。
記憶には大きく分けて2つのタイプがあります。
1つ目は「長期記憶」です。
長期記憶とはその名の通り、ある程度の長いスパンから一生涯にわたって保持される記憶のことで、さらに以下の3つのカテゴリーに分けられます。
そして2つ目は「短期記憶」です。
短期記憶とは、数秒〜数時間という短い時間だけ続く記憶のことを指します。
これは今まさに取り組んでいるタスクを正常に遂行するのに必須です。
例えば、小説を読んでいるときに、前のページの文章内容を覚えていることで、物語の内容を自然と理解することができます。
また友だちに電話番号を聞き、登録するまでの数十秒間だけ覚えておくのにも短期記憶が使われます。
他にも暗算をするときなど、頭の中で一時的に数字を覚えておけるのも短期記憶のおかげです。
このように短期記憶は今取り組んでいる作業のために一時的に保持される記憶でありますが、まさにこの短期記憶こそが「瞬間的なド忘れ」に関わっているのです。
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