【がくぽ・猫村いろは】 晩鴉 【オリジナルPV】
Vocal : 神威がくぽ&猫村いろは
Composer&illustration : 雪みみっきゅP
Video&Lyrics : なゆたゆな
http://www.nicovideo.jp/watch/sm19479121
時化った風音が 前触れなき
深窓を揺らして 紡いだ儚
塒へ還る道すがら 明けぬ連理
耳障りではない声に 操られて惑わされて
音もなく近寄る 黒き影よ
鴇色に染まりし 唇を寄せ
気高く美しき 眦の
その清冽さに焦がれた
護り抜くこと 愛し抜くこと
ただそれだけで 満たされてた
貴女に出逢う 彼の刻までは
引き抜いた刀身が 峻烈を切り裂く
移し身の汀まで 辿り着く底
咽喉(のど)を嗄らし何度も 叫ぶ貴女の名は
一閃の鋭さに 果敢なく散って
傷つけること 見失うこと
ただそれだけを 畏れてきた
貴女を知った 彼の夜からは
饒舌な残光が 静謐に蠕く
流転する軋みまで 沈みゆく瀞
繊い羽根ふるわせて 咽び鳴くその聲
咲き匂う妖しさに 果敢なく燃えて
引き抜いた刀身が 峻烈に切り裂く
闇の汀に堕ちて 辿り着く底
咽喉を嗄らし何度も 叫ぶ名は貴女の
一閃の鋭さに 果敢なく散って
時化った風音が 前触れなき
深窓を揺らして 紡いだ儚
咲くや徒花 此の花咲くや
汝鳥の羽ばたき 何処へ還る
◆補足◆
晩鴉/ばんあ:夜カラスが鳴くこと、その鳴き声。
連理/れんり:一つ木が他の木の枝とつながって木目が続いていること、仲睦まじい男女のたとえ。
鴇色/ときいろ:薄いピンク。
眦/まなじり:目尻。
清冽/せいれつ:清く冷ややかなこと。
汀/みぎわ:水ぎわ、渚。
徒/あだ:無駄なこと、意味のないこと。
瀞/とろ:川の水深が深くて流れの静かなところ、泥。
汝鳥/などり:あなたの意に従う鳥、という意味。
//2011.5.20初稿
//2012.12.1動画投稿
//雪みみっきゅPさん
http://sp.nicovideo.jp/mylist/20451014
//episode
ピアプロに詞先で投稿していた「晩鴉」の歌詞を見つけて下さった雪みみっきゅPさんとの初コラボな和風曲です。
物語調の歌詞が好きで、和風曲は小説チックな歌詞になることが多いのですが(この曲は以前、同タイトルで書いた同人小説をコンセプトにしています)雪助さんのオリジナリティあふれるドラマティックな曲調に触発され、Music Videoもストーリー仕立ての、かなり凝った内容にしました。
作曲を始める前はイラストを描いていらしたという雪みみっきゅPさん。「晩鴉」でも作曲作業と平行して、60枚近くのイラストを描き下ろしてくださいました。
数が数なので、私も一緒に着色作業をお手伝いして、3ヶ月ほどで完成&投稿まで持っていきました。
作業があまりにも楽しすぎて、完成が近づくにつれ終わりたくない気持ちが高じてか、まだ「晩鴉」の制作中にも関わらず次はアンサーソングを作ろうとスムーズに話が進んで、それが猫村いろはの「片翅の蜉蝣」になりました。
ボーカロイドは楽器の1つである。個人的には、そういった認識ではいるんですが、根底ではいつも「この歌手に歌わせたい歌詞」というのを意識しながら詞作しています。
がくっぽいどの中の人はGACKTですから、私にとって(皆さん一緒かも知れませんが)「がくっぽいどに歌わせる歌詞=GACKTに歌わせる歌詞」なんですね。もっと言うと、「GACKTさんに、“ぜひ歌いたい!“と思ってもらえる歌詞」にしたい。そういった心づもりで書いています。
再生数やマイリス数はまったく気にしない…と言っては嘘になるかも知れませんが、何よりも大事なことは、良い作品にすべくお互いの知恵やスキルを出し合って、協力しながら作品を完成させること。その達成感や満足度は、きっと「数」という他者評価よりも、うんと得がたいものがあるのではないかと思います。
自分の作品の一番のファンは自分自身である。
長い目で見た場合、それが最終的には創作活動を越えた部分での自己受容や自信にまで拡がっていく気がします。