宅建受験から始まった不動産との微妙な関わり(その6:現地調査はチョー緊張する)

さて6回目は現地調査です。実はこれがチョー緊張します。対象地やその周辺には人がいますからね。不審者に思われたら、ヘタすれば通報されます。

■持ち物
住宅地図、筆記用具、登記簿、地積図、建物図面ほか各種資料。
カメラ、メジャー、コンパス、オペラグラスなど。
今ならスマホやタブレットも必須でしょう。

■対象地の調査でやること
・対象地の特定
まず対象地を特定します。住宅地図のコピーを見ながら、位置・表札の名前で一旦確定します。念のため周囲の家の表札についても、住宅地図や登記簿上の所有者を見ながら確認し、対象地が間違いないことを再確認します。

表札はローマ字で書かれていたり、門から奥まったところに掲げられていて、見えずらかったりすることがあるんですよね。オペラグラスは必須のアイテムです。たしか住宅地図を作っている会社も、そうやって地道に現地確認しているようです。

・隣地や道路との境界の確認
これをやらなければ、間口・奥行きや敷地の形状が分かりません。境界鋲などがあれば問題ないのですが、郊外ではあいまいなことも少なくありません。どうしても分からなければ、推定と断わりを入れます。地積図とかの資料があると助かりますね。

・間口や道路の幅員を歩測
原則はメジャーなどを使わずに歩測で行います。なぜなら工事関係者でもないのに、家の前をメジャーで測っていたら不審者扱いされ、トラブルの元です。厳密な測量ではないので歩測で十分なのです。もちろん現地調査に来ることを所有者が知っている場合は、問題はありません。むしろ待ち構えていて、嫌でも遭遇することもあります。

ちなみに歩測はけっこう正確だと思います。私の場合は短足なので70cmです(汗
またL字溝のフタの数を数えることもやります。幅60cmのものが多いので助かります。

道路の幅員が4mあるか否かは、カンで分かるようになります。4m未満のいわゆる2項道路の場合は、私はなるべくメジャーで測っていましたね。隣地が建て替えでセットバックしている場合は、とても参考になります。

・建物の確認
建物のチェックは、登記簿や建物図面などの資料と同一かを中心に行います。
割とあるのが、増築されているのに登記簿に記載が無いとか、登記簿に記載の無い建築物があるとかのケースです。

後者は工場に多くて、どこまでが登記が必要な建築物かも判断できないので、見た通りにその旨をメモしておきます。

・居住者がいるか確認
関係者に無断でいつの間にか空き家になっていたら、それはそれで問題です。そのため家の出入りの目撃・生活音・洗濯物の有無・電気メーターなどで、居住者がいるかの確認をします。

・水道・ガス・下水などインフラの確認
インフラの整備状況は、不動産の価格水準に少なからず影響します。現在では電気が引かれていない宅地はほぼ皆無でしょうが、水道は簡易水道というところもあります。ガスはプロパンの地域は珍しくなく、下水も浄化槽である地域もまだまだあります。汚水や雨水と書かれたマンホールがあれば、下水があると確定ですね。

・騒音、悪臭など
現在はネットのストリートビューで、現地を見ることができます。それでも現地でしか確認できないことは、騒音と匂い(臭い)でしょうか。

騒音は例えば近所に工場があれば、多少なりとも聞こえてくる可能性が高いです。また匂い(臭い)についても、発生源が気になるものです。どちらも我慢できる程度なら大きな問題はありませんが、極端な場合は評価に影響がでるでしょう。

それと高低差についても、現地に行かないと分からないと思います。特に周囲と比べて微妙に窪地だったりすると、大雨で水が溜まりやすいこともありますからね。

■公示地・標準地・取引事例地の確認
対象地の調査が済んだら、公示地・標準地と取引事例地を回ります。
ここで大切なことは、それぞれが属する地域の特徴を意識し、対象地が属する地域との違いを感じることです。

例えば戸建住宅が多い地域なら、「対象地と公示地のどちらに住みたい?」ということが、価格水準の決め手になることが少なくありません。

■写真はたくさん撮ります
これらの場所は資料として鑑定評価書に貼付するため、たくさんの写真を撮ります。対象地なら遠景・斜め前・隣地との境界・正面・反対側の境界・反対側からの斜め前・反対側からの遠景が基本です。角地ならもう一方の道路についても行います。

その際に遠景や斜め前は、道路も入るように撮影するのが必須です。周囲の状況が分からないと不十分ですからね。また境界鋲やマンホールなど、参考になるものは何でも撮影します。かつてはフィルムだったので、撮り過ぎは先生にイヤな顔をされましたが、デジカメを使う現在はケチらない方がいいです。

また通常一方路に接する対象地は、反対側の状況は見えません。とはいえ裏に回ると他の建物のすき間から一部が見えることもあるので、積極的に撮影する方がいいです。

そのほか例えば歩道橋に上ると、対象地全体が見えることもあるので、先生や依頼者に喜ばれます。ただし度が過ぎて、よそのマンションなどから撮影するのは、不法侵入になるのでNGですが。

ちなみに公示地などは参考ですから、もっと簡略化し数枚しか撮影しません。

■こぼれ話
・服装はスーツが無難
現地調査はスーツを着て住宅地図を持ちながら行うのが、一番怪しまれないように思います。一般の不動産業の人っぽいですからね。夏は汗だくになるので、ワイシャツだけでも大丈夫でしょう。ただしカメラは撮影時以外は隠しておいた方が無難です。

・写真撮影の苦労
住民が表に出ている時は、写真撮影はトラブルの元なので絶対NGです。いなくなってから撮影しなければなりません。工事中の物件も同様で、私は早朝に撮影だけ別途しに出向いたこともあります。夏なら日が長いので、工事の人がいなくなってからという手も使えるのですが。

・近くに恐い人達がいる場合は
対象地の近くに恐い人達がいる事務所があったりすると、緊張感はMAXです。私の先生は、そういう方に追いかけられたことがあるそうです。説明して無事解放されたそうですが…

・調査はある程度時間をかけないと見落とす
とはいえ対象地の調査は、1回家の前を通るついでにすべて片付けることは、まずムリです。何か見落とす可能性が非常に強いと思います。私は最初に一度ゆっくり前を通るついでに、境界や表札などのポイントを確認しました。2度目に通る時は、一気に撮影をしてしまいます。そして漏れがあれば、しばらく時間を置いてから確認や撮影をしました。ただ急いで立ち去る準備だけは、常にしておいた方がいいです。

それを考えると、更地が一番楽ですねえ。近所の人はまた不動産屋さんが来たと思って警戒しないし、撮り放題・計測し放題ですから。

・外の飼い犬だけはお手上げ
まあ一番困るのが、長時間付近に留まっている住民がいる場合と、外で犬を飼っているお宅ですね。特に後者は吠え続けられたらどうしようもないので、先生に事情を話してお客さんの了承を得て、近景や正面の写真などは省略する場合もあります。

・墓地には神経質
あと近くに墓地がある場合や、上空に高圧線が通っている場合も要注意です。どちらも対象地からの状況が分かる写真撮影が必須なのですが、特に前者は嫌悪施設扱いで、依頼者はとても神経質になっているようです。

まあ都心のど真ん中ならいざ知らず、市街化調整区域なら先祖代々のこじんまりしたお墓は、点在していても不思議ではありません。でも売れるか売れないかとなると、リスクは小さくないのかもしれませんね。

現地調査のこぼれ話はまだまだあります。泣きたくなるような調査が大変な物件もたくさんありました。このシリーズを有料マガシン化する際のオマケにしようかなと考えています。

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ナヲ次郎
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