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【2024年版】なぞりのつぼ −140字の小説集−

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読めば読むほど、どんどんツボにハマってく!? ナゾリの140字小説特集! 2024年も笑い、足りてる? ※無断転載および転載は原則禁止です。
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#テレビ

140字小説【旅のスケジュールもみっちみち】

140字小説【旅のスケジュールもみっちみち】

「旅の醍醐味と言えば、やっぱり道の駅への寄り道! テレビで見てからずっと来てみたかったんだよね〜っ!」
「じゃあ来れてよかったね。でも、さすが番組で紹介されただけあって、めちゃめちゃ混んでるっていうか……混みすぎて、もはや道の駅がみっちみちの駅になってるよ」
「何? 聞こえな〜い!」

140字小説【間接年齢】

140字小説【間接年齢】

 とある番組の街ロケで……

「ここのお店のコロッケは昔から有名ですね」
「そうなんですね。ちなみにお母さんお若いですが、ご年齢は……」
「いや〜、恥ずかしい!」
「失礼しました。いつもここでコロッケ買われてるんですか?」
「かれこれ40年は通ってます」
「分かりました、ありがとうございます」

140字小説【頼むからオフにしないで】

140字小説【頼むからオフにしないで】

 自分が芸人として出演させてもらったロケ番組。それを家で彼女と見ていたら、彼女がふとリモコンに手を伸ばして……

「何で字幕オフにするの?」
「だってアンタの顔がよく見えないし、邪魔かなと思って」
「でも俺が何言ってるか分かりにくかったりしない?」
「そもそもアンタ、ほぼ喋ってないじゃん」

140字小説【逃したつもりはないんだけど】

140字小説【逃したつもりはないんだけど】

「最近は深夜番組のために無理して起きなくてもよくなったけどさぁ……」
「《見逃し配信》があるからねぇ〜」
「それなんだけどさ、他に言い方ないのかなって思っちゃうんだよね。こちとら別に見逃しちゃったわけじゃないっていうか、むしろ見送ってやってるっていうかさ」
「じゃあ《見送り配信》だね」

140字小説【見損なったわ!】

140字小説【見損なったわ!】

「アナタのこと見損なったわ!」
「また? 今度は何?」
「昨日の番組、アナタがゲスト出演するって言うから録画予約したつもりが、忘れてて……」
「もう何回目だよ。それにまだ見逃し配信があるだろ」
「あっ、そっか。これでアナタのことを見損なわずに済むわね」
「俺も心臓に悪い思いしなくて済むよ」

140字小説【都合雨 −ツゴウ−】

140字小説【都合雨 −ツゴウ−】

「恋愛系のドラマとかでさ、失恋したときに雨が降るのって、もはやド定番だよね」
「空も泣いてるとか、気持ちを洗い流してくれるとか、いわゆる都合のいい雨ね」
「そうそう。でもいつも思うけど、わざわざ傘なしで雨に打たれる必要ある? 演技とはいえ風邪引くよね」
「降られた方が清々しいじゃん?」

140字小説【いっそ最悪にしてくれ】

140字小説【いっそ最悪にしてくれ】

「今朝、テレビで占いコーナー見てたらさ、自分の星座が最下位から二番目だったんだよね」
「そりゃキツいね。でも最下位よりはマシじゃない?」
「いや、最下位の方がマシだって! だって最下位はラッキーアイテムとか教えてくれるけどさ、最下位から二番目はそういうのないじゃん? どうしろと!?」

140字小説【乱れるのは花のみならず】

140字小説【乱れるのは花のみならず】

 テレビをつけると、ちょうどアナウンサーが現地でお花見の中継をしていて……

「こちらは桜の名所として知られており、本日も多くの観光客の方が桜を一目見ようと訪れております。中には桜の木の下でお弁当などを広げて――」
「ウェェエエエンッ!! ママどこぉ〜っ!?」
「――皆さん楽しそうです」

140字小説【ふくらまめ】

140字小説【ふくらまめ】

「よく女性が口を閉じながら『おいひ〜(美味しい)』って言うの見るけどさ、何か意味があるの?」
「男性より口が小さい人が多いのと、あとはシンプルに可愛く見えるから、かな」
「じゃあ今テレビに映ってるこの人は? 豆一粒で『おいひ〜』って言ってるけど」
「豆が膨らんだか、あるいは女の意地ね」

140字小説【船上のプレイヤー】

140字小説【船上のプレイヤー】

「次の番組の企画をどうするか……」
「じゃあ、こういうのはどうですか? 船の上でチェスをするっていう」
「船の上? そんなの豪華客船なら普通だろ。大体そんな予算ないぞ」
「違いますよ。荒波の中、マグロ漁船の上でやるんです」
「……ちょっと面白そうだな。でも駒とゲロが飛び散るだろ。却下だ」

140字小説【この後スタッフが美味しくいただいた、その後】

140字小説【この後スタッフが美味しくいただいた、その後】

「お写真で見たより、その……恰幅のいい方ですね」
「すいません。仕事柄つい食べちゃって」
「お仕事は料理関係なんですか?」
「いえ、テレビ局に務めてます」
「ああ、じゃあ失礼ですけど、ストレスで……?」
「むしろ逆ですね。スタッフとして美味しくいただいた成れの果てです」
「幸せ太りでしたか」