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大きな企業で出世するために、本当に大切にすべき3つのこと
今回は出世について書きます。
と、言っても、いわゆる出世術ではありません。
出世していくために、本当に大切にすべきことについてです。
では、まず結論。
■社内のカルチャーを理解して尊重する
■昇進する仕組みを徹底的に熟知する
■ひとつ上の階級(等級)の目線で業務に務める
この3つです。
現在、私は東京にある会社で管理職として働いています。
業務はクライアントに対して、マーケティングの提案をする会社です。
一応、東証一部の上場企業で部下が50人位います。
そんな私が出世していくために、本当に大切にして欲しいと思っていることですが、上記の3つになります。
それでは、ひとつずつ詳細を説明したいと思います。
出世することの意義って?
まず、出世を辞書で引くと下記のように書かれております。
出世(しゅっせ)
①仏
㋐諸仏が衆生済度しゅじょうさいどのためこの世に出現すること。しゅっせい。
㋑世俗を捨てて仏道に入ること。また、その人。出世間。出家。僧侶。
㋒叡山で、公卿の子息が受戒・剃髪して僧となったもの。
㋓禅宗で、寺院の住持となること、高位の寺に転住すること、黄衣・紫衣を賜ること、和尚の位階を受けることなどをいう。
②この世に生まれ出ること。出生。
③(出世1㋒が特に昇進が早かったところからいう)世の中に出て立派な地位・身分となること。しゅっせい。
「―して故郷に帰る」「立身―」
「広辞苑」(第六版)より
語源は仏語として「この世に生まれ出ること」の意味だったようですが、 その後「社会的に高い身分・地位を得ること」として、主に会社での昇格を指す言葉として定着したようです。
では「出世」という言葉に対して、どんな印象があるでしょうか?
日本人は、仕事上で”出世”と聞くと、なぜかあまり良くない印象も、含まれています。
私は半期に一度ぐらいのペースで部下と個人面談をします。
現状の課題や問題点、また将来の方向性などの話を聞いたりします。
しかし出世について聞いても、意欲的に話す人は、ほとんどいません。
話さない理由を考えてみると、以下が思い浮かびます。
<本当は出世したい人>
・恥ずかしい(シャイ)から口に出せない
・昇進試験で落ちたらカッコ悪いから言わない
・お金に執着するイメージがつくから・・・
<出世したくない人>
・他の人を蹴落としてまで出世したくはない
・自分は出世とは関係ない
・将来のことは深く考えていない
同僚や世間体の目を気にして口には出さないところは、逆に日本人らしいのかもしれません。
世界的に見るとの日本人の出世に対する意識は、どうなのでしょうか。
東京で調査・研究、組織診断・組織人事コンサルティングを行っている、パーソル総合研究所が、アジア太平洋地域の国々を対象として、地域の主要都市で働く人の実態や意識などについてのアンケート調査をしています。
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アンケート調査「仕事に関する意識としてあなたの考えに最も近いものをひとつ選びなさい。(5段階尺度) 」
〜2019年2月6日〜3月8日インターネット調査、各国1,000サンプル〜
「 会社で出世したい 」
1.タイ(バンコク)
2.フィリピン(メトロマニラ)
3.インド(デリー、ムンバイ)
4.ベトナム(ハノイ、ホーチミンシティ)
5.マレーシア(クアラルンプール)
6.インドネシア(ジャカルタ)
7.シンガポール
8.中国(北京、上海、広州)
9.台湾(台北)
10.オーストラリア(シドニー、メルボルン)
11.香港
12.ニュージーランド
13.韓国(ソウル)
14.日本(東京・大阪・愛知)
パーソル総合研究所「APACの就業実態・成長意識調査(2019年)」
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日本は最下位で出世意欲が低いことが分かります。
では次に出世することのメリット・デメリットを挙げてみます。
<出世するメリット>
・年収が上がる
・社会的信用度がアップする
・交流できる人の幅が広がる
<出世するデメリット>
・決断する必要があり責任が重くなる
・勤務中以外の時間も使うことが増える
・交流しなければならない人の幅が広がる
メリット・デメリットの内容をひとつずつ見ていきます。
出世するメリット
■年収が上がる
出世することの最大のメリットは、コレでしょう。
多くの会社では勤続年数に加味されて出世することで収入が上がっていくシステムです。
部下の中には「特に出世したくない」と言う人もいます。
その方に向けて「同じ業務をするなら、給料は少しでも多く貰った方が得だよ」と説得します。
いずれ年齢が上がって後輩ができて、もし等級が抜かれて収入が追い越されたとき、平常心でいられるのであれば、問題はないです。
しかし収入によってモチベーションが下がるのは、最も良くないことです。
■社会的信用度がアップする
昇進していくと、肩書きがつきます。 出世していないと、肩書きはいつもまでも、ただの社員です。
しかし昇進を繰り返し出世すると課長や部長など役職の肩書きがつきます。
肩書きがつくことで社会的な信用度が高くなります。
私も出世を最も実感したのは、むしろプライベートなシーンでした。
