後退するぐらいなら破滅したほうがいい
くたばれ!ハリウッド(2002/アメリカ)
監督:プレット・モーゲン、ナネット・バースタイン
事業で大成功を収めていた若いハンサムガイが、大女優に見初められて俳優デビュー。たちまちスターになった彼は、その後大企業家などの大物を後ろ盾にプロデューサー業に乗り出し、ヒット作を飛ばしてたちまち売れっ子に。
そして、人気女優と結婚。不倫されて離婚。公私ともにゴタゴタが続き、疲れ切ってとうとうドラッグに出す…という、ほんとにまあ、100人中100人がイメージする典型的なハリウッド業界の舞台裏が描かれているが、これがフィクションならありきたりでつまらない。
名声とスキャンダルまみれの人生を送る彼の名は、ロバート・エヴァンズ。「ローズマリーの赤ちゃん」「ある愛の詩」「華麗なるギャツビー」「ゴッドファーザー」「チャイナタウン」といった名作を世に送り出し、70年代のパラマウントに君臨した伝説の男。
自分のドキュメンタリー映画であるこの作品でも、ナレーターを務めているというやんちゃな確信犯だ。
お陰で、膨大なスチールや報道記事、記録映像を交えながら本人が自分の人生を回想しているみたい。
登場するスターたちも、ジャック・ニコルソン、ダスティン・ホフマン、アリ・マッグロー、ヘンリー・キッシンジャーなど豪華メンバー。メリハリのきいた演出で、苦悩すらドラマティックに盛り上げる。
ああ、濃い人生なのになんて軽い…。
映画みたいな人生を映画みたいに描いているので、どうも人間味が感じられないが、そこをまた狙っているという気もする。