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厳しい残暑に…「詭弁学派、四ッ谷先輩の怪談。」
暦の上では秋となりましたが、まだまだ暑いですね。
そんな厳しい残暑にぴったり…かどうかは分かりませんが、ちょっと背筋がゾワリとする漫画をご紹介します。
古舘春一著「詭弁学派、四ッ谷先輩の怪談。」全3巻
古舘春一先生の「ハイキュー!!」のひとつ前の作品で、デビューコミックスです。
舞台はとある中学校。そこには「幻の生徒」にまつわる噂があります。
生徒の名は「四ッ谷先輩」。彼は、怪奇を喰って生きていて、「お供え噺」を持っていくと、「怪奇事件を解決してくれる」…らしい。
主人公 中島真は、消えてしまった親友を探すため、「四ッ谷先輩」が居るという、学校の屋上を訪ねますが……
この漫画を一言でいうと
「四ッ谷先輩が怪談で事件を解決する」話。
どのように解決するかというと、
一、事件に関する怖い噂を流し
二、怪談にふさわしい舞台を整えた上で
三、犯人のための怪談を語り
四、犯人を追い詰め 一件落着!
です。
怪談を聞いた犯人は、事件にまつわる「怪異の幻」を見ることになるのですが、
この幻がとっても怖い!!
子供が見たら夢に出るのではというレベルで怖い。背筋がゾワゾワします。
「幻を見せる」といっても、四ッ谷先輩に何かオカルト的な特殊能力があるわけではありません。
流した噂と、少しの演出に、
先輩自身の「語り」の技術を乗せることで、
犯人が持つ「自分は怨まれるようなことをした」という罪悪感を増幅させるのです。
「直接脳に入ってくる」ような、その場を支配してしまう四ッ谷先輩の「語り」。
どんな感じなのか、聞いてみたいです。
叶わなかったですが、もし連載が続いてアニメ化されていたら、四ッ谷先輩のキャストさんはきっと大変だったでしょう。
さて、この漫画は週刊少年ジャンプでの連載ですが、全3巻。
お察しの通り「打ち切り」の憂き目にあっています。
最初こそ「ヤバい人しか出ないヤバい漫画」でしたが、後半は少年漫画的カタルシスを感じられる場面もあり、打ち切りは少しもったいなく感じます。
しかしながら、打ち切り漫画に有りがちな「尻切れトンボ」感はなく、ひとつの物語としてしっかりと完結しています。
わたしのイチオシは、最終3巻収録の「花子さん」の怪談と、巻末の番外編です。
これらのエピソードにより、怪談好きのナゾの変人だった四ッ谷先輩に人間味が加わり、グっと魅力的になったと思います。
彼が将来、どんな大人になったのか、想いを馳せてみるのも楽しいです。
「詭弁学派、四ッ谷先輩の怪談。」全3巻
10年以上前の作品ですが、電子版ならすぐに読めますので、興味を持たれた方は是非。
余談ですが、主人公の中島真ちゃんは、次回作「ハイキュー!!」にもチョピっとだけ登場しています。
真ちゃんが出てきた時、「いつか四ッ谷先輩も…」と期待したのですが、連載終了までついぞ現れませんでした。
きっと、「ハイキュー!!」の作品世界には怪談の温床になるような「闇」がないので、出る幕がなかったのだと思います。
(舞台袖で歯噛みする姿を想像してしまいました。ちょっと笑える。)
少しだけ世界が繋がる二つの作品。
片や閉じた箱の中で人の闇の部分を描き、
片や希望の光に満ちて世界に飛び出す。
…そんな対比を感じながら読み比べて見るのも、面白いかもしれません。
了。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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