銀行などでローンも組みやすくなりましたし、クレジットカードも作りやすくなりました。
そしてなによりも、普段、日常生活のなかで、自分が何をしているか伝えやすくなったことは大きいです。
その結果、親戚や友人にも理解してもらいやすくなったと思います。
■交流できる人の幅が広がる
出世することで、任される仕事の内容が変わります。
業種にもよりますが、それまで作業に向き合う時間が大半を占めていたのが、対外的な折衝や交渉、交流も増えます。
部下もでき利己的な働き方から利他的な働き方にシフトします。
社外の方も自分と同じ肩書の方と交流することになります。
それによって情報の質が上がっていきます。
出世するデメリット
■決断する必要があり責任が重くなる
グループ、課、部署、部門など組織を任された以上は、結果を遂行することは義務になります。
平社員の時は自分の担当分だけ結果を出せば済みましたが、出世すれば部下全員に対して対応しなければならなくなります。
思うようにいかないことも増え、ストレスが溜まります。
体力的にも精神的にも、今までにない負荷がかかります。
責任というプレッシャーと上手くつき合っていけないタイプは、出世は大きなデメリットになります。
■勤務中以外も仕事に使う時間が増える
部下の残業に付き合ったり、休暇中の部下の仕事を引き継いだり、また平日はマネジメント、休日は出勤して書類を作成するなど、業務の幅が広がった分、おのずと物理的に勤務時間が増えます。
しかし時間外も、受け持った部門の様々な問題や課題について考える時間が必要になります。
それは出世すればするほど増えていきます。
■交流しなければならない人の幅が広がる
これはメリットに挙げた項目と裏腹です。
社内にも、社外にも、交流しなければならない人が増えます。
まったく面識のない方や年代が違う方とも話を合わせなければいけないシーンが多くなります。
人とのコミュニケーションが苦手な方は強いストレスにつながります。
以上がメリットとデメリットです。 出世するために本当に大切なこと
出世するために本当に大切なこと
では、冒頭に挙げた”出世するために本当に大切なこと”について解説します。
最初にも書きましたが、出世のための処世術(テクニック)ではありません。
出世する方々に、本当に大切にして欲しいことになります。
■社内のカルチャーを理解して尊重する
これは取り方によって、「忖度(そんたく)じゃないの?」という見方もあるかもしれません。
しかしとても大切なことです。
社内で浮いてしまうことこそ、最も出世できない要因だからです。
・社内で使っている用語を自分も使う。
→ それが社外では間違った使い方だとしても、同じ言葉で話す。
・もし社員全員がゴルフをやる会社であれば、自分も始める。
→ それでも自分はゴルフをしないのであれば、出世はあきらめる。
・服装も周りに合わせる。
→ 趣味合わなかったり、たとえ働き辛かったとしても、それがTPOとして受け入れる。
自分がこの会社で成功したいと望むのであれば、会社の文化をしっかり理解し尊重すべきです。
■昇進する仕組みを徹底的に熟知する
大きな会社になればなるほど、人事的に定められた規則が多くあります。
社内のルールとして昇進する制度や仕組みは、最低限、すべて理解しておくことが必須です。
私の会社では、勤続年数、現在の等級での経過年数、外部教育の受講の有無、教養試験、等級によって論文の提出などを課しています。
クリアすべき項目と期限があり、意外に多く、日常業務のなかで、つい忘れがちです。
うっかり忘れると、また一年後まで、待機しなければいけなくなる人がいます。
まず規則を徹底して頭に入れてることは必須です。
さらに、業績評価や行動評価などがあります。
会社ごとに違うと思いますが、こうした付加点については裏側の仕組みであり、あまり一般社員には知らされていないところでもあります。
しかし、どういったプロセスで点数がつけられるのか、どうすれば点数が上がるのか追求すべきだと思います。
出世を目指す者であれば、最低限、仕組みを知る努力をすることが、とても重要です。
■ひとつ上の階級(等級)の目線で業務に務める
いま自分が置かれている立場や等級より、ひとつ上の階級の視点で職場を眺め、業務をこなすことも大切です。
要は、上司と同じ視点に立つということです。
上司と同じ視点に立てれば、上司に話を合わせる必要や媚を売ったりすることもなく、自分へのストレスも軽減されます。
そして高い視点を持つ習慣がつけば、意見をいうことに、ためらいがなくなります。
いずれ出世して、上のポストに就いた時の準備にもつながります。
最後にまとめ
これからの時代、会社がすべてではないし、ましてや出世がすべてではないです。
しかし人生の半分以上の時間を仕事に費やしている会社員にとって「出世したい」という思いは、働くためのモチベーションのひとつになります。
今回は以上ですが、上記に挙げた3つの項目は、会社に所属していない人でも、社会人としてキャリアを送るのなら必ず役立つはずです。
最後まで、読んでいただきまして、ありがとうございます。
〈今回参考にした書籍〉
「できる人の仕事のしかた[新版] (リチャード・テンプラーのRulesシリーズ)」
(リチャード・テンプラー著・桜田直美 訳/ディスカヴァー・トュエンティワン/2018年)
ワダ なお【インスタ読書日記】:本は週に3冊ペースで読んでいます。主にビジネスに役立つオススメ書籍を紹介。