空楽
3歳と1歳の少年たちは妖怪ブーム真っ只中なので、今年かなりの回数、調布にある鬼太郎茶屋まで行った。
調布は水木しげるマンガの生まれたまちというのを推している。
鬼太郎のコンセプトカフェである鬼太郎茶屋があり、鬼太郎に出てくる妖怪たちをモチーフにした遊具が満載の鬼太郎ひろばがある。
11月30日の水木しげるの命日近辺はゲゲゲ忌というイベントをやっていたりしており、もちろんそれにもきっちり行った。
先週は鬼太郎ひろばに行った後、少しバスに乗った先にある鬼太郎茶屋に行こうと話していた。
ところが鬼太郎茶屋に向かうバスの中で2人とも寝てしまった。
1歳の少年はいいとして、3歳の少年はもしここでスルーして帰ったらめちゃくちゃ面倒臭いことになりそうなので、寝た状態で鬼太郎茶屋に行った。
鬼太郎茶屋に着くと驚愕した。
鬼太郎茶屋に長蛇の列ができていたのだ。
今、水木しげる生誕100周年を記念してゲゲゲの鬼太郎の映画が公開されており、大人の間で鬼太郎ブームがきているのだ。
映画公開前に来たときはパルケエスパーニャぐらいの感じだったのが、急にディズニーシーぐらいの感じになっていたのだ。
ディズニーシーのなんか気球乗るやつぐらいのレベルの列。
ヒィ、こりゃ行けん。。と思い、妻と話し合った結果、茶屋に併設のショップで鬼太郎どら焼きと鬼太郎クッキーだけ購入して、子供達を起こさずにそっと帰ることにした。
家の最寄駅に到着した時、3歳の少年は起き出した。
しばらくぼんやりしていたが、途中で突然、
「あ!鬼太郎茶屋行くの忘れてるよー!」と、案の定ごね出してしまった。
彼はそういう時にそこまで泣き叫ぶわけでは無いが、自分の要求が通るまで延々言い続けるタイプである。
「ねぇなんで鬼太郎茶屋行くの忘れたの?」
「鬼太郎茶屋行ってないから帰れないよ」
とうわごとのように言い続ける少年。
「あのねぇ、少年は寝てたけど鬼太郎茶屋にはちゃんと行ったんよ。」
と写真を見せたが、全く納得しない。
分かっちゃいたが、これは大人の論理すぎた。
そこで機転を利かせた妻が言った。
「あ、あそこのジョナサンに鬼太郎茶屋あるんじゃない?」
なるほど、そりゃうまいな、と思った。・・・でも、どうなんだろう。。
「違うよ!ジョナサンに鬼太郎茶屋があるんじゃないよ、あのお店が鬼太郎茶屋なんだよ!」
「あー、そうそうそう、よく気づいたねー」
おれは初めて、プライドの高い彼が「折れる」ところを見た。
今からまた1時間かけて調布に戻るのは厳しい話だと何処かで気づいており、折り合いをつけてくれたのだ。
ジョナサンに入った後おれが「ジョナサンで・・・」と口走ろうものなら、
「ジョナサンじゃない!鬼太郎茶屋!」と言ってきた。
普通のアイスに鬼太郎クッキーをこっそりトッピングして食べた後、入り口にあるガチャガチャをやって帰ったら、
ちゃんと「ジョナサン楽しかった」と言って満足していた。
助かったよ、ねこ娘とか行ってごめんな。
猫の配膳ロボットにお礼を言って帰った。