【解説】反ミーム部門と第五教会を体系的に学ぶ
難解なSCPが好きなみなさん、こんにちは。突然ですが、第五教会をご存知ですか?では、反ミーム部門は?え?財団はそのような部門を有していない?ではこの記憶補助薬を飲んで頂きたい。話はそれからです。
Twitterで第五教会と検索をかけると、「わからない」というつぶやきを各所で見かけます。第五教会はその本質が捉えづらい上、実は対となっている「反ミーム部門」記事を読まなければ内容が理解できないのです。本記事はその読書ガイドとなることを目指します。
さて、どこから始めるべきか?
SCP-055 - [正体不明]、SCP-1425 - 星のシグナルを読むのが良いでしょう。前者は反ミーム部門の核となる殿堂入り記事、後者は第五教会のメインテーマとなる記事です。もう読んだ?素晴らしい。
では反ミーム部門ハブを訪れて、qntm氏のシリーズ、「私たちは反ミーム部門などという部門は有していない」次いで「ファイブ・ファイブ・ファイブ・ファイブ・ファイブ」を読んで下さい。おまけに「死人が知るもの by sirpudding」を読めば完璧です。
これらを読んで頂ければ、かなり準備ができたと言えるでしょう。ここから先の記事は、それぞれを関連づけながら読んで行く方が良いかも知れません。と言うわけで、以下に、私が作成した、反ミーム部門を中心とした相関図を載せます。スポイラー避けをかねて、元記事をクレジットします。
SCP-001-djkaktus-s-proposal-iii http://ja.scp-wiki.net/djkaktus-s-proposal-iii http://scp-wiki.wikidot.com/djkaktus-s-proposal-iii
SCP-033 http://ja.scp-wiki.net/scp-033 http://scp-wiki.wikidot.com/scp-033
SCP-055 http://ja.scp-wiki.net/scp-055 http://scp-wiki.wikidot.com/scp-055
SCP-092 http://ja.scp-wiki.net/scp-092 http://scp-wiki.wikidot.com/scp-092
SCP-1425 http://ja.scp-wiki.net/scp-1425 http://scp-wiki.wikidot.com/scp-1425
SCP-1523 http://ja.scp-wiki.net/scp-1523 http://scp-wiki.wikidot.com/scp-1523
SCP-1564 http://ja.scp-wiki.net/scp-1564 http://scp-wiki.wikidot.com/scp-1564
SCP-1638 http://ja.scp-wiki.net/scp-1638 http://scp-wiki.wikidot.com/scp-1638
SCP-1724 http://ja.scp-wiki.net/scp-1724 http://scp-wiki.wikidot.com/scp-1724
SCP-1730 http://ja.scp-wiki.net/scp-1730 http://scp-wiki.wikidot.com/scp-1730
SCP-1982 http://ja.scp-wiki.net/scp-1982 http://scp-wiki.wikidot.com/scp-1982
SCP-2109 http://ja.scp-wiki.net/scp-2109 http://scp-wiki.wikidot.com/scp-2109
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SCP-2256 http://ja.scp-wiki.net/scp-2256 http://scp-wiki.wikidot.com/scp-2256
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SCP-2456 http://ja.scp-wiki.net/scp-2456 http://scp-wiki.wikidot.com/scp-2456
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SCP-3534 http://ja.scp-wiki.net/scp-3534 http://scp-wiki.wikidot.com/scp-3534
