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3/「DAO、そしてプロジェクトの運営について」

※本まとめは、NAYUTA:東京電脳RのDiscordにて発信した、連載を再掲したものです。

DAO = Decentralized Autonomous Organization。日本語で直訳すると分散型自律組織。
web3の普及と共に脚光を浴びている言葉であり概念です。ブロックチェーン上で様々な人々が協力して管理・運営される組織を指しており、ガバナンストークンの保有者が、組織運営に対する提案や意思決定に関わる投票をしながら、保有者間で意思決定していくのが特徴です。組織の運営を進化させる解決策のいち仮説であり、現在様々な試行錯誤が行われていますね。そこで考えるべきは、今の組織には、どのような課題があり、どのような進化を遂げるべきなのか?

「繁栄、そして衰退する組織」

国、企業、チームなど、様々な「組織」がこの世に存在します。一般的に組織とは、何か共通の目標を達成するために、構成員間の役割や機能が分化・統合されている集団を指します。「同じ目標を持ってるんだし、力合わせた方が達成確度が上がるから、一緒にやろうよ」という考えの元、人々が集まる形です。ただし、全ての人々の価値観や背景が異なる中、意思決定者がいないと、まとまるものもまとまらない。また、多数決やマスが考えることが、必ずしも組織のためになるとも限らない。従って、多くの組織では、リーダーとなる意思決定者や意思決定グループを設けてきました。

そして、どんな組織にも永遠は存在せず、栄枯盛衰を経験する。「繁栄」と「衰退」がキーワードとなります。

組織が繁栄するきっかけや理由は様々ですが、その中でも「誠実さ」「寛容さ」が、大事なポイントと考えます。「誠実」であるということは、あらゆるものに妥協をしないということ。だからこそ何ごとにおいてもより良いものを作るために、不足しているところに気づき、補い、洗練していける。その時々で考えうる最善を尽くすという思想に繋がる。「寛容さ」を持つということは、運営メンバーの個性を受け入れ、認めるということに置き換えられる。自身の考えを認めてもらうことで、自らの行動に自信を持てるようになり、指示がなくとも自らで考え、動くことができるようになる。所詮一人で出来ることなんて、限られている訳で、熱量が高い人々を巻き込み、常に最善を尽くせるかが、繁栄の鍵になります。

衰退の原因も様々ですが、その中でも、権力を持つものが欲望や傲慢に溺れてしまうことが、筆頭株と考えます。成功や繁栄が傲慢をもたらし、現場が見えなくなり、周りの人々の話を聞かなくなり、諫言をしてくれる人も減る。権力や富を得ると、それに執着するようになる。そして物事が上手くいかなくなると、道徳心にヒビが入り、隠蔽工作や保身に走る。繁栄を支えた、誠実さと寛容さは失われてしまう。人間が持つ欲望や弱さは、太古より変わることが無いし、これらは決して他人事ではありません。

栄えるのも難しいが、衰えずに維持するのも同じくらい難しい。そのため、人々は、自らの欲望をコントロールする手段として、仕組みを作ってきました。企業を例にすると、市場より大金を調達出来ることで社会に甚大な影響を与えられる上場企業に情報開示を求めたり、一人の最終意思決定者が暴走しないように取締役会を設けたりするなど。それでもなお、堕落や腐敗を根絶出来ている訳ではありません。

「DAOというマジックワード」

そう考えると、何故「DAO」が注目されているかが分かると思います。ガバナンストークンを取得することで、組織運営に関わられる仕組みだと、参加への障壁が割と低いため、運営人員を集めやすい。また、web3は個を重視する風習も相まって、各個人が主体性を持って参加しやすい。加えて、意思決定をブロックチェーン上で透明化していくため、腐敗を牽制出来るのと、そもそも意思決定機能が分散するため、権力者の暴走を防ぎやすい。理想的すぎる概念ですが、理にかなっている部分が多いに存在します。

そんな中で、「DAO」という言葉が、判断を鈍くするマジックワードにならないように気を付ける必要があると思っています。そもそも、組織である以上、明確な目的が必要です。目的が無いと、単なる仲良しグループで終わってしまう。また、なんでも闇雲にコミュニティの多数決で決めるというやり方は、聞こえは良いかもしれませんが、運営側が責任を問われないための手段にもなり得ると思っています。丸投げは、信頼ではなく、怠慢と無責任の証。そして、営利目的でやっているプロジェクトが、耳触りの良い言葉を並べて、きちんとした誓約と報酬無くして、人々のリソースを乱用すると、下手したらそれは「搾取」になってしまう。これが、NPO的なボランティア集団であれば成立するかもしれませんが、プロジェクトが利益を創出する以上、営利団体になります。

