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140字小説【その足だあれ?】

 あれは自宅で急にもよおし、慌ててトイレに駆け込んだときのこと。
 いちいち扉を閉めている余裕などなく、どうせ自宅なのだからと完全に油断していた。
 用を足しながらふと足元を見下ろすと、こちらを向く何者かのつま先が――

「誰っ!?」

 ――それは、ここまで履いてきた自分のスリッパだった。