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SCP-3980 http://ja.scp-wiki.net/scp-3980 http://scp-wiki.wikidot.com/scp-3980
SCP-4031 http://ja.scp-wiki.net/scp-4031 http://scp-wiki.wikidot.com/scp-4031
SCP-4125 http://ja.scp-wiki.net/scp-4125 http://scp-wiki.wikidot.com/scp-4125
SCP-4144 http://ja.scp-wiki.net/scp-4144 http://scp-wiki.wikidot.com/scp-4144
SCP-4850 http://ja.scp-wiki.net/scp-4850 http://scp-wiki.wikidot.com/scp-4850
反ミーム部門ハブ http://ja.scp-wiki.net/antimemetics-division-hub http://scp-wiki.wikidot.com/antimemetics-division-hub
Artwork http://www.scp-wiki.net/sunny-s-black-and-white-art
CC BY-SA3.0
重ねて警告です。以下の相関図には、これらの記事および反ミーム部門に関するスポイラーが含まれます。まっさらな気持ちで記事を読みたいという方は見ないことを推奨します。
https://u.cubeupload.com/deskusers/antimeme.png
こちらの相関図には反ミーム部門のメンバー、そして、第五教会の最深部たるSCP-3125を中心とした関係性をまとめました。それぞれの記事に登場するキーワードが、どこで登場したか分からなくなることを防ぐために結びつけたものだと思ってもらえれば良いと思います。
見方としては、右半分が「第五教会」記事、左半分が「反ミーム」記事で、下に行くほど3125との関連が薄くなっていきます。赤塗りのヒト型は反ミーム兵器です。ここまで読んで頂ければ分かるように、3125の影響が及んだ異常現象の集合体が「第五教会」であり、3125とその影響の及んだオブジェクトの収容を試みて闘うのが「反ミーム部門」なのです。したがって、第五と反ミームは、3125という存在を異なった側面から描いたものであるといえるでしょう(あくまでヘッドカノンです)。この図はそれを示したつもりです。
第五主義と反ミーム部門の関連性
反ミーム部門のメイン著者であるqntm氏が、どれほど前から反ミーム部門と第五教会を結びつけるという構想を持っていたのかは分かりません。偶然かは分かりませんがSCP-055という初期ナンバーの殿堂入り反ミーム記事が5の文字と関連していることは注目すべきです。qntm氏は最初から第五教会を反ミームと関連させるつもりだったのかもしれません。
また反ミーム、そして第五教会のメイン記事であるSCP-3125は、
3125=5×5×5×5×5
で「5の5乗」という「5づくし」な第五教会のラスボスにふさわしいナンバーを冠しています。そして3125のセキュリティナンバーは「55555」。第五教会と関連していることがしっかりとアピールされていますね。また3125の別名らしい「వ」の文字のHTMLエンティティ は「 వ」。「వ」でググると「వ」が出てきます。
「వ」はテルグ語の「వచనం (vacanaṃ)」という名詞の略語としても使われ、「話す、言葉、文」などという意味があるようですが、これはあまりSCP-3125の性質とは関係なさそうですね。しいて言えば、ミームなので「書いたり、話したり」といったことで感染するぐらいでしょうか。
あなたが深淵をのぞき込むとき、深淵もまたあなたを見ているのだ
第五主義者たちは3125という存在に近づこうとし、反ミーム部門のメンバーは3125を収容しようとしますが、3125が持つ特性のために、どちらも3125へは到達することはできていません。その特性とは、「3125を真に認識した人間は、3125から認識され、例外なく殺される」というものです。
3125は、第五次元から我々の住む世界に侵入しようとするアイデアの集合体です。ミーム複合体と呼ぶのが正しいでしょう。3125はミーム、つまり伝染するアイデアの集まりなので、現代社会における相互情報交換の速度を考えると一瞬で拡散し、すぐにでもXKクラスで世界が滅びてしまうと考えるのが普通です。
しかし、3125から我々が生き残る可能性が残されていました。3125が我々の世界に到達するには時間が必要だったのです。徐々に我々の世界に侵入し、完全に世界中に浸透するまでに、3125の存在に気づき、このアイデアを収容する対策を講じる必要があります。ところが、3125には自分を攻撃から守るための最強の防御機構が備わっていました。「反ミーム」です。