DAOという新しい概念に、踊らされてはいけない。DAOという言葉を使えば良い訳でもないし、DAOであれば丸く収まる訳ではない。現在定着している組織の在り方を、いかにブロックチェーンの力を使って、組織の繁栄を助長し、衰退を防ぐべきかが大事であって、DAOであることが大事ではない。そう考えています。

「主要となる機能及び役割」

それでは、NAYUTA:東京電脳Rプロジェクトは、どのような運営をしていくのか。まず、プロジェクトを運営する上での、「主要となる機能及び役割」を考えていきましょう。なるべく無駄は削ぎ落として、シンプルにすることを心掛けていきます。

「Business / Product 」

最初に問うべきは、どの「事業」及び「ビジネス / プロダクト」を営んでいくのか?しっかり事業化していくという観点が、非常に大事だと考えていて、その観点が欠けていると、一発屋になってしまう。「Mintして終わり」ではなく、「Mintしてからが始まり」とするためにも、価値を創出する事業を継続していく必要があります。その中で、現時点では、大きく2つの事業の柱を考えています。

1つ目は、「NFT事業」。NFTをMintすることで最初の売上を立て、2次流通を通じたクリエイターフィーで継続した売上を立てていく事業です。コスト項目は主に人件費とマーケ費で、Mint後は必要に応じて物自体や物流、イベントなどにかかる費用がかかることが予想されます。本連載でも触れたように、NFTに凝縮する付加価値を洗練させることが、成功の鍵となると考えています。

2つ目は、「IP/コンテンツ事業」。制作したIPやコンテンツの著作権を活用して、売上を立てていく事業です。人件費とマーケ費に加えて、配信及び媒体コストが主なコスト項目。いかに人々を魅了する世界観やキャラ、ストーリーを作り上げ、熱狂的なファンを作っていけるかが成功の鍵となります。

これら2つの事業は、相互で関連性はあるものの、全く異なる事業モデルなため、進め方も必要なノウハウや人材も全く異なるため、それぞれ別の事業の柱として考えていきます。どちらの事業も、Steak Ninja Boyの作品が主となるし、NAYUTA:東京電脳Rでは最もブレてはいけないポイントです。

「Community」「Art」「Engineering」「Marketing」「Operations」

柱となる事業を推進していく上で不可欠となる「横断機能」として、「Community」「Art」「Engineering」「Marketing」「Operations」が存在します。事業の規模が大きくなるにつれて、各横断機能を事業特化型にしていく可能性はありますが、少なくとも組織の規模が小さい内は、横断という形を取った方が、効率が良いため、得策と考えています。それぞれの機能を簡単に説明すると:
 -「Community」:コミュニティ体験のデザイン、促進施策の実行など。
 - 「Art」:アート・クリエイティブ・デザイン全般。
 - 「Engineering」:開発全般(スマートコントラクト、ウェブサイトなど)
 - 「Marketing」:マーケ・広告・PRなど。主に広告やキャンペーンを通じた新規顧客の獲得
 - 「Operations」:財務、法務、人事、採用など

具体的な動き方としては、「Business / Product」を担当するものが、事業の旗振り役となります。事業全体の舵取りをしながら、企画・管理を実施し、横断機能と連携しながら意思決定をしていく。時には、主要となる外部パートナーも巻き込んでいく。この「事業全体を見る人」がかなり大事で、こういう存在がいないと、全体最適した意思決定が下せず、事業は崩壊しがちです。ものすごく当たり前な話に聞こえますが、意外とここを間違えている事業組織が多いです。

「運営メンバーについて」

それでは、「人」の部分を少し具体的に考えていきましょう。チームを構築する上で、人数は闇雲に増やしたくないし、階層もなるべく増やしたくない。メンバーがたくさんいても、マネジメント出来る人がいないと機能しないし、そもそもマネジメント出来たとしても大体7人が最適かなと。機能と同様に、いかに無駄を削ぎ落としてシンプルに出来るか、が重要なポイントと考えています。

