【削除された話】雪道【Deleted stories】
割引あり
注意・こちらは草稿です。
学生時代、Aさんは真冬でも自転車通学をしていた。
豪雪地帯なので、バスも電車も当然遅れる為、冬場、学校は遅刻を多めにみてくれる。
この時期、もし、完全に遅刻を回避しようとするならば、朝の六時過ぎに来る始発に乗らなければならない。
「それで間に合っても、冬ですから真っ暗ですし、周辺も寂れてましたから凍えに行く様なものです」
となると、積雪のせいでタイヤが回転しなくても、また、除雪車が通った後の、アイスバーン状態の坂を重力に任せて滑るのだとしても、自転車の方が小回りが効くのだ。
「当時もそんな坂をノーブレーキで下るとか、かなり頭がおかしいと思ってました。しかもみんな、ノリノリで滑って行くんですよ。
上がアイスバーンなら下も当然アイスバーンなので、交差点とかで何人か亡くなってると思いますけど、聞いた事ないですね」
その日の放課後、図書館で勉強していく友人らと別れて、Aさんはゆっくりと自転車を漕いでいた。午後三時を少し過ぎたくらいだが、またも雪が降り出し、夜の帳が落ちて来ている。
先日から降って止んでの繰り返しで、除雪車も対応が追い付かないのか、一般車のタイヤがかろうじてラッセルした道は、そこかしこに小さな雪山が出来ている。
これもまた埋まるのだろう。
冬場はお馴染みの光景だ。
寂れた土地、郊外。それを差し引いても車の通りが少ないと、まるで地の果てを一人で移動してるかの様な気分になる。
「それで、変だと思ったんです。
国道だし、車がないとしんどい土地なので、お天気がどうだろうと、それなりに走ってるはずの時間なんですよ」
そういう時に、ぼた雪になり、熊警報が響いて来た。
街に近い場所だったが、季節柄、珍しいものではないのと、近隣に高層ビルが少なく、例えばデパートでも二階建てくらいで、二階は駐車場という構造のものが多いのと、熊警報はかなり響くので、実際は遠くからのものかもしれない。
らしくないなと思いながらも、Aさんは寒気を感じた。
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