世界観#1 - 「救世主現る」
“人の歴史とは、即ち戦争の歴史である”
各人が掲げる正義の名の下に、争い、殺し合い、奪い合ってきた凄惨な人類の歴史。
権力の所在や様相が如何に遷移し、技術が進歩しようとも、人間の本質は変わらなかった。
自律分散を掲げ、行き過ぎた個人主義と共に民中は暴徒と化す。
体制へ石を投げるゲリラ・テロ集団が世界中に蔓延る暗黒の時代が訪れた。
世界各地で争いが絶えず混迷を極める中でも、人々は希望を失わず、。
命からがら傷つく隣人を助け、明日を生きんとした。
しかし、人々の心にある平和の灯火は、あっさりと消し飛ばされることになる。
—
「これが最後の確認です」
「…」
「本当によろしいですか?」
「…」
「…」
「…やれ」
—
祭囃子のようにリズムを刻む108の爆音。
行方不明者は数知れず、星の数ほどの死傷者。
世界主要各国の中枢機関を軒並み停止させる、人類史上最悪と評されるテロだった。
このとき、誰もが諦めただろう。平和な社会の再建を。
誰もが確信しただろう。この世界の終わりを。
地球上から希望が失われたそのとき、ある1人の救世主が彗星の如く現れた。
SATOJI OKAMOTO。
オカモトロボティクスの創業者であり、オカモト財閥の会長である。
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