「LABO Directors: 主要運営メンバー」

まず、Founderでもある、Steak Ninja Boy、la_croix、NeoKaku、Sprial、0xSumoの5人が、LABO Director及び主要運営メンバーとなります。ポイントとしては:
 - 名ばかりのFounderではなく、主要機能のどれかを担当しながら、実際に現場で手も動かす立場
 - 仮に運営メンバーが増えた際には、メンバーのマネジメントとしての役割が主となる
 - LABO Directorsは、Mintまではこの5人に留めて、Mint後は必要に応じて数名増やしていく
 - la_croixがリーダーとして、全体を統括しながら、小規模の内にはいくつかの機能も兼務

余談ですが、実務を分かっていないとマネジメントするのは相当難しい。実務が出来るからといって、マネジメントが出来る訳もない。業務における深い理解と知見に加えて、メンバーを率いていく強いリーダーシップ、そして聞く力と共感力を併せ持つ人間性を備える必要があります。自戒の念も込めて、LABO Directorsには、高いレベルを追求していきたいです。

「LABO Associates: 運営メンバー」

LABO Associates及び運営メンバーも適宜仲間に入れていきます。ポイントとしては:
 - Business/Product、Community、Art、Engineering、Marketing、Operationsのいずれかの機能における仕事を担当
 - LABO Directorsが、担当している機能に応じて、LABO Associatesの採用を推進及びマネジメントを実施
 - 具体的な役割や報酬は、うやむやにせず前もって合意。途中で役割が変わる場合は、その時点で再度しっかり協議。(完全なる公平は難しいものの)出来る限り全体でフェアになるように設計
 - 基本、復業状態だと思うので、なるべく時間ベースではなく成果物ベースで報酬を設計

web3の精神を鑑みて、運営チームは、「個」の集合体であることが理想とは考えています。それぞれが、半ば個人事業主のような形で、担当した業務をプロフェッショナリズムを持ってしっかりやり遂げる(ただし、個の集合体方式は企業法務周りの制約が生じる可能性はあるので、そこは要注意していきます)。明らかに利益相反になるような動きは良くないとは思うものの、当プロジェクトで得た知識やノウハウは、他プロジェクトにどんどん適応・シェア頂いて良いと思うし、逆に他で得たものを還元頂ければこの上ないと思います。「NAYUTA:東京電脳R一本でフルコミットします!」というのは望んでおらず、「この分野においては、自分の右に出るものはいません」と言い切れる方々と、一緒に創り上げていきたい。

なお、実際に手は動かせないけど、界隈での影響度や経験値が高い方が、Advisor的な役割になることもあると思います。また、NAYUTA:東京電脳Rのホルダー候補でありファンである、PrimesやCompositesの方が、運営側に回って頂くことも出てくると思います。

「それぞれが、最も心地良い形で」

ここで、一つ明確にしておきたいのは、運営側に回ろうが、熱心なコミュニティメンバーであろうが、単純に傍観だけしようが、「これが正しい」という参加方法は無いということ。人それぞれ状況もタイミングも求めてることも違うので、それぞれが最も心地良い形で関わって頂ければ良いと思います。発言せずに傍観だけしてても、もしくは、途中で飽きて離れてしまっても、それでいいんです!皆さんが生きているこの世の中には、信じられないくらいの娯楽が存在するはず。その中で皆さんの人生の内の、たった1分だけだとしても、NAYUTA:東京電脳Rに使って頂いてるのは、ものすごく有難いことだと思っています。もちろん、この前提下で、かけて頂いた時間や思考に比例して、得るものも増えていくようなプロジェクトにしていくことも忘れません。

最後に、ブロックチェーン及びSmart Contractを活用したDAO化の件ですが、当初から意思決定機能を分散しすぎるのは否定的です。ただし、ここは引き続き、他ケーススタディも見ながら、研究はしていきます。そして、当プロジェクトにフィットしそうな方法があれば、試験的に導入の上、試行錯誤していきたいです。そして、どのような仕組みであっても、最も大事なのは、意思決定を行う運営側の姿勢と考えています。驕らず謙虚な態度で、コミュニティの声を傾聴し真摯に受け止め、努力を惜しまず、透明性を持って情報を共有出来るそんな姿勢。謙虚になれたと思った瞬間が、傲慢の始まりということを胸に刻みながら。誠実さと寛容さを兼ね備えた運営を通じて、NAYUTA:東京電脳Rプロジェクトをより確固たるものにしていきたいです。

(続く。。。)

by la_croix


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