宅建受験から始まった不動産との微妙な関わり(その5:市区町村役場での調査)
あとで加筆と手直しをするつもりですが、一旦アップします。
役所関係の調査は、法務局の次は区役所・市役所・町役場・村役場がメインになります。ここで都市計画法や建築基準法をはじめとして、建築や開発の規制に関するヒアリングを行います。
■市区町村役場でヒアリングすること
対象地が存在する市役所・区役所、町役場・村役場の、各部署を回ります。部署名は地区町村により微妙に違いますが、おおむねこんな感じです。
担当者はこのような問い合わせが日常的に多いため、対応に慣れていっしゃいますね。
・都市計画課
市街化区域・市街化調整区域の別、用途地域、建ぺい率、容積率、都市計画道路の有無、最低地積条例、地域地区などをヒアリングします。
都市計画道路の計画があると、進捗具合によっては神経を遣いますね。
また市街化調整区域は原則建築できない地域ですから、慣れるまで大変だと思います。
・建築課
建築基準法上の道路の種類、日影規制、水路占有許可など。
原則幅員4m以上(6m以上のところもあり)の建築基準法上の道路に、間口が2m以上接していない土地には建築できません。建築できなければ、経済的な価値は大幅にダウンします。一番大事なポイントです。
確認で神経を使うのは、幅員が4m未満の俗に言う2項道路でしょうか。
再建築の際に道路の中心線から2mの位置まで、セットバックが必要だからです。
また私道の場合だと、位置指定道路(建築のためにつくる道路)か否かの確認も大切です。
それから水路を挟んで道路に面している土地も、慎重に確認します。
しかし登記簿上は水路でも、実際はL字溝のように道路と一体になっている場合もあり、ホント千差万別です。
建築計画概要図、台帳記載事項証明書、位置指定道路図等のコピーなどを取ります。
・道路管理課
道路名、幅員のヒアリング。道路台帳の写しも取ります。
・環境保全課
土壌汚染の要措置区域か否か。豊洲新市場の土壌汚染でも話題になったように、大きな問題になりかねませんので。
・農業委員会
地目が宅地ではない土地は、変更してからでないと宅地に供せません。その際は事前に農業委員会の許可や届出が必要なので、現状をヒアリングします。
ただし農地が少ない東京都23区などでは、農業委員会を置いていない区もあります。その場合は代わりの部署があるので確認可能です。
・教育委員会生涯学習課
埋蔵文化財包蔵地に該当するか否かなどをヒアリングします。
よく遺跡が出て工事が中断するニュースがありますが、そのリスクを把握する上でも重要です。
古くからある川の近隣や、国府が置かれていたような地域は、包蔵地である可能性は小さくないですね。また近くに包蔵地がある場合も要注意なので、補足情報としてヒアリングしておきます。
■しかし一か所では済まない場合も
・建築課が無い場合
建築主事を置いていない市町村では、建築課がありません。
その場合は建築指導事務所のような複数の市町村をまとめて扱っている施設に行きます。遠いと時間がかかるので頭が痛いです。
・環境保全課が別の施設にある場合
よくあるのがリサイクルセンターや焼却施設内です。
そう離れていないと思いますが、面倒ですね。
・埋蔵文化財包蔵地を確認できる部署が別の施設にある場合
郷土資料館のような施設に出向いて確認する必要があります。
対象地が埋蔵物包蔵地に該当するか否かだけなら、近年はインターネットで参照が可能な場合もあります。しかし調査済か否かのような詳細は、直に聞いたほうが確実です。
・対象地が国道・県道などに接している場合
国や都道府県の建設事務所などに出向いて確認します。
現在は幅員だけならインターネットで確認できる場合もありますね。
・空港・基地などが近くにある場合
対象地が滑走路の延長線上にあると、航空法による建築物の高さの制限に引っかかることがあります。例えば横田基地なら横田防衛施設事務所に電話で問い合わせると、親切に教えてくれます。
・高圧線が近くにある場合
高圧線下の定められた範囲内は、建築の制限があります。
たいてい鉄塔の下の方に連絡先の案内板があるので、電力会社に問い合わせが必要です。
またJRなどの鉄道会社が設置していることもあるので、同様に問い合わせます。
・土地区画整理組合
当該地が土地区画整理事業施行区域内にあると、事業の進行に伴って換地が行われて、元の土地と新しい土地の交換が行われます。
組合事務所に行って、詳細の資料収集や情報のヒアリングが必須です。
当時、仮換地位置図のトレースをした経験がありますが、現在はトレースしないで済むのですかね。かなり手間がかかりました。
■移動ルートを事前に計画しておくことが大切
このように複数箇所を移動することが普通なので、事前に地図を見ながら
市役所→建築指導事務所→郷土資料館 のように移動ルートを決めて
おかないと効率的に回れません。
現在はインターネットの情報で、どこに行けば何を調べることができるかが分かりますが、当時は先生や先輩の情報がたよりでした。
通常は東京23区内の物件でもない限り、車がなければ時間がかかりすぎて
話になりません。
こぼれ話等は追記で書くつもりです。