反ミームとは、広がりやすいアイデアの逆、つまり、広がりにくいアイデアのことです。3125は発見され、攻撃されるのを防ぐため、逆に3125を発見した人間を殺し、殺した人間に反ミーム的性質を付与します。反ミーム的性質とは、認識できない、記憶できない、伝えられないなど、様々な原因で忘れ去られる性質のことを指します。
したがって、具体的には、3125を見つけた人間は殺害され、忘却され、誰からも認識されなくなります。さらに3125を発見した当人だけではなく、その当人と「認識の仕方が似ている集団」も同時に同じ運命を辿ることになります。これによって、アイデアやミーム・反ミームを研究する機関は人知れず絶滅し、残るは反ミーム部門だけとなりました。そして反ミーム部門も消えようとしています。
ではなぜ第五主義者は殺されずに、第五を信仰していられるのでしょうか?考えられる可能性は1つしかありません。第五主義者たちは3125の全体像を認識してはいないのです。ミームを研究する者達は恐らく3125の核となる部分に近づいたため、3125側からも存在が認識できるようになり、殺されてしまったのでしょう。第五主義者たちは、そこまで深い理解には至らず、3125の表層やその影響が及んだ要素にしか触れていないと考えられます。
あるいは、3125というアイデアを受け入れる信奉者たちは、3125にとって有益であるため殺さないという可能性も考えられますが、アイデアでしかない3125がそのような個別の判定を行っているとは考えづらいです。マリオンが言うことを額面通り受け取るならば、3125の作用は知的な側面ではなく自動性が強いはずだからです。
そして反ミーム部門が他のミーム研究学者達同様に死に絶えていない理由は、生化学的処理に長けている・・・つまり財団の記憶処理薬に迅速にアクセスし、使用することができるという事に尽きます。反ミーム部門のメンバー達はもちろん優秀なので何度も3125を発見していますが、その度に即座の記憶処理を行って3125の存在を忘却することで、3125から隠れ、殺害されることを防いでいると考えられます。
第五教会の記事では、ぼんやりと3125の姿が見えているものも少なくありません。SCP-4850 - 解氷する封印から漏れ出る狂気、SCP-2456 - 壊れた世界の夢、SCP-2517 - これが私がキノコの上に神を見た時、等では登場しています。
3125に耐性のある人間も存在しているようです。反ミーム部門の長であるマリオン・ホイーラーの夫、アダム・ホイーラーはその一人です。元々、反ミーム耐性を有していた彼は、漠然と3125を認識したり、3125を体から排出するために目から蛞蝓を出す描写もありました。最新話ではマリオン無き今、アダムホイーラー、機動部隊”アラ・オルン”、そしてバート・ヒューズだけが世界の希望と言えるでしょう。実は、アラ・オルンのメンバーは第五教会のオブジェクトの犠牲となったメンバーが加わったりしていてかなり面白いです(相関図参照)
3125が現実に姿を現すとしたら、どのような姿をしているでしょうか?マリオンは「SCP-3125は五次元の異常な転移性の、悪いミームと悪い反ミームとその中間の集合体で、物理的現実を侵食している。それはコヒーレントでも知性的でもない。コミュニケーションは不可能。これは幻聴に過ぎない。」と言っています。しかし、マリオンや他の反ミーム部門のメンバーには、3125の声が聞こえ、またその見た目は「蜘蛛のようなもの」であると描写されています。SCP-3966 - 外方落下での4次元上の蜘蛛、SCP-2456 - 壊れた世界の夢のタンパク質と関連がありそうです。
どうでしょうか。かなり壮大な物語の全体像が浮かび上がってきたと思います。こんな相関図が書けてしまうほど、反ミームと第五教会関連の記事は良質なものが揃っていると言えるでしょう。これこそまさにSCPというシェアドワールドの利点を生かし、その真骨頂を発揮した一大スペクタクルだと思います。では反ミーム部門記事を読んだ皆さんのために、ここで反ミーム部門年表をご覧に入れましょう。といってもこれを作っているときにqntm氏が反ミーム部門年表を公開されたのであまり意味がないかも知れませんが。この年表には、個人的なストーリー解釈が過分に含まれておりますのでご注意下さい。
上記に挙げられた非常に面白い記事群を理解する手助けになればいいなと思います。そして、第五 vs. 反ミーム部門 with アラオルンの戦いを楽しみましょう。それでは。
反ミーム部門の記事は現段階(2020/05/12)までに、ブラッド/ブレインまで公開されています。
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