【削除された話】終電【Deleted stories】 草稿
割引あり
注意・こちらは草稿です。
Aさんという方が学生時代の同期のBさんという女性から聞いた話。
会社勤めで、その日もぎりぎりで終電に乗る事が出来た。
冷房の効いているのが、昼間の照り返しにあてられていた身体に沁みる。
丁度手すり側の席が空いてたので、そこにありがたく腰掛けさせてもらった。
『降りる駅までは遠いし、今日は別の課の手伝いに駆り出されての立ち仕事で、お尻がバッキバキだったのね』
間も無く眠気が訪れ、Bさんは前述の通り、自分の駅まで長いので、それに従った。
ふと目を覚まし、車内表示と見慣れた窓の外の風景を見比べる。
そろそろ降りる駅だなと思った。
そこで、何故目が覚めたのか分かった。
席に腰掛けている自分の足首を、誰かが掴んでいるのだ。
ざっと目だけで自分の膝の辺りを見るが、誰もそこにはいない。いわゆる酔っ払いなどによる狼藉でない事は分かった。
よく、そういう時に、払い除ければいいとか言うが、気持ち悪さで動けない。
何やらベチャベチャしたものが付いた手が、掴んでいるのが、それに拍車をかける。
他の乗客は転々と見受けられたが、誰も気付いていない様子だ。
何かがあって、目を逸らしてるとかなら、それと分かる。
明らかにそうではなかった。
(やだやだやだやだ!)
Bさんの足を掴んでるそれが、次第に下から姿を覗かせて来た。
赤黒い何かに、所々、申し訳程度に長さがバラバラな髪が生えている。おぞましさに、目が勝手に焦点をぼかしたので、多分頭ではないかという所までしか分からない。
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