行列推理 Beginner Contestの作問レギュレーション
これは、行列推理 Beginner Contest(以下行BC)の002以降の問題に関する詳細のまとめです。
最低限の事項は概要のほうに載せてありますが、高得点を目指したい方などはこちらもよく読んでおくといいと思います。
行BCの参加はこちらから。(現在は不定期で月末の木曜日か金曜日に開催しています)
サイト公式Twitterで(行BC以外のコンテストも)告知が行われます。
わんどさん(テスター)による各回のまとめはこちら。
数列推理に興味がある方はこちらも見てみてください。
2023/8/24 これ以降の一部の問題で、盤面の見やすさのためマス目を区切る線が点線になっているものがありますが、法則などには関係ありません。
2023/3/21 大幅に加筆修正を行いました。行BC015以降で適用されるため、014以前の問題では一部レギュレーションを満たしていない問題があります。そちらの問題と解説には追記を行いました。
1. 基本理念
行BCは、厳選された行列推理の問題を通して「ある種の能力」を競うことができるコンテストを目指しています。
その「ある種の能力」とは、
・行列推理の基本的な知識(法則、推測方法)とのその活用能力
・少ない例示から考える能力
・ある程度シンプルな情報に対して考える能力
・まだ考えたことのない法則を発見/構成する能力
・味のある手掛かりとない手掛かり(もしくは紛れ)を見分ける能力
・図形的に捉え、直観で手掛かりを発見する能力(いわゆる「見える」)
です。逆に、
・(広い範囲の)一般知識とその活用能力
・たくさんの例示から考える能力
・複雑な情報に対して考える能力
・複雑なだけの法則を発見/構成する能力
・短時間で多くの法則を試す能力(探索力)
・運
といった能力ができるだけ関係しないようにすることを目指しています。
特に、探索力の比重を大きくしないように、問題や法則にさまざまな制約をかけています。
行列推理は、問題の性質上別解や部分的な別解釈が生じる可能性があります。例示を増やせば解決しやすくなりますが、出題しにくくなる問題が発生したり、良い例示を選べるかという運の要素が上がったりと、デメリットも大きいです。そのため、(簡単な法則は確かめた上で)想定法則の納得度を上げる、という方針で対応していくつもりです。そのための制約もあります。
2. 全体について
ここからは全て、想定法則に対するものになります。
・法則は、1つの横列(3×3が3つ)で完結します。
・法則は、全ての横列で共通します。
・法則を細かく見すぎたなどの場合に違う法則であると誤認してしまう可能性はあります。
・各横列は、法則のもとで左の3×3(左盤面)と中央の3×3(中央盤面)から右の3×3(右盤面)が1通りに定まります。
・下列で、選択肢がないと答えが確定しない、ということはありません。
・左盤面と中央盤面を交換しても同じ法則が成立するとは限りません。(盤面の順番に意味があるなど)
・法則は、適切な左盤面と中央盤面の組に対して右盤面が推測できるようなものです。
・盤面の質(例えば記号の種類と配置可能位置)は適切な盤面の組と同じでも、矛盾が生じるような(法則を満たしていない)組や、定義が定まらないコーナーケースなどが発生する組が存在することがあります。
・適切な盤面の組に対しても、情報量が過剰であることがあります。
・例えば、左盤面と中央盤面の間に何らかの関係があって、左盤面から中央盤面が推測できる、ということがあります。
・008Gのように、一部の盤面が青色の盤面(下図)となって隠されることがあります。
・その場合、青色の盤面がなくても右盤面が1通りに定まります。
・青色の盤面が推測できるとは限りません。
・それ以外で問題にこの青色は使われません。
・問題と解説には、「※〜盤面は隠されているものとして考えてください。」という注釈が付きます。
・009Bのように、一部の盤面を無視して(存在しないものとして)考える問題があります。(ただし、正式には009Bとは異なる盤面表現になります)
・上図の左パターンではそれぞれの法則が左盤面と右盤面のみで完結し、適切な左盤面に対して右盤面が推測できます。
・上図の右パターンでは例示の段がまるまる1つ減ります。
・それ以外で問題にこの灰色は使われません。
・問題と解説には、「※(中央盤面/中段)を無視して考えてください。」という注釈が付きます。
・全ての問題に共通している外枠と内部の枠線は、どの記号よりも奥に存在します。
・盤面を区切っている以上の意味はありません。
・数字9文字で解答する問題において、右盤面のマスの辺に線が引かれる場合、右下盤面(答える盤面)は辺の線の情報のみ最初から盤面に含んでおり、選択肢に辺の線の情報は含まれません。
・その場合も、右下盤面の辺の線は左盤面と中央盤面から1通りに定まります。
・数字9文字で解答する問題において、右盤面のマスの辺をまたぐように線以外の記号(丸記号など)が置かれるような問題は出題されません。
