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天文学者「恒星間天体の大気圏突入の振動をキャッチしたぞ!」地震学者「トラックの走行音じゃね?」

人類にとって太陽系外は、未知の領域だと言えます。

太陽系外に「宇宙人が存在するかもしれない」「生命が存在できる惑星があるかもしれない」と考える人もいるでしょう。

だからこそ、太陽系外から地球へ飛来してきた「恒星間天体に、科学者たちは強い関心を抱いています。

はるか遠くから来た「贈り物」を調べることで、生命の痕跡など、何か重要な情報が得られるかもしれないというわけです。

そして2023年には、アメリカ・ハーバード大学(Harvard University)に所属する天文学者アヴィ・ローブ氏が、パプアニューギニア近くの海から「恒星間天体の欠片を発見した」と報告し、大きな話題を呼びました。

ところがこの度、アメリカのジョンズ・ホプキンズ大学(Johns Hopkins University)に所属する惑星地震学者ベンジャミン・フェルナンド氏は、「欠片の落下地点を予測するために用いられた振動データは、恒星間天体に由来するものではなく、単に道路を走るトラックに由来するものだった」と述べています。

研究の詳細は、2024年3月8日付の『ジョンズ・ホプキンズ大学のプレスリリース』にて報告されており、2024年3月11~16日にテキサス州で開かれる第55回月惑星科学会議「LPSC 2024」でも発表されます。


参考文献


ライター:大倉 康弘(Yasuhiro Okura)
得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。


太陽系外から飛来した「恒星間天体」

オウムアムアのイメージ。オウムアムアは細長い形状をしていると想像されている
オウムアムアのイメージ。オウムアムアは細長い形状をしていると想像されている / Credit:Wikipedia Commons_オウムアムア

太陽系外から飛来した「恒星間天体が初めて観測されたのは、2017年10月のことです。

この天体は「オウムアムア(ハワイ語で‘遠方からの初めての使者’を意味する)」と呼ばれており、地球から2400万kmのところを通過しました。

発見された時には、地球のそばを通ってから既に5日経った後だったため、天文学者たちは地球から離れているオウムアムアしか観測できず、その正体は謎に包まれたままです。

当時は、「オウムアムアは宇宙人の探査機だ」などという主張もあったようです。

とはいえ、その後の研究により、「オウムアムアは天然起源の天体(太陽系外の惑星の欠片など)である」と報告され、その意見が広く受け入れられています。

そして2019年には、2番目の恒星間天体として「ボリソフ彗星」が観測されましたが、こちらも地球に来ることはありませんでした。

2014年の火球が、実は「恒星間天体」だったと判明。
2014年の火球が、実は「恒星間天体」だったと判明。 / Credit:Canva

しかし、同じ2019年には、「過去に地球へと飛来した物体が、実は恒星間天体だった」と判明しました。

それは2014年、パプアニューギニア上空で火球として観測された天体「CNEOS 2014-01-08(別名:IM1)です。

この天体は、2022年4月、アメリカ宇宙コマンド(USSC)により、恒星間天体の可能性があると正式に確認されました。

つまりIM1は、人類が観測した3番目の恒星間天体であり、「観測史上初めて地球に衝突した恒星間天体」なのです。

IM1は、太陽系外からの未知の「贈り物」とも言えますね。多くの人々がIM1に関心を持っているのも納得できます。

その後、ハーバード大学の天文学者アヴィ・ローブ氏ら研究チームのプロジェクトによって、パプアニューギニアの上空で爆散し、海に沈んでいった「IM1の欠片」の回収が試みられました。

そして彼らは、IM1が大気圏に入った際の振動から、欠片が落ちた場所を特定し、「恒星間天体の欠片を発見した」と報告しています。

これが本当なら、人類は「太陽系外の物質を分析できる」ことになります。

しかし、ローブ氏らの報告に納得していない科学者は多く、「ローブ氏の勘違いだ」と指摘する声も上がっています。


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