ろーりんぐすとーん
「転がる石には苔が生えぬ」
革新的意味:転がる石には苔が生えぬとは、よく動き、働く人が生き生きしていることのたとえ。 保守的意味:仕事や住居を転々としている人は、成功せず、金もたまらないことのたとえ。 (故事ことわざ辞典より引用)
これはある男の話である。
数年前の某月、男の会社では「決起集会」が行われた。
この「決起集会」では会社代表が「社員」に向けてこのようにスピーチをした。
男の社長
「皆さん、A rolling stone gathers no moss.という言葉の意味を知っていますか?」
社員達は突然「横文字」で問いかけられてしまい少し困惑していた。
各自訳そうと考えたが、完璧に「直訳」できる社員はいなかった。
しばらく室内が「ざわつきはじめ」その後 頃合いを見て社長が話し始めた。
社長
「これは日本では”転がる石には苔が生えぬ”ということわざです」
男はこの時思った。
何故最初から「日本語」のことわざとして言わなかったのかと。
これは社員に「知っている」と思われたくない一心で、最初は「英語」で問いかけているのだと瞬時に思った。
つまり今この話の流れは社長が考えた「筋書き通り」になっているのだった。
社長
「簡単に言うと動いていないと苔が生えちゃうぞっていう意味です」
男の社長の「社員」に伝えたいことはこうだ。
・1つのことだけをやるな。
・絶えず新しいことに挑戦しろ。
・保守的になるな。
・絶えず動け。
・活動的になれ。
保守的ではなく「改革的」な考えを持つ社員になって貰いたい。
男はそのような意味を伝えたいのだと感じとった。
男はこの時、ある光景をイマジネーションした。
それは、もし仮に「退職」を決意した場合、退職届の理由に「転がる石には苔が生えぬ」と、今日社長がスピーチした内容をそのまま書いたらどう受け取るだろうかと。
この時こう想像をしたのは男だけではない筈だ。
男はそう思うのだった。
終わり