3. 記号の特性
・色について、(隠す青色の盤面を除いて)白、黒、灰色の3色+線の緑色、のみを使用し、(無視する灰色の盤面を除いて)灰色を区別する必要はありません(同じ灰色として扱います)。
・色は、それぞれの属性ごとに区別できる(同じ属性を同じとする、など)以上の意味を持ちません。
・例えば、黒+白=灰は無条件に使えるわけではありません。(たまたま黒=1、白=2、灰=3としていたのでそうなる、ということは考えられます)
・記号や形の判別が難しくなるような記号の組での問題や、そこでの引っかけ問題のようなものは出題されません。
・矢印(記号)と、選択肢を除いた問題全体で複数の向きがある三角形(記号)は、区別できるという意味だけでなく、(程度は異なれど)必ず方向としての意味を持ちます。
・他の記号が方向としての意味を持つ可能性もあります。
・普通の正方形とダイヤ型(マス目に対して45度傾いた正方形)や対角線など、向きの状態が2つである場合は、方向としての意味を(部分的にでも)持つ可能性も持たない可能性もあります。
・黒マスか白マスかだけの問題と白丸の有無だけの問題など、どちらでもいいような記号の使い分けに深い意味がない(実際にどちらでもいい)ことがほとんどです。(そこから考えることはおすすめできません)
・白マスは「背景(何もないもの)としての白マス」と「記号としての白マス」のどちらの意味も持つ可能性があります。
・それぞれの盤面の外周に線はありません。
・007Eのように、(選択肢を含めた)盤面の外周に(部分的にはみ出すように)記号が配置されることはあります。
・縦線や横線は、最小単位(半マス分の長さ)で分割して考えることも、例えばマス単位などで複合したもので考えることもあります。
・斜め線は、2つのマスの中心を結ぶ線か、2つの頂点を結ぶ線です。
・作図にエディタを使用している関係で、エディタで作図できない図形が出題されることはありませんが、このことを問題を解く上で意識する必要は一切ありません。
・選択肢の記号やその順序に深い意味はありません。
4. 知識
・法則は、図形的もしくは論理的に、最低限の知識から構成することができるものです。(この部分やこの節全体は定義が曖昧なため、今後更新するかもしれません)
・言語に依存する知識は一切関係しません。
・図形に関する知識としては、例えばトーラス(上端と下端、左端と右端がそれぞれつながっている)や対称移動などが該当します。
・算数・数学的には、大小関係、足し算と引き算(繰り上がり、繰り下がり、巡回するものとしての数の概念を含む)しか関係しません。
・図形的な繰り返し処理が行われることはありますが(重力など)、計算を(見えない部分で)繰り返して掛け算や割り算にしてはいけません。
・別の側面から見たときに計算を通さない単純な法則がある場合(かつこちらの解釈がより自然であると考えた場合)は、特定の解釈で掛け算などが登場する問題も出題されることがあります。
・位取りとして複数の位全体を数として解釈することはありません。(白黒盤面を2進数のある数と解釈するなど)
・文化的な知識でも、自然に構成できるものなら出現することがあります。
・004F(ナイト移動)や005H(三目並べ)は自然な構成なので(現在でも)出題される可能性があります。
・将棋は出題されません。
・ただし、自然に構成するのが難しく、知識として知っているかの比重が大きくなってしまうようなものはできるだけ出題しません。(マイナーなペンシルパズルなど)
5. 難易度
・ある程度明快な法則が出題されます。(この部分は定義が曖昧なため、今後更新するかもしれません)
・著しく対称性が低いなど、恣意的な法則は出題されません。
・推測が困難な程度に複雑または難しい問題は出題しないようにしています。
・紛れや意図的なミスリードは出題される可能性があります。
・左盤面から中央盤面を導く法則と、中央盤面から右盤面を導く法則が別であるなど、複数の法則があることがありますが、その場合は関連がある
・(ほぼ全ての適切な例示において)実質的に無関係となるような情報が生じる法則は出題されません。
・003Iが該当します。
・3×3の盤面がA→B→Cと推移する法則(例えば、ある記号が1マス右に進む)では、Aが左盤面、Bが中央盤面、Cが右盤面になります。
・法則の推測より、法則を適用する際に(パズル的に)探索・推測する部分の比重が大きくなるような問題(インストラクションレスパズルの大半など)は出題されません。
・難易度は、1.0を参加者が全員正解できる程度、5.0を10分かけて1人解けるかどうかという程度、として問題ごとに推定し、[難易度]*200-100をその問題の点数とします。(この部分は定義が曖昧なため、今後更新するかもしれません)
・A問題は100点で固定しています。
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