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「動物に命を救われて育てられた子供たち」がたどる道とは

SNSを巡ると、ペットのイヌやネコが人間の子供を甲斐甲斐しく世話するような動画を見つけることができます。

種族は違ってもまるで親のように接する動物たちの姿は、なんとも微笑ましいものです。

だからこそ、「過酷な自然界に放置された子供が動物たちの世話を受けて生き延びた」というニュースについても、いくらか納得できます。

しかし、実際にそのような環境で育った「野生児」たちは、人間に保護された後、どのような経緯をたどることになるのでしょうか?

今回は、動物に命を救われ、世話を受けたとされる子供たちの事例を集め、いくつか紹介します。

ただし、この稀な事例についてはあまり研究が進んでおらず、世界中に存在する野生児のエピソードの大半は捏造とも言われるため、真偽を見極めるのが困難なケースも多いようです。


参考文献

元論文
Feral children: Questioning the human-animal boundary from an anthropological perspective
http://dx.doi.org/10.13140/RG.2.2.19691.59682


ライター:大倉 康弘(Yasuhiro Okura)
得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。


ヤマネコに囲まれた男児

ヤマネコのお世話によって男児が生き延びる
ヤマネコのお世話によって男児が生き延びる / Credit:Wikipedia Commons_European wildcat

2008年、アルゼンチンのミシオネス州の運河近くで、警察官たちが8匹のヤマネコに囲まれた1歳の男児を発見しました。

なんと「ヤマネコたちが男児の体をなめてあげていた」というのです。

また自らが毛布のようになり、男児の上に乗って暖めてあげていました。

そして警察官たちが近づくと、ヤマネコたちは男児を守るかのように、攻撃的な姿勢を見せました。

さらに驚くことに、ヤマネコたちは男児のために残飯を持ってきてあげていたようです。

これは冬のエピソードであり、医師によると、「ヤマネコが男児を暖めてあげなければ、寒さでとっくに死んでいただろう」とのこと。

ちなみに、この男児は、ホームレスの父親がダンボール集めをしている最中にはぐれてしまったようです。

男児は、数日間ヤマネコと一緒に過ごした後、警察官の手を経て、無事父親と再会できました。

「野生児のエピソード」というほど過酷なものではなく、男児が受けた影響も大きくないでしょう。

だからこそ、父親が再び子供から目を離さないことを願うばかりです。


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