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安産を目指した結果ド難産だった初出産レポ

「出産は辛いけど人生で一番幸せな瞬間だから」
「みんななんだかんだ2人目3人目産んだりしてるから」
「出産の痛みなんて赤ちゃんの顔みたらすぐ忘れるよ!」
出産経験のある人に言われた言葉たち。
人類がこんなに繁栄してることも考えると「出産のとき多少は苦しむだろうけど何とかなる程度なんだろうな」と思っていた。

決して安くは無いお金をかけて、無痛分娩の麻酔を確約していたはずだった。
無痛分娩のレポやYouTubeを観ていると
「ヒルナンデス観ながら出産した」
「子宮口9センチで親と普通に電話できるレベルだった」
などの感想が多く、安心しきっていた。
体力温存のためにと思って買った無印良品の不揃いバアム。ひと口も食べることなく終わることになるなんてこの時は思いもしなかった。

以下、ショッキングな内容を多く含むため
生々しい表現が苦手な方はご注意ください!


11/27(水)
無痛分娩で入院予定だったわたしと夫は大荷物を抱えて健診へ
この日から夫は年始まで育休を取ってくれていた
しかし子宮口が硬い&開いてないとのことでまさかの12/2(月)に延期
今無理やり入院して誘発剤使っても無理なくらいお産が進んでいなかったらしい
五積散という漢方を処方してもらう
子宮口の熟化が期待できる薬らしく、これがもうとてつもなく不味くて飲みづらい
「土日に陣痛きたら無痛分娩は実施できない」
当初から言われていたことでこの土日を乗り越えるのが恐ろしいと思った
でも先生は「できなかった人は全体の3%くらいで今年はできなかった人は1人もいないよ」と言う
3%なら、先生がそう言うなら大丈夫かと思う
大荷物を抱えて会計を済ます
お会計並んでる時に看護師さんに「退院ですか?」と声をかけられた、ある意味退院なのかもしれません
産まれてないのに育休に入ってしまった夫は突然の空白の時間に戸惑っていた

11/30(土)
1:30 お腹痛くて目が覚めるも前駆陣痛と思い耐える
3:00 痛みが強い、焦る
        寝ていた夫も起きてしまい、念のため病院に電話するように言われる
        渋りながらも病院に電話すると念のため来てと言われる
3:30 病院到着→内診グリグリ?され大出血
        子宮口1センチ開いてると言われる
5:00 再び内診で3センチになってて入院決定、無痛分娩ができないことが確定し絶望するも「進みが早いからここまできたら無痛じゃないほうがいいよ!昼前には産まれるかも」と言われる
9:00 陣痛おさまってきたのでもしかしたら退院になるかもと言われる
9:30 内診すると5センチ開いてることが判明、入院続行→5センチ開いてるとは思えないくらい全然痛くない、耐えられる痛み
15:30 子宮口6センチ、やや耐えるのがしんどいレベルの陣痛が5分間隔くらい
17:30 このあたりから耐えるのがつらい陣痛が4、5分間隔で来る スマホ見る余裕がなくなりご飯も食べられなかった
19:00 わたしの両親が来る。夫と母が交代し、一回帰って少しでもシャワー浴びたり仮眠を取るように言われ夫一時帰宅(しかし一睡もできなかったらしい)
母に代わりに背中をさすってもらう
21:00~ 夫が再度来て両親は帰宅
赤ちゃんが下がってこない&一晩中↑の痛みと戦うが寝ず食わずのせいもあり微弱陣痛に。お産が一切進まなくなる(間隔が10分近くあいたり2分~5分になったりバラバラ)
痛みが来る度に夫にテニスボールで腰を強くさすってもらう
痛すぎて叫ぶようになる、体力がなくなるに連れて叫び声も震え出す
YouTubeで見た呼吸法で痛みを逃そうとするが体力も限界すぎてほとんど意味をなさず
横になると痛みが強くなる気がする&座ってる方が赤ちゃん降りてきやすいと言われ座ったまま過ごす、陣痛がこない5分くらいの合間だけ気を失ったように眠る
この間に何か夢を見たような気がするがやってきた痛みで目が覚めて現実に引き戻される
早く終われ、とか 苦しいとか辛いとか、そんなことすらも考えられないくらい苦しい時間が一晩中続く
同じだけ眠れていない夫も辛そうで、朝方からはできるだけ声を出さないように気をつけようと思う
でもわたしの「フーーーッ!フーーーッ!」という荒い呼吸で夫はすぐ隣にきて腰をひたすらさすってくれた
わたしと同様に気を失ったように眠りかけていても陣痛のタイミングで必ず起きてくれた
尿がたまると赤ちゃんが降りてこないと言われ1時間に1回はトイレに行くように心がけた
このトイレ中も陣痛は容赦なくやってきて、1人で身体を丸めて必死に耐えた
わたしのトイレ中の数分間が夫の貴重な睡眠時間だった


