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キノコは「菌糸ネットワークを流れる電気信号」で会話をしている

キノコはおしゃべりかもしれません。

英国西イングランド大学(UWE)で2022年に行われた研究によれば、4種類のキノコで観測された電気信号を分析したところ、人間の言語に似た「単語」と「文」が確認できた、とのこと。

菌類には神経細胞が存在しませんが、細胞同士が脳のニューロンのようなネットワーク構造を形成し、ネットワーク内部では活発な電気信号の送受信が行われています

研究者たちがこの電気活動を数学的及び言語学的に分析したところ、菌類が使う電気信号は人間の「言語」と非常によく似た構造を持っていることが示されました。

しかし菌類の言語とは、いったいどんなものなのでしょうか?

研究内容の詳細は2022年4月6日に『Royal Society Open Science』にて公開されています。


参考文献

元論文
Language of fungi derived from their electrical spiking activity
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsos.211926


ライター:川勝 康弘(Yasuhiro Kawakatsu)
ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。


キノコに電極を刺して電気活動を観測する

キノコに電極を刺して電気活動を観測する / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

私たちの脳はニューロンが結びついたネットワークで構成されており、ネットワーク内部に走る電流の無数のパターンによって、意識や思考がうまれます。

またネットワークを物理的に再編することによって新しい情報の「記憶」や「学習」が可能になります。

しかし一部の菌類では、ニューロンなどの神経細胞が存在しないにもかかわらず、記憶や学習、迷路の攻略、最適な経路の選定、数学的な演算能力など、高度な情報処理を行えることが知られています。

脳がない菌類が、これら複雑な情報処理能力を如何にして実現しているかは、いまだ多くが解明されていません。

ですが近年の研究により、菌類の内部で活発な電気活動が行われていることが判ってきました。

たとえば木材を栄養源とする菌類に木製のブロックを与えた場合、電気信号の増大が起こることが知られています。

このことから、菌類が電気的な「言語」のようなものを使って、栄養源などにかかわる情報を体内の細胞間ネットワークで処理している可能性が示されます。

初手電極 / Credit:Andrew Adamatzky et al . Language of fungi derived from their electrical spiking activity(2022) . Royal Society Open Science

そこで今回、西イングランド大学の研究者は4種類の菌類の電気活動を測定し、活動パターンの数学的及び言語学的な分析を行うことにしました。

すると意外な結果が現れます。

菌類の「言語」は人類の言葉とよく似ていたのです。


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