ルーフトップ空間についてのメモランダム #01
とある雑誌の表紙が目に入ったとき、ある単語に衝撃を受けた。
「ルーフトップカルチャー」
ルーフトップに対して、カルチャーというラベルがこれほどまでに据わりの良いものであることに、その文字列を見るまで気づかなかった。
膝を打つと同時に、これまで自分がルーフトップに対して無意識のうちにむけていた関心が洪水のように頭を満たした。
さて、雑誌とは言ったものの、これは現実に存在する雑誌ではない。
浅野いにお氏の漫画、MUJINA INTO THE DEEPに登場する一コマだ。
この世界では「ムジナ」と呼ばれる、人権を放棄した(あるいは、させられた)存在が文字通り暗躍している。
そして、そのムジナの中でもアイコニックな存在感を示すキャラクターである「テンコ」が件の雑誌の表紙を彩っている。
日本語で「カルチャー」というラベルがついた瞬間に、当初のシーンや絶妙なバランスを保っていた雰囲気のようなものは、消費財へと転倒していく。
ある種のジェントリフィケーションだ。
ルーフトップカルチャーにもそういった未来が待っているのだろうか。
というか、すでにその萌芽ともいえるようなうっすらとしたアイロニーが漫画の全編から香ってくる。
ルーフトップカルチャーという架空のラベルについてさらに入り込んで空想を巡らすのは、野暮なものだろう。
なので、ルーフトップに空間という添え字をすることで、少し離れたところからその場所を見てみたい。
つまり、ここから先はルーフトップ空間の話であって、ルーフトップカルチャーの話ではない。
とはいえ、カルチャーに場所(リアルか否かは置いといて)はつきものであるかして、カルチャーを語るには空間を考えなければならない、気がしている。
詳細な備忘録は次記事以降に譲るが、ルーフトップ空間の避けがたい、ノエマのようなものをここで仮定したい。
というのが、いまこの瞬間に思いついたルーフトップ空間の特性である。
過不足が多々あるようにも思えるがまあよしとして、今後思いつくままにその輪郭を書き留めていきたい。
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