12/1(日)
8:00 15時間以上お産が進まないため促進剤を使うことに
現時点の陣痛でももう耐えるのが苦しいのにこれ以上強くなるのが恐ろしくて絶望、でももうそれすらも怖いとか辛いとかも思えなかった、本当の極限状態とはああいうことを言うのかと今になって思う
8:10 あまりに不憫ということで急遽産婦人科の先生が休日出勤してくれて下半身麻酔を入れてくれることに(異例中の異例な特別対応で土日は麻酔不可とのこと)
麻酔が使えると聞いて希望が見えたわたしと、わたしが苦しみから解放されることに安堵して泣き出す夫
8:20 促進剤が投入される
8:40 先生到着、麻酔の準備に入る
        本当の意味での「神降臨」とはこういうことかと思う
9:00 麻酔の処置 背中をアルコールで拭かれたときにヒリヒリするのでテニスボールでさすられすぎたんだなとぼんやり思う、普通に針がささるチクッとした痛みがあり「いった」と声が出る
すぐに効き始め、骨盤から下は保冷剤を当てられても冷たさを感じないくらいになる
促進剤による陣痛の痛みも軽い生理痛くらいまで軽減される、久しぶりに笑顔がでた
9:15 お産が一気に進み子宮口9センチ、人工破水させる
めちゃくちゃ長いハサミみたいなのが見えて「なんかすごい痛そうなことされてるな」と思う
9:30 麻酔してるのに痛みが辛くなってくるので麻酔を追加してもらえないか助産師さんに聞いてもらう

ここから時間不明
「麻酔効いてるはずだけどなぁ」と言われながら子宮口全開なのを確認され麻酔追加なしで分娩へ「痛かったらいきんでみて」と言われていきむも比にならない尋常じゃない痛みに叫び散らかす
この時吸引されてたっぽい?陣痛と内臓を引っ張られるような感覚の痛みが同時に来る←この辺からもう何が何だかわからなくなる
途中から吸引の器具?が電動のものに変わる
ラッパみたいな形のものを持っているのが見えた気がする
助産師さんが横に来て「お腹が張ってきたら何回か息をはいて、痛みのピークの時にいきんで」と言われ鬼かと思う
ただでさえも痛みのピークが辛いのにいきむというのが本当に地獄のような辛さだった
足を広げるも麻酔が効いてるのと体力がゼロに近いのとでうまく広げられず、更にガッツリ広げられ(上半身に寄せ完全なM字開脚)「ここまで足広げないと出てこれないからね!」と言われる(途中「足閉じないで!」と怒られる)
左足はほとんど感覚がなくて自分の意思で開くのが難しかった
「今はってきてる?」の問いに「痛くなってきました」と何度か答える(会話できてない)
↑の流れを繰り返す

陣痛が来たタイミングで助産師さんがみぞおちの下あたりを全力で押し始める
「こういう手法があるのは知ってたけどほんとにやるんだ」と妙に冷静に思う
お腹が押される痛みよりもとにかく下腹部の吸引と陣痛の痛みが圧倒的に大きくて全力で叫んでしまう
「体ねじらないで!目を開けて!声出さないで!」とまぁまぁスパルタなご指導を受けながら何度かいきむ
一刻も早く終わらせたいと思うがなかなか出てこないようで先生たちから微妙な空気を感じる
あと何回で終わるのか、少なくとも10分以内には終わるのかな
この時「この感じは高校の持久走を思い出すな」と朦朧とした意識の中思う

10:40 あるタイミングでお腹の詰まってたものが取れるような感覚、ぱんぱんだったお腹が凹んだような気がした
このラストスパート中はずっと呆然としてた夫に「産まれたよ!」と言われ、「え??」と思わず言う
赤ちゃんは産まれてすぐ泣かなかったようで、医療ドラマの緊急時みたいな緊迫感のある雰囲気で2、3人の助産師さんが保育器に入れて何やら処置をしている
心配する余裕はわたしにはなかった、何かされてるなくらいのことを思っていたと思う
その後無事に泣いてくれて大丈夫そうな様子、ここでやっとホッとして「おめでとう」と自然と口に出た
胎盤が出て、会陰切開の縫合をしてもらうものの左右にガッツリ切開してたので縫合に時間がかかる(挙句4、5日痛いかもねと言われちょい絶望)早く足とじたいなと思う
会陰切開はどのタイミングでされたのかわからないが麻酔のおかげで切開も縫合も痛くなかった
ちょっとずつまたお腹が痛くなってくる、助産師さん曰く後陣痛とのことで早めにロキソニンをもらって飲む
その後助産師さんにお腹を押されて悪露の確認などされる
後陣痛の痛みとお腹を押される痛みでまた少し声が漏れた
「前世でどんな悪いことしたらこんな難産になるんだろう」などと会話できる余裕が持てるようになってきた
赤ちゃんは慎重に処置されつつ、小児科の先生に診てもらったりしてたので産まれてすぐ抱っこはできなかったが分娩室にはずっといたから様子を見られて一安心
夫は子が産まれた感動よりも、苦しんでたわたしの姿を見ているのが本当に辛かったと言い、また泣き始める(普段ロマンチックなことなど一切言わない夫だがこの時ばかりは心の底から「一生かけて守る」と思ったらしい、やったー)
待機時間中にお腹がすいたのか吐き気がじわじわあったけど耐えられた

