サマーオブ'84 感想 〜閉じた世界で少年は成長できたのか〜
好きなところ
・ボンクラ少年たちのひと夏の冒険というわくわく感
・少年時代の絆の強さと脆さを描いている点
・人の良さそうな隣人が実は連続殺人鬼なのでは?というアイデア
・80年代ホラー映画へのリスペクトに満ちたスコア
・となりのイケてるお姉さんとのちょっとした恋愛要素
・ストーリー前半部分に溢れている、青春時代ならではの無敵感と根拠のない『オレ=正しい』という空気(見ていて歯がゆくなるくらいw)
・殺人鬼が主人公たちに手をかけるために登場するあのシーン、これは良かった
・ニッキーのホットパンツ
イマイチだったところ
・完全に世界が閉じてしまっているところ、少年たちの学校生活が描かれないのでポジションがつかみづらい(会話の内容からボンクラぶりはわかるし、学校描写がないのは夏休みだから仕方ないけど)→子供達の世界が未成熟で狭いという表現とも取れるが…
・それまでの80年代ジュブナイル感をかなぐり捨てて現実感を叩きつけるシナリオ(人によっては良い点と評価するとおもう)
・4人の個性の表現が弱く感じられたところ
まとめ
期待して観に行ったのだが、ずっと違和感が残る作品だった。(もちろん楽しめたことは楽しめた)
80年代のジュブナイルの雰囲気を出したいわりに描写に深みがない。(現地の方には感じられるのかもしれない)
なによりも主人公たちの世界が閉じてしまっているのが気になった。
郊外の住宅地、行き止まりのロータリーに立ち並ぶ家々。
社会との繋がりが今ひとつ感じられない中で起きて行く連続殺人事件。
オープンで明るい人々が住んでいるが、実は閉じた世界、というのは魅力的なモチーフだけどうまく表現できていなかったようにも思える。
この製作ユニットの面々が何を表現したかったのかよくわからないままエンディングを迎えてしまった印象。
事前に『ジュブナイル的ホラー』という部分で勝手に想像しすぎてしまったかもしれない。
となりのお姉さんとのエピソード、親に叱られるエピソードなど子供が大人になっていく要素はたくさんあるのだが、結局はあのラストが主人公の心に深い傷を残すことで斜に構えた感じで大人への階段を登らされる。
展開としては見事だとおもうが、どうにもちぐはぐさを感じてしまった。
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