14:00 着替えて夫と共に病室に移動
遅めのお昼をもらうがさすがに全部は食べられなかった、残りを夫に食べてもらう


終わりに

助産師さんのYouTubeやコウノドリ観まくったり、スクワットや階段昇り降りや安産体操・ストレッチ・ウォーキングしまくってたのにまさかの33時間越えのド難産。

初詣のおみくじは大吉で「お産 母子ともに易し」って書いてあった。

無痛分娩できないどころかほんと難産中の難産で一時はどうなることかと思ったけど何とか乗り越えられてよかった。
乗り越えたというよりも、乗り越えざるを得なかった、という表現の方がしっくりくるかもしれない。

丸2日寝られなかったけど夫も最初から最後まで隣に居てくれて、2日目の深夜もわたしが陣痛で息を荒くする度にウトウトしててもすぐ飛び起きて腰をさすってくれたり、息ゆっくり吐いてリラックスして、とか声掛けしてくれた。
眠れないのが一番つらい、と過去言っていた夫が丸2日眠れていないことに申し訳なさを感じた。でもあの深夜のエンドレス陣痛のとき、帰っていいよと言えるメンタルは持ち合わせていなかったし、夫も「言われたとしても絶対帰らなかったよ」と言う。

ほんとーーーーに辛いお産だったけど赤ちゃんは無事だったし、夫婦の絆もより深まって今となっては良い思い出になりました。

夫は相当トラウマになったようで、口が裂けても2人目欲しいとは言えないし思えないって言ってた(思い出すだけで泣くらしい。笑)

「産まれる瞬間を動画撮った方がいいよ」と言われ夫が動画をとりあえず撮ってたらしいけどあまりにも悲惨すぎて天井のアングルと音声だけしか撮れなかったとのこと。

途中で先生が休日出勤して麻酔してくれるって聞いた時はほんと神様が来たと思った。笑
これのおかげで子宮口7センチ~9センチまでの陣痛は楽に乗り越えられた。麻酔がなかったらと思うと本当に怖い。
ラストスパートは結局しぬほど痛くて苦しかったけど。

母子ともに緊迫すぎて、コウノドリに出てくるような「赤ちゃん産まれます!」みたいな掛け声とか「元気な男の子です!」みたいなこと言われたりとかなくて産まれた瞬間は呆然としてた。

出産は本当に感動するよ!って色んな人に言われてたけど感動よりも苦しさや悲惨さばかりを感じてわたしももう二度と出産したくないと思いました。笑

大変な思いしたけど同じだけきっと大変だった赤ちゃん、無事に産まれてきてくれてありがとうと心から思います。

これから3人家族になる実感がまだわかなくて
会陰切開の傷がとにかく痛いとか、そんなことしかまだ考えられてない今だけど
きっと家に帰って日常に赤ちゃんがやってきて
やっと「自分の子ども」を実感するんだろうな。

初めての孫を見たわたしの両親は本当に嬉しそうで、母は「自分が産んだ気がする」とか言い出すし面会に来た当日の夜はテンション上がりすぎて眠れなかったらしいし、父は見たこともないくらいデレデレした態度で本当に気持ち悪かった(突然の悪口)

大好きな夫との子どもがお腹にいること、愛の結晶がいるみたいで妊娠中はそれが本当に嬉しくて幸せだった。
この世界に生まれてきてくれてありがとうと思う。
生きていて辛いことも苦しいこともたくさんあるだろうけど、こんなにも望まれて喜ばれて生まれてきた命だから、何があっても絶対大丈夫だ。命懸けで守ってくれる人はわたしと夫も含めてたくさんいる。

2人目が欲しいとは二度と思えなさそうだけど
一生忘れられない宝物のような思い出になった。

この先何があっても容易に乗り越えられるようになるくらい、壮絶な出産でした!

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